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カボチャ頭のランタン  作者: mm
19.For Whom the Bell Tolls
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 リリオンの朝は早い。

 冬の寒い日はいつまでも温かなベッドの中にいたいと思うが、それでもどうにか起き上がる。

 珍しくランタンと一緒に寝ていなかった。

 レティシアが館で一緒に暮らすようになってからそういう日も多くはなったが、それでもやはり一人で寝ることは珍しいことだ。

 欠伸を一つして、寒さに急かされるように寝間着から着替えるとまだしんとした廊下に出て、階段を降りる。

 外は薄明るく白みはじめている。

 リリオンが向かったのは調理場だった。

「おはよう」

「おはよう、お嬢さま」

 調理場には先客がいた。

 リリララだった。この館で最も早く起きるのが彼女だった。

 短く切り揃えられた薄茶の髪から、お下げみたいに兎人族の長い耳が垂れている。

 レティシアほどの貴族が輿入れするのならば何十人もの従者をぞろぞろと引き連れてくるのが当然だったが、彼女についてきたのはリリララただ一人だった。

「もー、やめて!」

「はっはっ、冗談だよ。でもそんなに嫌がらなくたっていいだろ。実際にリリオンだってあたしのお嬢さまなんだから」

 リリララは畏まってへりくだってみせる。リリオンは頬を膨らませる。

「じゃあ、わたしをお嬢さまって呼ばないで」

「おっと一本取られた。リリオンさま」

「それもダメ!」

 リリオンがまだ眠たげな目を見開いて抗議の声を上げると、リリララは軽く両手を挙げて宥める。

 形式的なリリララの立場はこの館の主であるランタンの、その妻であるリリオンよりも圧倒的に下であるが、関係性は少しも変わっていなかった。

 大釜に水が張られて火にかけられていた。沸騰するにはもう少し時間がかかるだろうか。釜の内側に小さな気泡が少しずつ増え始めている。

 リリオンは腰まである長い髪を手早く纏めた。それから釜の湯をたらいに取り、水でぬるめて顔を洗った。

 脇からさっとタオルが渡される。リリオンは柔らかで清潔なタオルに顔を押しつけた。

 すっかり目が覚めた。うんと伸びをすると、隣のリリララが子供のように小さく見える。

「今日も寒いわね」

「ああ、そうだな。温かいもん用意してやんないと」

「うん。さてと」

 朝食の用意をするのはリリオンの役目だった。

 リリララはメイドとしてやってきたが、この館に彼女の仕事はそれほどない。朝一番に起きてすることはリリオンが朝食を作る、その用意をしておくことぐらいだ。

 食事は立場を問わず基本的には一緒に摂る。

 ランタン、リリオン、レティシア、ローサ、ガーランド、リリララ。

 六人分の食事を用意するのだが、普通の六人分ではとても足りない。探索者はそういうものだと思っていたけれど、中にはコップ一杯の酒だけですませるものもいるという。

 わたしはいつまで育ち盛りなんだろう、とリリオンは思う。

 塩漬けの豚肉と、根菜を主体とした野菜。玉葱はすでに皮が剥いてあって、少し萎びた白さを晒している。リリララが用意してくれたものだ。

 塩漬けの豚肉は冬の頃に値段が下がる。家畜の多くは秋に潰されて、塩漬けや燻製にされる。冬の間、家畜に食べさせる飼料を少なくするためだ。

 反面、野菜や穀物の値段は上がった。

 探索者としての稼ぎは安定して多く、ありがたいことにお金に困ったことはない。

 だが家族の食を預かる身として、リリオンはこういったことを知るようになり、知ったからには気にするようにもなった。

 そう言うことを念頭に置きながら買い物をするのは、リリオンがこれまで知らなかった面白さだった。

 パンは焼いてあるものを週に一度、七日分買い溜めるようにしている。足らなくなることはあっても余ることはない。自分で小麦を練って焼くこともあるが、毎日毎日それをすることは大変なことだ。

