day 2 過去からの旅人
「そこには書物でしか見た事が無かった。黒髪に童顔の青年が。
股間を抑えて立っていた。」
成る程、コレはオーケーだよねコレもう実質セックスだよね。
頂いていいよね。
「あのギャップもすごいんですけど言葉になってますよ後半の部分。」
そう股間を抑え、もじもじしながら言っていた。
エッロ、エッチあれ、人間ってこんなにエッチな種族だったの。
私は、ずっと一人で本を読んでいたから、外の人間は絶滅したと識っていたから、彼らと会うことなんて無いと思っていたのに。
だが、待て落ち着けセックスできるか、考えろ。じゃない、自分を抑えろ。
最近一人でシてないから溜まっているだけかもしれない。そんな風情も、ロマンチックさも欠片も無い理由で唯溜まっていたからという理由で行為に及ぶというのか。
いいや、そんな事なしに意外とイケちゃうかもしれない。
偶に本を読んでいると何故かムラッと来てしまう事が多々あるから官能小説で、「発散」していたりするのだが
その小説を読んで思った、、コレ私の方がエッチじゃねっと。
なにせこう見えて結構タッパあるしケツもでかいし胸もソレなりだし、顔も良いし色白だし。
しかもいい年だし。いけるよねセックス。
髪と瞳の色は気にしないでおこう。それなりのコンプレックスだから。髪とか、目、見てセックスなんてしないでしょ。少なくとも私が読んだ官能小説はやたら、尻だ、乳房だとかに注目していた。
いける。いけるかもしれないぞ。
人間は絶滅危惧種なんだし、男性が一人生き残っていた事に天に感謝しながらも喜んでセックスするべきだよね。そうだよね。
「あ、あの、、、」
そっかコレは、私が人を忘れる為の物語なんかじゃなくって
人間が絶滅した世界で最後の異性とセックス三昧の日々を過ごすエロ小説だった、、って事だよね。
そうして私は彼の尻に手を回して甘い言葉を吐く。
「大丈夫だよ、坊や、私が君を天国に連れて行ってあげるから。」
ふ、、、勝った。こんなエッチなセリフを言ってセックスしないなんてセックスに失礼だ。だから私はここで、処女を捨てられる!!
筈だったのだが、、
「いや、御免なさい。僕、、僕トイレに来たんで!!」
赤面しながら彼は私をトイレ部屋の外まで押し退け扉をビターンと閉めた。
じょろじょろじょろという小便の音を聞きながら私は考える。
どこで失敗したのだと。
⬜︎
私がとぼとぼ食事用テーブルに戻って来た時にはアルは二人分のお茶を淹れに行っていた。なにせ、機械も、お茶を嗜む時代ではあるがアルには口がない。歯車がその代わりをしているが見た目だけだ。
アレでは到底お茶など飲めはしない。
それを残念に思いながらも、
四人がけテーブルの椅子に座った。しばらくして小便を済ませた童顔の彼は椅子に座ることもなく、そのまま緊張したような面持ちで突っ立ていた。
壁にすらもたれず。
壁とは言っても本とそれを収める棚だらけの図書館なのでそれは本棚だったりするのだが、そんなことはどうでも良いな。
そう考えた後私は自省する。
・・年頃の娘らしくセックスがしたかった。
だけどそれは人間関係が熟してから行う事なのだと弁えもしなかったのだ。
成る程機会を誤るとは機械と一緒に15年以上の時を過ごして処女を拗らせた奴らしいとは言わないでね、
だって、私はこの時セックスについても、人間関係についても知りはしなかったのだから。
なんていう風に言いながらも納得していない私だった。
ありえない、ていうかどうしてだろう。
セックス、セックスだよ、確か昔は三代欲求の一つにも数えられていたものだよ。人類が生物として根本から変わってもセックスは娯楽として残り続けたって聞くし、ていうか、本で読んだのに、だったらみんなしたいはずだよね。
と隣にいる青年に語り掛ければ。
「えーそうですかねー。」
と煮え切らない返事が出てきた。
煮え切らない。全然煮え切らない、
私のどこがいけなかったのだろう。私って美人だよね
と、考えかけ私は肝心なことに気付く。
「もしかして、私って自分で思ってるほど美人じゃないのだろうか。」
続くのは否定の言葉。
「いえ、美人ですよ、肌も白くて、しかもきめ細やかで、鼻筋もスッとしていて、涙袋もあるのに子供っぽくなくて、正直羨ましいくらい。美人です。」
「そっか羨ましいくらいかーじゃあセックスしたい?」
