脳筋魔法使いが役に立たない件
手を洗いながら考えたんだけど、アマミちゃんってこんなに甘えん坊だったかな?流石にさっきは行き過ぎな感じがする。様子がおかしいのかもしれない。何かあったのかな?
いやいや、今日はキチガイ冒険者に恐喝されたんだっけ?僕は他者なんて信用していないからどうとでもなるけど、皆を信頼しているアマミちゃんにとっては過激すぎたのかもしれない。
確かにアマミちゃんはあの場所でもずっと笑顔だったのかもしれないけど、もしかしたら怖すぎてその表情のまま変えられなかったのかもしれない。もしかしたら僕に甘える理由もまだ怖さが残っているから?うーん、ちょっと今日はなすがままにしていてあげようかな?
そんなこんなで、夕食は終了しました。
「ところで、ギルドの件はどうなった?ちゃんと申請したか?」
「一応。こんな感じでCランクになった。」
「はぁ、Cランクか。それでも嘘に見えるな。まあ、人間の考えていることもよくわからん。」
「経験不足か何かだって。因みに、その時恐喝にあって散々だった件。」
一応、当時のことも簡潔に伝えておいた。役に立てばいいけど。
「全く、どうせお前たちのことだ。特に何事もなく終わったんだろうが…」
いやいや、何事もありすぎたからね!結果オーライって言葉で片付けないでよね!
「あまり目立った行動をするなよ?すぐ目をつけられるぞ?」
安心してください。もう手遅れです。と言うより、喧嘩吹っ掛けてきたのが向こうなのにどうしろと?!
「お腹一杯なんです!満足なんです!」
「本当か?余り物だけだぞ?」
「はい!お腹が空いていてもお腹一杯だと思えば一杯になるんです!は!もしかしてこれを駆使すれば何も食べなくても生きていけるのでは?!すごいんです!大発見なんです!」
それはない!あ、でも世の中にはそういう人がいてもおかしくはないよね…でも、少なくともここにいる奴らにそんな化け物はいないからね!
「アマミ、無理して思い込みをしなくてよいぞ?あまり無理すると体壊すぞ?」
「そうなんですか!じゃあお腹すいたんです!ミズハさんを食べるんです!」
だから痛いわ!精々口の中洗ってからにして、食べかすが腕に付いているんだけど!
「おいおい、人に噛みつくのは流石に駄目だぞ?」
「そうなんですか!」
いやそうだよ!
「普段はこんなことしなかったんですが…先程から自棄に甘えてきまして。まあ、アマミちゃんのことですからそのうち元に戻ります。」
「うーむ。ちょっと甘やかしすぎのような気もするが…ところで先に風呂にはいるか?」
うーん、食べたばかりだけど…
「いや、入るなら早めに焚くぞ?何せ、何百年も独り暮らしだったのでな。あまり実感がないと言うか。」
「あ、でしたらあまり気にしなくて良いですよ?なんなら手伝いましょうか?」
「手伝ってくれるのか?それはありがたい。」
「私も何か手伝うんです!」
「アマミちゃんは本棚にある本を読んでいた方がよい気がするけど?」
「分かりました!本棚を掃除するんです!」
うわ、嫌な予感しかしないよ。で、見事に的中した僕も凄いな!風呂を焚き終えたら物凄い音がしたよ!
「うわーん!本棚に押し潰されたんです!痛いです!」
ちょっと待とうか!どうしたらそんな状況になるんだよ!
「おい、大丈夫か!くそ、こいつってこんなに重かったのか。」
現状整理をしてみる。本棚が倒れてアマミちゃんが下敷きになっている。マジーラさんが本棚を直そうとしているけどどうやら重いらしくアマミちゃんを救出できない。以上。
…いやいや、以上じゃないよね!緊急事態だよね!アマミちゃん潰されてるじゃん!どうしてこうなったのかもよくわからないけど、それでギャーギャー泣き叫ぶだけで済んでるのも異常だよ!
「ま、マジーラさん?その本棚そんなに重たいんですか?!アマミちゃんが死んでしまいます!」
「す、すまない。魔法は使えるが浮遊系の魔法は使えないのだ。本棚を破壊したり吹き飛ばしたりなら容易だが…」
「アマミちゃんが死にます!!」
「だからできないのだ。自分は魔法使いだ。重いものを持ち運ぶことはできない。」
「強化魔法はどうですか!?」
「すまぬ。自分は援助系魔法は例え自分であっても殆んど無理だ。」
「うわーん!本だらけです!暗いです!怖いです!」
うーん、魔法使いって万能ではないらしい…いやいやそんなへんてこな感情に浸っていたら駄目だよね!というかアマミちゃんの叫び声もなんか変だろ!それ以前に気にすることあるよね!
「退いてください!あとは僕が何とかします!」
折角、ある程度力を解放しきったのに…回りから力を回収して本棚を立て直すことにする。
「な、お、お前…どんだけの馬鹿力だよ!」
こういう目で見られるからあまり使いたくない。後、馬鹿力って言う発言は禁止だからね!男装してても中身はレディだからね!熊を一撃ノックアウトしたやつが言うなって?!そんなのは聞こえません!
「アマミちゃん大丈夫?」
「うわーん!本に囲まれて真っ暗なんです!救出してください!!」
それぐらい自分で脱出してください。
「全く、どうすればそのはたきで本を叩くだけで本棚が倒れるんだ…と言うより怪我してないか?」
発言する順番逆じゃない?!
「怖かったです!本棚さんはきっと魔物なんです!今すぐ退治するんです!」
それはない!
「な、なんだと?」
「すいません、マジーラさん。お願いですので便乗しないでください。話がややこしくなります。」
「…す、すまない。」
「と言うよりアマミちゃん本当に大丈夫?怪我してない?」
「はい!数本骨がヒビいったかと思ったぐらいですが治しました!」
相変わらずたくましいなこの子!
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