 大剣を振り回してもびくともしない自分の腕が、パン生地を丸めるだけで疲れてしまうなんてことがある。

 パンは七日目に近付くと、どれだけしっかり保存しても硬くなる。もともと長持ちするように焼き固めたパンを買うので、石みたいにかちこちになってしまうのだ。そうなるともう普通には食べられない。

 塩漬け肉の半分はスープに入れる。大きめのサイコロ大に切って、油が出るまで炒めたら人参、玉ねぎを一緒に入れて更に炒め、玉ねぎが半透明になったところで沸騰した大釜から湯を注ぐ。

 塩で味を調えながら煮込み、人参の一番硬いところに串が通るようになったら出来上がりだ。今は、まだかなり串に抵抗を感じる。

 塩漬け肉の残りの半分は厚切りにしてじっくり焼く。ランタンはかりかりになっているのが好みだった。

 出た油で同じぐらいの厚さに切った芋を両面焼き、それから目玉焼きを作る。目玉の硬さはその日の忙しさによる。

 つきっきりで見ていられたら半熟になるし、そんな余裕がない時はすっかり火が通ってしまう。

 料理を作っている最中にリリララが、あとはよろしく、と調理場から離れていった。

 沸いた湯で薬缶を満たし、向かった先はレティシアの寝室だ。彼女の起床の手伝いをすることは、ネイリングの屋敷から継続するリリララの務めだった。

 一人になったリリオンはまず卵を十個も割って牛乳で伸ばし、砂糖と塩を入れてしっかりと混ぜ合わせた。

 それから硬くなったパンを横に切る。のこぎりで引くみたいに、大げさに包丁を動かすと綺麗に切れる。

 そうして厚みを半分にしたパンを卵液に浸した。断面からしっかり卵液が吸い上げられたら、上下をひっくり返して全面にしっかりとまぶす。そのまましばらく浸しておく。

 そうこうしていると妹のローサが眠たそうに目を擦りながらやってきた。その隣にはガーランドもいる。今日は彼女と一緒に寝たようだった。

 しっかりとエプロンまで着けてメイドらしくしていたリリララとは異なり、ガーランドは濃紺のワンピースだけを身に着けている。その姿は修道女のように見えなくもないが、その鋭すぎる目つきはやはり戦士のものだ。

「おねーちゃん、おはよう」

「おっとと、ローサ。おはよう」

 ローサはリリオンに抱きついて、顔を擦りつける。

 ローサから一切の表情を奪ってしまえば、十五、六歳の少女がそこに現れるが、例え眠っている時でも彼女から表情を奪うことはできない。

 だからローサはいつだって七、八歳の子供に見える。猫に似た大きな目は吊り上がっているが、それさえ垂れ目に錯覚する。

 手が汚れているリリオンは抱きしめてやることができず、まさにお手上げといった感じで両手を挙げている。ローサはたっぷり姉の柔らかさや、温かさを堪能する。

「ガーランドさんもおはよう」

「ああ、おはよう」

 物静かな彼女は表情も変えずに、軽く頷きながらそう言った。

 荒事の方が似合う彼女は、けれども館の仕事をよくやってくれる。リリオンが何も言わずともスープの鍋が焦げ付かぬように混ぜ、火の勢いを調整した。使い終わった調理器具をさっと洗い、水滴を払った。

「ローサなにすればいい?」

「じゃあお皿を用意して」

「うん」

 ローサは食堂の方に用意された大きな円のテーブルに人数分の皿を用意する。テーブルには日が差し込んでいる。季節によっておく場所を変えて、いつだってそのテーブルは陽射しの中にある。

