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カボチャ頭のランタン  作者: mm
12.Over The Hypernova
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 ランタンには妙な雰囲気がある。

 子供のようでもあり、大人のようでもある。

 久し振りに会ってその得体の知れぬ雰囲気はよりいっそう深まったように思える。

 胸に抱えればとことん甘やかしたくもなるのだが、ふと気が付けば身体を預けてしまっている自分に気が付く。

 そして気が付いた時にはもう遅い。

 我に返ったレティシアはひどく落ち込んでいた。

 本当ならば何もかもを独力で、それが適わずともドゥアルテやアシュレイなどの助力を得て、秘密裏に事を収めてしまおうと考えていた。

 だと言うのにそんな目論見は、端から存在しなかったように口付けの一つで粉砕されてしまった。

 何もかもをさらけ出してしまった。

 戦火に飲まれた魂を慰撫するため、という目的に嘘はない。

 だが同時に民衆の目を逸らすため、という目的も真実だ。

 年明けに予定される鎮魂祭。その目玉である闘技会はすでに既定路線で、だが巨人族を呼び寄せるかどうかはまだ紛糾している。

 それもそうだ。

 巨人族が極北の地に追放されて千年、彼らの巨大な足がこの大地から離れた年月に等しい。

 研究目的でこちらに連れて来られたことはあっても、それらは身体の自由を奪ってのことだ。戦闘能力を有したままにさせるなどとんでもない。

 古い研究記録に残された、無力化の処置はあまりに無惨だ。

 それらは巨人族が人扱いされていないことの証明であり、またいかに彼らが頑強で、そして人々がその頑強さを恐れていたかの証明でもあった。

 ゆえに巨人族の相手は吟味しなければならない。

 勝負の果てに負けてしまっては意味がない。人が勝利を収めてこそ、それは意味がある。

 挑戦者にランタンやリリオンの名が上がったのはそれほど不思議な話ではない。

 二人の探索者としての実力はすでに広く知られており、特にランタンの単独迷宮攻略の功績は、よほどの田舎者でもないかぎり知らぬものはない。

 巨人族を相手にするのも、迷宮を相手にするのも困難の度合いでいえば似たようなものかもしれなかった。

 もう少しランタンが弱ければ、とレティシアは思う。

 もう少しだけでもランタンが弱い存在だったら、自分はこれほどこの少年に甘えたりはしないだろう。

 寝所をともにしてレティシアはランタンに縋り付いた。

 太ももの間にランタンの足を挟み込んで、揉み手をするみたいに足先を擦りあわせる。冷気の纏わり付く小さな足が自らの体温で温かくなっていくことに幸福感を憶えた。

「リリオンの所に、行ってもいいんだぞ」

 レティシアは無意識に呟いて、ランタンに苦笑される。

「レティの肉体(からだ)は、ぜんぜん逆のことを言ってるよ」

 挟み込んだ足は決して離すまいとしている。

 ランタンにしてみれば何となしの言葉だったのだろうが、レティシアは意味深にそれを受け取って途端に恥ずかしくなる。

 辱めを受けた身体は熱を持って、レティシアはそれを誤魔化すようにランタンを甘噛みした。

 輪郭と首筋の境の辺りに、歯を滑らせる。乳歯の生え替わる時期に、こんなむず痒さを感じたことがある。

 角が生えて、尻尾も生えた。ならば歯もまた生え替わるかもしれない。

 ふん、とランタンは小さく鼻を鳴らして笑った。

「よだれ」

 たった一言で身体が痺れる。

 レティシアは涎を舌先で舐め取って、それからぐいと袖を伸ばすと丁寧に拭った。

「……」

 闇の中でランタンの焦茶の瞳がいやに明るい。じっと見据えられてレティシアはしどろもどろに視線を彷徨わせる。

「リリオンみたいだった」

「……何をさせているんだ、リリオンに」

「させてるなんて人聞きの悪い。レティは僕に何をしてくれたの?」

 言い返されてレティシアは黙り込む。布団の下でランタンの裾をぎゅっと掴んでひっぱった。

「レティは大人の女の人だと思ってたんだけど、今日はちょっと子供みたいだね」

「そう、かな?」

「そうだよ。きっと今、レティは不安なんだ」

「うん」