「い、いいえ、それはちょっと僕達では。しかも早いと思います。」
「そっか、、、まだ早いか」
うーんやっぱりわからない。セックスだよセックス、
もう人類二人しかいないのにセックスしないなんて、これもう倫理観バグっちゃってるでしょ。
でも少しだけ、安心している自分がいるのはどうしてだろう、と考えていれば
「でも本当に綺麗なのはその髪色と瞳ですよね。」
と言われた。
あっけに取られた私の反応を気にすることなく彼は続ける
「絹のような白髪に、ルビーのような瞳、あぁほんと憧れちゃうな。」
この時私の中で何か優先順位のようなものが上がった。
⬜︎
そんなタイミングで、アルは帰ってきた。
茶が注がれた茶器と、急須を乗せた盆を持って来て。
それを見て、私はホゥっと感嘆の息を漏らす。
「今日は紅茶だ。やった!!いっつもより豪華だ」
「湯呑みなんて300年前のものよく有りましたね!?いや、そんな事よりそれは緑茶を入れるものじゃ。ていうか普段何飲んでるんですか。」
という彼の言葉に300年よりももっと昔だったようなと引っ掛かりを覚えたがそれもすぐに気にせずに盃をとり呷る。
「プハー、うまい五臓六腑に染みる。」
「おじさんがお酒飲んだ時のような事言ってますけど。」
「良いじゃないか、少年。細かいことは気にせず。処女と童貞同士、仲良くやろう。」
そう言って笑顔で茶器を渡す。
それを受け取ると彼は私を倣ったのかぐいっと、盃を呷った。
すぐさま空になる器。
「いける口ですね」っとアルが言った。私もその言葉に笑顔で頷きつつ
アルが持っている盆から、急須を奪い取り、彼の器に注ぐ。
会話は弾んだ。お茶飲んでるからね。
まずは自己紹介から始め、各自が好きなことと、最近あった怖かった事を言い会う事に相成った。
まずばアルから
「私の名前はアルマンA。好きなことはお嬢様のオナ「ゴホン」を覗く事。最近あった怖いことはお嬢様のお胸が何故か大きくなっている事ですかね。」
最初から爆弾を落としやがった
「覗いてたのか、アルマン。」
「いいえ、偶々見ただけです。」
「見てはいたんだ。このクソ変態ロボットが!!」と言うや手に持っていた湯呑みを投げた。
、それを彼は難なく受け取る。
しかもいつのまにか手にしていた布で湯呑みをピカピカに磨いて自慢気に見せつけて来やがったのだ。
「ふざけやがって!そこは、受け取る技量があろうとも甘んじてその歯車が顔みたいに噛み合っている顔面に紅茶をぶちまけさせる場面だろうが!!」
「嫌です。」
「即答するな!!あと、私の胸に驚異を感じるのもやめろ!お前の顔面は何考えてるかわかんなくて怖いんだよ!!」
次は急須を投げるぞ
「お嬢様が、初対面の方をセックスに誘うような変態で無くなれば良いですよ。」
「聞こえてたんだ、セックスはいいでしょ私達は絶滅危惧種なんだし。」
「・・・・・」
「ならオナニーに誘うのは」
「誘わないよ、、あとオナ、、なんて言葉は使うな!」
「・・・・・・・・・・」
どうしたんだろう。変なこと言ったかな
「次、童顔の君。」
そう告げると彼は少し躊躇しながらもこう答えた。
「僕の名前は蘭元 瑠璃。好きなものは読書、嫌いなもの、じゃ無くて最近怖かったものは・・・・・」
どうしたんだろうさっきの妙な沈黙と言い何かか心に引っ掛かる事があるのだろうか。
そんな私の視線に折れたのか彼は告げた。
「・・オナニーの音を聞かれることです。」
「オナ、、、」
やめてくれ私の性癖がドンドン捻じ曲がっていくでは無いか。
もしかしてさっき、シてたの〜と、思い始めてしまったでは無いか。
そんな私の様子を不思議に思いやがった奴がいる、アルだ。
「お嬢様、もしかしてセックスより、オナニーの方が言って恥ずかしい事だと考えているのでは無いのですか。」
「は、当然だろ何を言っているんだ君は」
と即答すると二人は私をよそに急にテーブルの隅でコソコソ話し始めた。
「お嬢様もしかして、とは思っていましたが。コレは教えてあげた方がいいのでしょうか。」
「ていうか、なんで性教育しなかったんですか、明らかに変な本読んで偏った知識しか持ってないじゃ無いですか。」
「本で読めば自然と理解すると考えていたのです、がどうやら、御客人の言った通りのようですね。」
「なら、教えても構いませんよね。」
