一日目 不思議な道具屋
人生って、何なんだろう。時々考える。そして、人生について考えている時ほど、新しい発見をする。
「こんな所に、道具屋なんてあったのか」
なんと言えばいいのだろうか。昔ばなしの様な、サイバーの様な、レトロの様な、スチームファンタジーの様な。様々な要素がごちゃまぜになった外観に、少々興味が湧いた。
扉を開けて中に入ると、外観と同じようにごちゃまぜの店内……予想通りだな。
「⸺おや、いらっしゃい」
店の奥から、しゃがれた男の声が聞こえた。恐らく店主だろう。
店内を見て回る。ごちゃまぜだが、一応はジャンルによって分かれているみたいだ。ジャンルごと……というだけで、物の種類は数え切れないほどあるが。
「変な店だろう? 此処は」
声を掛けられる。僕はその声に同意すると、老人は笑いながらこう続けた。
「この店は、開店当時はただの趣味……とは言い切れなかった。だが今となっては、九割九分九里ただの趣味の店だ。そこの壺は妖が隠れ棲んでいるとの曰く付き、上に掛かってる旗は異星人が持ち込んだ素材で出来た品との噂、アッチの本は未来に行けると界隈で話題の新書。⸺真偽不明の怪しい代物ばかり売ってる、ただの何でも屋さ。時々勘違いして依頼を持ってくる阿呆がおるが、此処は売ってるだけだ」
老人は楽しそうに笑っている。……変な店。老人の言った通り、ヘンテコな店だ。
見ている分には面白い。今はまだ日は高い、満足するまで見物するとしよう。
「ほう……なるほどな。ワシはリュウドウ。小僧、名は?」
いつもなら名乗らないが、今日はなんだか気分がいい。名乗ってもいいだろう。
「⸺なるほど、ミオか……よし、ミオ。ここで働かんか? 何、駄賃はそこらの飯屋よりも高くやろう」
………は?
拒否をしようと思ったが、あまりにも好条件で、今働いている所よりも金払いがいい。学生という身で、この好条件は中々お目にかかれないだろう。
人間、金が無いと生きていけない。仕方がないのだから。
と、いう訳で。来週からこの店、万点堂でアルバイトをする事になった。