 見透かされるような視線にレティシアは素直に頷いた。

 途端にランタンの腕が腰に回って、レティシアは無力なほどに抱き寄せられる。

 力強い。もとより抵抗する気などさらさらないが、もし本気で抵抗したとしてもきっと抜け出せないだろう。

 腕力だけではなく、その存在によって。

 同じ石鹸の匂いの奥に、少年の匂いがあった。日溜まりの匂いだ。

 あっという間に意気地が無くなってしまって、レティシアはランタンに身体を預ける。

 血反吐を吐くほどに悔しい自分の無力が、この状況を正当化する理由となって、レティシアはそれを肯定しそうになるのをどうにか堪える。

「大丈夫だよ。どうにかする」

 悪魔というものは人を堕落させるという。

 もしかしたらランタンはそれに類するものかもしれない、と思わずにはいられない。

 魔性の雰囲気。

 ランタンの持つ妙な雰囲気はそれだろうか。だがこの暖かな気配は、魔性とはむしろ真逆のように思う。

 ランタンが、どうにかする、と言えば、本当にそれだけどうにかなってしまいそうだった。

 腰を這い上がり、あやすように背中を撫でる手つきが優しい。

 焦茶の瞳の奥に、妖しく燈る炎がある。目を逸らすことができない。

 レティシアはせがむように唇を尖らせて、ランタンは舐め取るように口付けをする。

 レティシアは今このひととき子供のようにであっても、やはり大人の女だった。

 離れるランタンを追いかけて、重なる唇の間で囁きあった。

「もっと」

「ねむれなくなるよ」

「私とこうするよりも、睡眠が大切なのか?」

 少なからず傷ついた声だった。ランタンは困った顔をする。

 不随意な尾が、まだ長さも足らぬのにランタンの足に絡もうと捻れ、レティシアはそれを随意に動かす方法を微かに理解する。

「疲れてる時にそういう雰囲気になるのって、男だけなんだと思ってた」

「愛する異性と同衾すれば、男も女も関係ないだろう」

「そういうものなの?」

「……いや、その受け売りだが」

「なんの受け売り?」

「そういう書物がある。指南書というか、男女の機微を記した……」

「へえ、ふうん。そういうの、読むんだ」

「読む。それが貴族の女の重要な役目だからだ」

「ああ、そういう。――男にはできないことだもんね」

 大変だね、などとランタンは嘯く。

「だが女一人でもできない」

 これがつい先程まで、匂い立つような魔精を感じさせた少年だろうか。

 レティシアは思わず喉奥で唸った。幼竜が不満を表す時のように、くるるるる、と喉が揺れる。

「かわいい」

「そんな言葉に、誤魔化されないぞ」

 誘ってきたのはそっちだろう、とレティシアは思うのだが、それはもしかしたら自分の思い違いかもしれない。

 やはり魔性だ。無意識に女を誘うところがある。視線移動の一つだけで、女を勘違いさせる。

 風呂場でもそうだった。

 抱き寄せた腰の細さが生々しく伝わるほどに身を寄せているのに、重なり合うそこに男の強張りがないことがレティシアをふて腐らせる。

「私はそんなに魅力がないか」

「魅力がなかったら、僕はこんなに苦労してないよ」

 ランタンは真面目くさって言う。それどころか腹立たしさすら感じるかもしれない。

「だが、これは男自身ではどうにもならないんだろう。きかん坊だ、と書いてあった。だからこそ女はこれを慰めるようにと書物には」

「それを書いたやつは、努力が足らない。そんな本は捨ててしまえ」

 言い切ったランタンには確かに説得力があった。

 四六時中あの美しい少女と一緒にいて、未だに純潔を守っているのは一種の狂気といって間違いではない。しかもそれがまさにそういう時期の少年のことであり、なおかつその美しい少女は間違いなく全てを喜んで受け入れると言うのに。

「精神統一と心頭滅却と、鋼の自制心と血流操作でどうにかなる。……ならない時もあるけど」

「ならない時もあるんじゃないか」

 レティシアはひどく落ち込んで、しかしこの落ち込みは、ベッドに横たわったその時にあったものとはまったく別のそれだった。

「我慢なんてしなくていいのに」

「無理に我慢してる訳じゃないんだよ。やっぱり興味もあるし。ちょっと前は、もう少し前のめりだったし。でも、今こうしてるだけでも気持ちいいし、楽しいし。レティには物足りないみたいだけど。やっぱり大人の女の人は違うね」