 手伝い始めの頃はがちゃがちゃと乱暴だったが、今ではそんなこともない。ぶつけたり落っことしたりして割れてしまう皿も月に一枚、あるかないかだ。

 一人一皿料理を出すと言うことをあまりしない。

 大皿にどんと盛りつけて、各自が自分の皿に取り分けるのがランタン家の作法だった。余ることもないし、足りないこともよほどない。

「してきてたよー。おつぎはなにすればいい?」

 ローサは次第に出来上がりつつある料理に鼻をひくつかせて、次の仕事をせがむ。

「じゃあパンを焼いちゃいましょう」

 武器のように大きなフライパンでも、六人分のパンを焼くのに一つではとても足りない。

 二人は並んで、リリオンがフライパンにバターと落とせば、ローサもそれに倣ってバターを落とした。しっかりと油をならし、火を弱める。

「切り口の方を下にして。うん、そうよ」

 すっかりふやけたパンをフライパンに並べて、じっくりと焼いていく。バターの濃厚な香りと、卵の甘い香りが次第に広がっていく。ローサはすぐにフライパンを揺すったり、裏返したがったりするが、ここはじっと我慢しなければならない。

「ひっくりかえしていい? もう、いい?」

「ええ、いいわよ」

 リリオンは手早く、次々にひっくり返す。ローサはまだ不器用で一つひっくり返す度に、自分の身体を大きく傾けるので、隣で見守るガーランドに何度もぶつかる。

「いいじゃないか」

 全部ひっくり返ったパンを見て、ガーランドが言った。

「ほんと?」

「ああ、うまそうだ」

 最初にひっくり返したものと、最後にひっくり返したもので焼き加減に差はあったがそれでも綺麗に焦げ目が浮かんでいる。砂糖の焦げた香ばしさが食欲をそそった。

「じゃあ、ガーランドさん。ランタンに声かけてきてもらっていい?」

「ああ」

「ローサがおこしてくるよ! ゆーれーこうたい」

「ああ」

 飛びだしていこうとするローサの背中をリリオンが呼び止める。

「ランタン疲れてるから、起きられなさそうだったら無理に起こさないでいいからね」

「わかった!」




 リリララはレティシアの寝室に入った。

 薄暗く、静かで、いい香りがする。

 貴族の娘らしい落ち着いて、それでいて華やかな部屋だった。

 魔道の力で部屋は心地良くぬくめられている。

 なんともまあこぢんまりとしてしまったなあ、とその部屋に入って思う。

 ネイリング領にある実家から、このティルナバンに構えた別荘でも格落ちだというのに、この部屋はそれにもまして質素だった。

 調度品の一つ一つは最高級のもので、その取り合わせは素晴らしいが、それでも比べてしまえば質素というほかない。

 大きなベッドの上にレティシアが眠っている。

 横向きになって、軽く膝を抱えるような形が冬の布団の上からでもわかった。

 かつては存在しなかった竜尾がレティシアから仰向けになっての睡眠を奪ったが、しかし横向きになるのは昔からの寝相だった。