「その前に聞ききましょう。どういう本を読んで。その知識を得たのか、お嬢様は本で読んでいない考え方以外には滅多に影響されない方ですから。」
「わかりました。」
地獄耳では無いので会話は聞こえなかったがなんと無く会話が終わった事を理解して、声をかける。
「どうしたの、私に何か言いたいことでも。」
二人は肩を同時に振るわせると同時にこっちを見て次に急須を持っている腕を気にすることなく掴みこう言った。
「「お嬢様、████████さん、実はオナニーよりもセックスの方が恥ずかしい言葉なんです。」」
そう言った。彼は恥ずかし気に目を伏せながら、アルは私の顔を真摯に見ながら。
「何を言ってるの、オナ、、自慰行為は恥ずかしいことで、セックスして子供を作ることはお金を、利益を得ることに繋がるって本に書いてあったよ。」
「何の本ですか。」
「新世界のセックス論と自慰行為の恥ずかしさって本。随分と昔に出版された本だったと思う、多分300年以上前の本じゃ無いかな。」
「あからさまなタイトルですね、ですがそれで諸悪の根源が分かりました。」
絶対に許さねえ、あのクソ本、とアルは口走ったあとすぐに、腕を離し本の林に埋もれていった。
どうしてあんなに怒っているのだろう。彼と二人っきりにされてしまったし、私が襲って彼の童貞を奪っても良いのだろうか、と考えていたが彼の言葉で考えを改めることになる。、
「████████さん、実はオナニーよりもせ、セックスの方が恥ずかしい言葉なんです!!」
「同じ言葉なのは気になるけど、それはともかく、セックスはするべきでオナ、自慰行為はするべきじゃ無いって、口にするのも恥ずかしいって、300年以前からずっと言われて来た考えなんじゃ無いの。だからこの『図書館』に残っているのかとばかり。」
「それは、偏った考えなんです。実際はせせ、セックスの方が恥ずかしいんです!!」
「なんでさ。」
「その本の内容覚えてますか。」
「うん。」
「その本の序論にはどう書いてありましたか。」
「『オナニーはセックスよりも恥ずかしく無い事だと思いがちですよね』ってあれ」
「そう気付きましたか。」
あ、まってもしかして、そういう。
「つまり、、私は300年以上前の本に騙されて」
「はい。」
「普通ならオナニーは恥ずかしい言葉だけれどセックスよりは恥ずかしく無いっていうのに」
「はい。」
「ずっとその逆だと思ってたって事?」
「はい。」
「あ、」
「はい。」
「ああ」
「はい?」
「あああ。」
「・・・・・・・」
「あああああああああああああああああああああああああああたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」
そうとんでもない羞恥とともに。
◼️
「ごめん、恥ずかしくて発狂して叫んじゃった。」
「気にしないでください。きっと僕も同じ立場ならそうなるかも知れませんし。」
そう言いながらも発狂してしまった折落としてしまった急須を拾いテーブルの上に置いてくれた。
「ありがとう。」
あとでこぼれた紅茶の中身を布巾で拭かなければいけない。
「気にしないでくださいよ。お茶はまだのこってますし。おいしく頂きます!」
「かわいい」
「え?」
口を衝いて本音が漏れていたらしい、それを誤魔化すために。「ゴホン」と咳払いをした後こう言った。
「まぁ、不老不死を実現した外の人間にとってコレは道楽に過ぎないんだろうけど飲んでよ。」
そう、彼は、彼らは不死身なのだ。いや、不老不死と言った方が良い。
確か250年前の『大改革』によって生まれた技術によって人の魂を観測しその物質を都合のいいように解釈してから現実化して不老不死になっているらしい。
・・・一様内容は覚えているものの肝心な仕組みや方法については理解出来なかった。
今重要なのは彼が不死身で、私が生身であるということ。
だからこそ、飲まず食わずで生きていける外の人達にとって道楽に過ぎないと判断したのだが、どうやら早計だったらしい。
「じ、実は伝えなければならないことがあります。」
彼はこう初めて次にこう告げた。
「僕はこの世界を救うために250年以前の過去からタイムスリップしてこの『図書館』に来たんです。」
それは、彼が魂を現実化して不老不死を得た人間ではなく、唯タイムスリップをして来ただけの、私と同じ生身の人間であることを示していた。