 背中にあったランタンの手が腰を撫でて、内腿に滑り込んだ。レティシアは物凄くどきどきするのだが、ランタンはつれない。

「今日はここで寝るから、足離して。血が止まっちゃうよ」

 レティシアに解放された足にさっと血が流れ込んで痺れる。

 もう一度口付けをして、ランタンは小さく微笑む。

「どっちに首を傾けようかなんて相談してないのに、するときってどうすればいいかわかる」

 不思議だ、と呟いて、小さな子供の舌がいたずらにレティシアの舌先を突いた。

「焦らなくても、きっとその内、そういうときが来るよ」

 神託のようにそう言って、ランタンはさっさと目を瞑ってしまった。

「……そう言うときが」

 レティシアは呟いて、目を瞑ると目蓋の裏に色々と想像してしまって、しばらく寝付くことができなかった。

 隣で穏やかな寝息を立てているランタンが憎らしく、愛おしい。




 ローサがおどおどしてランタンとリリオンの顔を見比べる。

 リリオンは腰に手を当ててランタンを睨むように見下ろし、ランタンは腕を組んでリリオンを()めつけるように見上げている。

 ぴりりとした空気が二人の間には渦巻いており、それは火を近づければ途端に燃え上がってしまうのではないかと思えるほどだ。

 そんな二人にかける言葉も見つけられず、ローサはすでに目にいっぱい涙を溜めておろおろしている。

 水底に潜む大魚が突如、身を翻すようにローサは背後を振り返る。

 潤んだ瞳を向けた先にはリリララが盛大に欠伸をしている。飛び掛かるローサに片手を向けて、止まれ、と一言発するとローサは石化の呪いをかけられたみたいに制止する。

「どうした、あわてて」

 ローサはさっそくリリララの舎弟にされてしまった。

「おねーちゃんとおにーちゃんが……」

 本人を目の前にして、指をさして告げ口をする。

 リリララは面倒臭そうに視線を向けて、指編みにしていた妖糸を纏めにかかる。

「ああ、ちょっとまて。こっちの方が重要だ」

 犬歯で糸を切ろうとして、だが逆に歯が抜けてしまいそうになるので顔を顰め、舌打ち一つ。おい、と隣に呼びかける。

 竜種の成獣の爪や角は極めて硬い。鋼をバターのように切り裂く。そんな爪角を手入れをするためのやすりで、がりごりと爪を削るベリレはやすり目に詰まった削りかすをふっと吹いた。

 額には包帯を巻いており、その包帯の下には額を横断するほどの切り傷がある。

「なんだよ」

「これ、切ってくれ。それぐらいにしか役に立たねえんだから」

 ベリレはまだ尖った爪でどうにか糸を裁って、リリララは出来上がったシュシュの出来映えを確認する。

「ほら、どうだ」

 妖糸は妖毛を紡いだものであり、出来上がったそれは柔軟かつ丈夫だった。生糸の状態で絹に似た光沢がある。収縮性に富み、捻って二重にしたものをローサの尾の先に嵌めてやると、ローサは溜まった涙もそのままにぱっと笑う。

 手を振るみたいにひょこひょこと尾を揺らす。

「えへー」

 そして激しく顔を振った。涙が振り落とされる。

「ちがう」

「そうか? 上出来だと思うけど。気に入らないなら返せ」

「やー!」

 ローサは自分の尾を追いかけるように胴体を捻り、その場で三回転もして目を回した。尻尾の先にぼっと火がついて、しかしシュシュは燃えなかった。

「おねーちゃんと、おにーちゃんが、……うー」

 言葉の先がでないのは、目を回しているからではなくて、喧嘩という単語をまだ知らないからだった。

 よたよたとして身体を横たえたローサをリリララは背もたれにする。ぞんざいな手つきで背中を撫でながら、にやにやした目つきになる。

「いーんだよ、別に。ほっとけば、なあ?」

「まあ、そうかな」

「ほんと?」

 真っ直ぐに見つめられてベリレは思わず視線を逸らす。

「ほんと。あれは、なんというか、喧嘩してるように見えるけど違うんだ」

「ほんと?」

「ほんとだって。いつか肩車もするし、明日はたぶん晴れるし、あの二人もすぐににこにこになるから」

 半信半疑の視線を向けられて、ベリレは困ったように、それでいて慎重に頭を掻く。

「少なくとも肩車は本当の本当だ」

「うん」

 ローサは頷く。

「あれは喧嘩しているように見えて、いちゃいちゃしてるんだよ。どうせ、いつもどおりだ。耳塞いでないと砂吐く羽目になるから気を付けないとな。最後には目もつむるんだぞ。子供が見るには刺激が強いからな」