 よく眠っている。

 枕に緩く波打つ紅の髪が広がって、それは大輪の薔薇のようだった。

 額から伸びる竜角は立派だが、この時ばかりは無粋だった。薔薇の蜜を吸いに突き立てられた異形の嘴のようだ。

 リリララは頬に掛かった髪を払ってやった。

「……ううん」

 レティシアは微かに声を漏らすが、起きる気配はなかった。

 無防備な寝顔だった。リリララはつい表情を緩める。寝顔だけじゃなくすっかり油断しきっている。

 ここは居心地がいいのだろう。

 リリララはレティシアの起床の用意をてきぱきと済ませる。

 水盆に小振りな水精結晶を乗せ、やかんの湯を注ぐとそれに亀裂が入り、水が溢れた。適温になった湯にタオルを浸した。

「お嬢、起きな。朝だよ」

 腹の辺りまで布団を捲り、雑な手つきで肩を揺すった。

「うぅ」

 いかにも貴人相手にするように礼を尽くすこともあれば、こんな風に乱暴に起こすこともある。それは毎日毎日繰り返される日常の些細な変化だった。

 レティシアは鬱陶しそうな呻き声を上げる。

 こんな風にするのはリリララが起こした時ぐらいのものだ。きっと相手がランタンだろうとも、あるいはだからこそ、こんな気の緩んだ姿は見せない。

 この寝起きのよくないレティシアの姿を知っているのは、もしかしたらリリララ一人かもしれない。

 肩をいからして、揺する手をはねのける。頑ななほど起きようとしない。いや、もう一度寝ようとしている。

 リリララはレティシアの髪を掻き上げ、その耳元に唇を寄せた。

「起きて、レティ。ぼくだよ。ランタンだよ」

 少しも似ていないランタンの声真似をし、耳に息を吹きかけるとレティシアの肩が震えた。鼻から笑い声が漏れて、欠伸と溜め息の間の妙な息を吐いた。

「……似てないぞ。くだらなくて起きてしまったじゃないか」

「そりゃ悪かったな。ほら、起きたんならちゃんと起きな。リリオンなんかもっと早く起きて料理を作ってるんだぞ。そんなんじゃ正妻の座を奪えないぜ」

「そんなものはいらん。ふわぁ、朝食は何かな」

 レティシアはのそりと起き上がった。まだ締まりのない顔をしている。ベッドから竜尾だけがだらりと垂れる。布団の下に竜種が隠れているようだった。

 リリララは温めたタオルを固く絞り、柔らかく広げた。レティシアは広げられたタオルに顔を押しつける。ああ、とか、うう、と呻きながらしばらくそうして、それから顔を洗った。

 レティシアをベッドに座らせたまま、リリララは彼女の髪に丁寧に櫛を通す。

 角が生えてから、少しだけやり方を変えた。兎の耳が生えている自分の頭で何度か練習し、器用に角を避けて櫛が往復する。

 この角は硬いが、意外と敏感だ。かりかりと引っ掻くと、頭の内側に音が響くのだという。いたずらしてやったら、全身にびっしり鳥肌を立てていた。ランタンに教えてやろう、と思う。もう知っているかもしれないが。

