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死んだ回数だけ強くなる世界で、俺は一度も死ねない  作者: もぺこ


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3/12

死なずに挑む者

この世界では、死ぬことが力になる。

死んだ回数が強さを決め、戦士たちは死を恐れず戦場に立つ。

だが、死なずに生き延びる少年は、そのルールから外れた存在だった。

今日、彼は初めて、自らの生き延びる戦術を試す。

死なずに挑む者として、未知の試練が待ち受ける——。


遺跡の奥に踏み込むと、空気はさらに重く、湿っていた。

敵の気配が、静寂の中に波紋のように広がる。

骨の獣が二体、ゆっくりとこちらを狙う。

仲間たちはもう何度も死に、戻っては力を増していた。

俺は剣を握らない。握れない。死んではいけないのだ。


「来るな…!」

声を抑え、身を低くする。

敵の動きを観察する。爪の角度、足の運び、跳ぶタイミング。

死なずに勝つためには、想定外を作ることしかない。


一体目が跳びかかる。

他の者なら斬られ、戻って力を得るだろう。

だが俺は違う。わずかな隙間を見極め、側面を走り抜ける。

二体目は反応が遅れ、壁に衝突してバランスを崩す。


「……なるほど、これが死なずに戦う方法か」

背後で英雄が呟いた。

彼は何百回も死んだ戦士だ。死を恐れない者の思考を理解している。

だが俺は、死なずに生き延びることだけを考えている。


罠の位置も利用する。天井の石片をわずかに揺らすと、獣が足を止める。

その瞬間、方向を変え、出口へと誘導する。

敵の攻撃は当たらない。だが、無傷でもない。心臓が跳ね、全身に汗が流れる。

これが俺の戦術だ。死なずに戦うための知恵。


戦闘が終わると、仲間たちが戻ってきた。

「すげえ…死ななかったぞ」

英雄の目も、少しだけ光を帯びている。

死を恐れず突っ込む者が英雄なら、死を恐れる者でも死なずに生き延びる戦術は、別の意味で強い。


遺跡の奥には、さらに未知の試練が待つ。

死ぬことで強くなる者たち。

死なずに生き延びる俺。

その両者が交わる時、世界はどう変わるのか——

死なずに戦う術を知った少年は、初めて自分の力を実感した。

しかし、死を恐れない者たちの世界では、力とは死んで得るもの。

その中で生き延びる者は異質であり、危険でもある。

次の章では、少年がさらに強敵と遭遇し、死なずに生き延びる戦術の真価が試される——。

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