 ひどい言われようだが、リリララの言い様は大きく外れてはいなかった。

 二人は、どちらが巨人族と戦うか、という点において言い争っていた。

 その話を聞かされたリリオンは動揺することもなく、むしろ積極的だった。復讐に燃えているという感じではない。ついに、来るべき時が来た、という感じだった。

「だーかーらー、ランタンはもう充分に戦ったでしょ。じゃあ、次はわたしの順番じゃない」

「順番とか順番じゃないって言う話じゃないし、ぜんぜん充分に戦ってない。まだ足らない、ぜんぜん足らない」

 血に飢えた獣のような言いぐさである。

「嘘よ。わたし、知ってるんだからね。ランタンは優しい、本当は、自分で言うほど戦うの好きじゃないのよ」

「そんなことはない。っていうか戦うのが好きじゃないって言うならリリオンだってそうだろ」

「好き嫌いの問題じゃないわ。戦いは、やるべき時があるのよ」

 ベリレがふと顔を上げる。

 やはり四六時中もいっしょにいると考え方が似るのだろうか。

「戦いなんて避けられるなら避けた方がいいに決まってる」

「――どーしたベリレ、毒蜂を口に含んだみたいな顔して」

「――いや」

「じゃあランタンだって、そうじゃない」

「男はいいんだよ。どうなったって。野垂れ死んだっていいんだ」

 ベリレは喉奥を毒針で刺されたような顔をする。

「いいわけないでしょ!」

 叱るような言い方に、ランタンが気圧される。組んだ腕を解いて、手汗を裾で拭う。

 リリオンはその隙を逃さずに畳みかける。

「第一、ランタンには巨人族と戦う理由がないじゃない」

「ある」

「言ってごらんなさいよ」

「リリオンが昔、苛められて泣かされた。やる理由には充分だろう」

「充分じゃないわ。ランタンが何かされたわけじゃないじゃない」

「いーや、充分だ。好きな子が泣かされたんだから、泣かした奴を叩いて、叩いて、叩きのめすのは当然のことだ」

 ほら始まった、と野次馬が言う。

 リリオンは大きく息を吸った。胸を膨らませて、それから吐き出した息が鋭い。

「――――わたしが、かってに泣いただけよ」

「はあ?」

「わたし、泣かされてないもん。わたしがかってに泣いただけだもん。だからランタンが戦う理由はないんだわ。だからわたしが戦うのよ。わたしがするの。したいの」

 リリオンが捲し立て、頬を膨らませると、唇を一文字に結ぶ。淡褐色の瞳が鋭く釣り上がっている。

 ランタンはランタンで言葉を吟味して、しかし打開策を見つけられない。

 この言い争いは理屈では解決せず、感情によって圧倒するだけが全てだった。

 そしてランタンもリリオンもどちらも、どうしようもなく頑固なのである。

「これで、自薦した挙げ句に向こうの偉いさんに却下されたら笑えるな」

「たしかに」

 何を想像したのかベリレが低い声で笑う。

 たしかにじゃないよ、とランタンは心の内で呪いながら野次馬を睨み付ける。

 リリララもベリレもすっかりくつろいでいて、ただ一人ローサだけが心配そうな視線を向けくる。

 ランタンと視線が合うと、やはりいても立ってもいられなくなったのかすっと立ち上がった。

 ローサを背もたれにしていたリリララは座りながらにして投げ出されるように転んだ。

「おいっ」

「にーちゃんも、おねーちゃんも、もうだめ!」

 狭い部屋の中で突進されて、避けるという選択肢は奪われている。避けたらローサはこのまま窓に突っ込むだろう。

 ランタンはどうにかローサを受け止めて、踏鞴を踏んだランタンをリリオンが受け止める。二人の間で押し潰されたランタンは呻き声を上げて、三人は一塊になってその場に倒れ込んだ。

「どーして、たくさん、おおきいこえだすの! ローサやだ、それ!」

「リリオン、一時休戦だ」

「うん」

 ひそひそ声でリリオンと言葉を交わすと、ローサはずいと顔を寄せて虎の耳をひくひく動かす。

「なにのはなし?」

「大きい声出さないよ。しばらくは」

「ほんと?」

「ほんとうよ、わたしとランタン仲良しだから、ねー」

 ほら、とリリオンは後ろからランタンに抱きついて、過剰なほどに身を寄せる。不安そうなローサの顔が次第にほころんで、ベリレを振り返った。

「ほんとだった! ローサもなかよししたい」

 振り返った顔を、目が回るような速さで振り戻してローサはリリオンの真似をする。炎虎の巨体が炎を燻らせながら擦りつけられる。

 ランタンは二人の少女の間で磨り潰されそうになって、藻掻くように手を伸ばした。

「助けてくれ」

「男は野垂れ死んでもいいんだろ?」

 ふん、とベリレが鼻で笑い。震える指先を一瞥する。

「くそ、女々しい奴め。無理矢理にでも足洗ってやればよかった。なんならついでに手も洗ってやるぞ」

「いらん」

 ランタンとベリレが言い争っていると、ランタンの上で好き勝手に身体を擦りつけていたローサが息の掛かる距離まで顔を近付ける。

「だめ」

 ひと言言って、拗ねるように叱るように唇を尖らせる。二人の顔を交互に見て、満面に自信を漲らせて口を開いた。

「――おにーちゃんたちも、なかよしして」

 ランタンとベリレは顔を見合わせ、示し合わせたわけでもないのにまったく同時に口を開く。

「絶対にいやだ」

「どおして!」

 ローサはわかりやすく傷心して、わんわんと泣いた。

 窓の外で雨脚が強くなり、翌日の水溜まりに氷が張った。



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