三日目 女不良、呼び出される
「私は悪くない、悪くないんだ。相手の野郎が…目の前で……」
「犯罪者の言い訳かなぁ? へいへい姉貴、人身事故でイッキにドベだなぁ!」
「こんの憎たらしい弟風情がぁ!!!」
一応言い訳をすると、この言い争いはただ姉弟でレースゲームをしているだけだ。醜く煩いから、いつも母から拳骨をいただいているが。
「負けたぁー!!!」
「ーっ、勝ったぁ!!! コレで姉貴の今日分のおやつは頂いたぜ!」
「はぁ……そんなに欲しかったか? あたりめ」
「好きなんだよ、敗者が勝者に文句を言うな。ベーっだ」
我が弟は舌を出し手を振りながら部屋を去る。元気だなぁ……そうだ、返事を考えないとな。
家に帰宅して早々、弟にオヤツバトルを挑まれたが、私にはやらねばならぬことがあるのだよ。忘れてしまうところだった。
「さて、どう返すのがいいのだろうな」
私が頭を悩ませている理由は、今日の放課後まで遡る。
*
私が帰宅しようと下駄箱を開くと、いつもの手紙の波の中に一通、目を引く手紙を見つけた。
その手紙は、他の殺伐とした果たし状とは違い、所謂ラブレターという奴だったのだ。
可愛らしい便箋に字体だった事から、相手は私の性別を詳しく知らない下級生辺りだろうと考えながら手紙に書かれていた講堂裏に向かう。そこに居たのは、女性の平均よりも非常に背の高い私よりも高く、ゴツい図体をした、学ランが似合う男だった。
「これは……私があんまりにも招待に応じないからと、趣向を変えたのかな?」
そう思ってしまうほど、男のことを強者だと感じた。のだが、私の声が聞こえたのだろう男は此方に振り向き、辛うじて女性的な顔をしている私よりも乙女と言わざるを得ない表情をしていた。つまりは、赤面。
「ぁ、あのっ、満さん。手紙、読みましたか……?」
男は目を潤わせ、モジモジとしている。何なのだろう、この光景は。
目の前の男を変態と思えばいいのか? それとも心をときめかせ母性のような感情を抱けばいいのか?
分からない。分からないが、今の私はこの男と会話をしなければならない。腹を括ろう。
「あぁ、読んだ。それで、君は何者だ?」
「そっ…そうですか。では……そのっ……………」
男は手をモジモジと動かし、目線も地面へと向いている。何なんだコイツは。戦う前に油断を誘っているのか?
「お、オレっ、一目見て貴女に惚れたんです! どどっ、どうか付き合ってください!」
「………は?」




