表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー ~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~  作者: エース皇命
勇者祭編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/110

その93 認められる実力

 観客席では先にグレイソンが場所を取ってくれていた。


 階段を上がるや否や、満面の笑みで手を振り、自分の存在をアピールしてきたのだ。


 意外だったのは、その隣にいる存在。


 戦闘時に観客席の配置は確認していたので、グレイソンが誰の隣に座っているのかはわかっていた。とはいえ、こうして近くで見てみると、普段見ることのない組み合わせに驚く自分がいる。


 グレイソンの隣にいたのは、優勝候補(アレク)が注目している〈1-A〉の実力者、獅子王(ししおう)レオンだった。


 俺がやってくるのを見ると、余裕そうな表情そのままに、席から立ち上がる。


西園寺(さいおんじ)、あの手際でゴーレムを捌けば、あと三十体は倒せてた。つまりは、そういうことだな」


「何が言いたい?」


「オレはそれこそ精一杯やって百八十点程度。だが、お前はそれ以上得点を稼ぐ力と余裕があった。そう言ってるんだ。はっは! 完敗だ! 敵ながら天晴れだぜ!」


 最初は責められているのかと思った。


 エイダンが言うように、まだやれるなら本気で最後までやれよ、と。


 だが、思っていたより素直というか、しっかり見ているというか、いい奴というか。相手の実力を認め、自分よりも凄いと称賛できるような人間は少ない。


 獅子王は豪快にガハハと笑い、俺の肩をドンドンと、かなりの衝撃が来るほどのパワーで叩いた。


「同じクラスにこんな面白い奴がいたとはな! 久しぶりに本気で戦いたくなったわい」


 獅子王はいつも以上に生き生きしている。

 教室では、毎回の授業をどっしりと構え、退屈そうに聞いている印象があった。


「二次予選で戦おうぜ」


 最後まで豪快に笑いながら、獅子王は通路を抜けて俺達のもとを去っていった。


 別にこのままここにいても良かったのだが。

 いつもひとりでいる様子を知る限り、こういう時に一緒に観戦するような友達はいなさそうだ。


 だからこそ、彼がグレイソンと話しているのを見て驚いたのだった。


「獅子王君、オスカーの凄さに少しずつ気づいていっているみたいだよ」


 俺が聞くより先に、グレイソンが説明してくれる。

 

 自分(グレイソン)から俺の話を聞きたくて、わざわざ声をかけにきたんだろう、と。


「もう流石に誤魔化せそうになかったから、キミの実力をはっきりと認めた発言をしたけど、大丈夫だったかい?」


「なに、奴はクラスメイトだ。もうクラスメイトに実力を隠す気はない」


 ただ「かっこよさそう」だと思って実力を隠してるだけだから、とは言わなかった。


「それにしても、獅子王の方から接触してくるとは思わなかった。奴も相当な実力者だ。白竜(はくりゅう)アレクサンダーも彼に一目置いていたくらいだからな」


「あの副会長が? そういえば、オスカーのグループ、副会長が百点のミスリルゴーレムを倒して盛り上がってたよ」


「ミスリルゴーレムか。戦ったことはないな」


「そういえば、オスカーは副会長の実力に関してどう思ってるんだい?」


「未知数だ。彼が俺を未知数と評価するように、俺も同じく彼を未知数だと考える」


 アレクが呼び出した強烈な稲妻のことを思い出した。


 耳をつんざくような轟音と共に、魔王セトを倒せると思えるだけの、高威力の技を見せられたのだ。

 あの芸当は俺にはできない。


 彼の神能(スキル)が関係していることは確実だが、あの威力の稲妻を使うとなれば、何らかの条件や制約を伴うはず。

 それだけ、彼のあの稲妻(・・)は脅威に映った。


「その副会長は、どうやらグレイソンにも注目しているらしい」


 話の隙をついて、さらっと補足する。


 グレイソンも相当腕を上げている。

 しっかり実力が認められ、あの実力者(アレク)から警戒されているんだ、と知ってもらいたかった。


「え、僕!?」


「なに、驚くことでもない」


 俺はそれだけ言って、軽く微笑んだ。


 彼はこの勇者祭の準備のため、今まで以上に厳しい訓練を積んでいる。夏休み前よりも、また頭ひとつ分伸びたくらいに。

 その努力を普段から見せられている身としては、もっと自分に誇りを持って臨んで欲しい。


 闘技場に差し込む強い日差しが、昼の到来を告げていた。


 今日はとんでもなく暑い。雲ひとつ見当たらない。

 観客席は日陰になるように上手く設計されているが、実際戦う場所は炎天下なのだ。


 刺客でも対戦相手でもなく、暑さにやられる生徒も続出するかもしれない。


「オスカー、キミが褒めてくれて調子に乗るわけじゃないけど……優勝を目指すよ」


 少々遠慮がちだったが、迷いのない瞳がその熱い想いを物語っていた。


 それでこそグレイソンだ。

 決闘の時、俺は彼に高みを示した。それはすぐ近くにありながら、遥かに遠いもの。


『まずはお前に目指すべき高みを示そう。それは……俺だ』


 その言葉に突き動かされるように、めきめきと実力を伸ばしていった。

 俺はそんな彼を誰よりも誇りに思う。


 そして――。


「そうか。なら俺も、その気持ちに応えるために、優勝を目指さなくてはならない」


 俺はこの勇者祭での目的を再設定した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 西園寺オスカーを応援しよう!  ★★★★★評価及びグッドボタンよろしくお願いします!  ユーザーお気に入り登録の方も、作者マイページというところでできるので、ぜひポチッとしてくださいな。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