「ふうむ、私も少しは料理をできるようにしようかな」

「そりゃ殊勝なことだ。焼いたり煮たりだけじゃなくて、形よく切ったりする必要もあるぜ。できるか?」

「馬鹿にするんじゃない。それぐらいはできる。やはり家族となったからには家庭のことはしないとな」

「じゃあこれからは一人で起きれるか?」

「ん? 仕事がなくなって困るのはリリララだろう」

「あ、ひでー。仕事がなかったらお役御免かよ。捨てられたらこっそり天井裏に住みついてやる」

「そこにはガーランドがすでに住んでいるぞ」

「それで夜な夜なランタンとどんなことしてるのかのぞき見してやる」

「それは恥ずかしいな。リリララに見られるのは特に。しかたがない、しばらくは私を起こす名誉をやろう」

「ありがたき幸せにございますよっと。ほら、こんなもんでどうだ?」

「うん、いいだろう。しばらくは仕事に困らんな」

「お召し物はどうするよ」

「今日の予定は何だったか」

「午前は陳情が三つ。午後は銀行家どもとの会合がある。その後はアシュレイさまとお茶の時間だ」

「では右だ」

「あいよ」

 リリララは手早く選んだ衣装に合わせたアクセサリーを用意する。着替えるのは食事の後だった。

 レティシアは寝間着の上から羽織を肩に掛け、ようやくベッドから下りた。

 背筋はしゃっきりとして、二度寝しようとしていたとは思えない。

 部屋の外から声が聞こえてくる。

「おっにいちゃん! おっねぼうさん! おきてー!」

 借金取りみたいに扉を叩く音が響き、歌うみたいなローサの呼びかけが聞こえてくる。

「教会の鐘よりうるせえな」

「ははは、うかうかしてるとリリララの仕事がなくなってしまうな」

「おきてー!!」

「ぜんぜん起きないな」

「昨日はさすがに疲れたみたいだからな。命金制度もいいが、ランタンが断らないことをいいことに頼り過ぎじゃないか?」

 命金制度は、命金と呼ばれる一定の保証金を支払うことで探索中危機に陥った場合に制度に参加している探索者が救援に来てくれるという制度だ。

 参加者もそれほど多くはないし、救援の成功率も高くはないが、それでも失われるはずだった命のいくつかは救われている。

 二人が部屋を出ると、開け放たれた扉の向こうでランタンがベッドから引っ張り出されているのが見えた。半分以上眠っているようだが、ローサはお構いなしに腕を引っ張る。

「わかったから、起きるよ」

「ローサがね、たまごのパンをやいたんだ」

「ああ、そう」

 寝衣の上から綿入れに袖を通し、ローサに手を引かれる。

「おはよう、二人とも」

「おはようさん」

「おはよー!」

 声をかけた二人にローサは元気よく挨拶を返すが、ランタンは手を上げて欠伸をするばかりだ。

「眠たそうだな。寝られなかったのか?」

「ねたよ。でももう少し寝たい」

 レティシアはランタンの睫毛についた目脂を取ってやり、寝癖のついた髪に指を通す。




 夢遊病みたいな足取りで食堂に着くと、ランタンは尻餅をつくみたいに椅子に座った。

 暖かい陽射しの中で目を細める姿には独特の雰囲気がある。

「ほら」

「ありがと」

 ガーランドが温かいお茶を用意し、ランタンはカップを両手で包んむようにして唇を湿らせる。

「おはよ、ランタン。ローサに起こされちゃった? もう一度寝てくる?」

「おはよう、リリオン。いいよ、ご飯食べる。寝るのはそれから」

「そう? じゃあ、もうできるからね」

「うん」

 調理場の方から聞こえる賑やかな声にランタンは一人で耳を傾ける。まだ夢の中に片脚を残しているが、その声を聞いていると現実をよく実感できる。

 それでも欠伸は止まらない。

 みんなで手分けをして料理を運んできた。テーブルに肘を突いていたランタンは、手を膝の上に置いて邪魔にならないようにする。

 大きな鍋いっぱいに作ったスープは淡く濁り、人参の色が透けて目立つ。たっぷりの野菜の甘い匂いがする。リリオンが器によそってくれる。肉も野菜もごろごろしていて温かそうだ。

 大皿に厚切りの塩漬け豚肉と目玉焼きが並んでいる。塩漬け肉は一番よく焼けて油が切れているものを、目玉焼きは一番半熟そうなのを選んで皿に取る。付け合わせの芋と酢漬けのキャベツも一緒によそい、甘く煮た豆には手をつけない。

「わあ、なんか豪華だねえ」

 卵液に浸して焼いたパンは陽射しの中で黄金に見える。

 日の経ったパンの硬さはなくなってしっとりとしていた。砂糖の焦げた茶色い焼き目から、微かな苦みを帯びた甘い香りがする。ただ卵で焼いただけのものもあれば、チーズやハムを乗せたものもある。

 ランタンの左右にリリオンとレティシアが座り、リリオンの隣にローサが、レティシアのとなりにリリララが着席する。ガーランドは真正面だった。

「おかわりは沢山あるから遠慮しないでね」

 リリオンが告げる。

「いただきます」

 ランタンがそう言うと、みんながそれに続いた。ガーランドでさえ。

「ああ、おいし。あったまる。黄味つぶしちゃお」

「えへへ、よかった。いっぱい食べてね」

「今日も抜群だ」

「んまい。お嬢もこれぐらいできるようにならないとな」

「これね、ローサやいたいんだよ」

「上手く焼けてる。味もいい」

 穏やかで、賑やかな日常の朝がそこにあった。


なにもない朝の日常

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― 新着の感想 ―
[一言] こんな、何もない日常こそがランタンに対する最高の報酬ですよね。見ててほんとに微笑ましくてこっちまで幸せな気分になれました。
[一言] レティシアとリリララのランタン屋敷での日常が見見られてよかったです。 しかし、このなごやかな日常は嵐の前の静けさを感じます…
[良い点] 面白かったです。 最高でした。
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