見えざる彼方からの魔手
魔術を使用する際、その使った魔術に名前が付けられることは基本的に無い。
これはほとんどの魔術が、わざわざ名前を付けるほど大層な効果があるものではなく、一般的な物理現象の延長程度のものだからだ。
逆に言うと、名前を付けられるほどの魔術というのは、それ相応の理由があるということである。例えば極めて効果が絶大であるか、または特殊なものであるか、はたまた発動に専門の知識が必要な場合か。総じて開発者本人でないと使用が困難、というくらい難易度が高いのが常だ。
そうした固有名を与えられた魔術を、かつてはエルシャード王国で天才と謳われた魔術師であるリースはいくつも有していた。
その中に、今回の目的にうってつけのものが含まれている。
今回の目的とはつまり、領主の長男をバレずに懲らしめる、ということだ。
時刻は正午前、リースはボンクラ貴族の住んでいる領主官邸の別宅から、一キロメートルほど離れたところで待機していた。
彼女はいま、領域探知を使用し、ボンクラが外出するの待ち構えているのだ。
領域探知の範囲は五百メートルほどが限界だが、それは三百六十度前周囲に展開した場合だ。方向を限定すれば距離を延ばすこと可能なのである。
基本的に待つということを苦にしないリースではあったが、この待機時間ははっきり言って精神的にかなりの苦痛だった。なんだか自分があのバカ長男のストーカーになって気がして、途轍もなく不快なのだ。
そんな過酷な待機時間も、そこから三十分経った頃にようやく終わりを告げた。
「ようやく出てきましたか」
ふう、と安堵の息を吐くリース。
毎日のように外出しているようなので大丈夫だとは思っていたが、今日に限って外出しないという可能性もないわけではないので、一日中張り付くことも覚悟していたのだが、その必要がなくなって本当に良かった。
それにあのゴロツキとチンピラが朝に襲ってきたのだ。その帰りを待っていることも考えられた。もっともそんな堪え性があったとは思えず、予想通りに出かけてくれるらしい。
領域探知の反応からすると、どうやら二人の従者を新たに付けて、馬車に乗り込むようだ。
リースは片手を上げて、パチン、と指を鳴らした。
そして発動する、固有魔術。
音とは空気の振動、波である。指を打ち鳴らして発生した音は、領域探知の範囲内、微量の魔力を含んだ空気の通り道を進み、少しずつ増幅・圧縮しながら標的へと迫る。そして、標的の直前で二つに分かれ、それぞれが耳に侵入し、音の弾丸となった空気の振動は鼓膜に到達した時点で――一気に解き放たれる!
シバラの町在中の領兵である青年は、こっそりと溜息を吐いた。
彼はバルモ領の兵士として、シバラの町の治安を守るべく仕えていたのだが、今日はよりによって数日前に帰ってきた領主の長男の警護を務める羽目になったのだ。
本来ならばいつもバルモ伯爵の坊っちゃんの腰巾着となっている、ゴロツキだかチンピラとかいう二人組が同行するはずなのだが、そいつらは朝に用事を言いつけられたとかで、出て行ったきり戻ってこない。
待つということが大嫌いな坊っちゃんは、その二人組を待たず、さりとて一人で行動させるわけにもいかず、彼と彼の同僚に白羽の矢が立ったのだ。
――まったくツイてねえ。
心中でぼやく。それは彼の同僚も同じ思いだろう。
いたって真面な人格をしている彼らは、このボンクラ息子の所業には辟易しているのだ。こんな奴のお守りなど、拷問に等しい。
いっそ事故でも起きて死んでくれないかな、とか思ったことも一度や二度ではない。
当の坊っちゃんは元気いっぱいに配下の二人組に対して「俺を待たせるとは使えん奴らだ。小娘一人連れてくるのにいつまでかかる気だ」などと、ブツブツと文句を垂れていた。
いやあんた全然待ってないじゃん、と内心で突っ込みつつ、それを口には出せない下っ端の悲哀を感じつつ、馬車に乗り込もうとした瞬間、それは起こった。
「――あびゃあ!」
何の前触れもなく、奇声だか悲鳴だかわからない叫びを上げて、耳から血を吹かせながら領主の長男がぶっ倒れたのだ。
あまりにも突然すぎて、事態の把握に数秒を要した。そして我に返って、改めて驚きの声を上げる。
「な、なんだー!? 坊ちゃんがいきなり耳血噴き出して倒れたぞー!?」
「いったい何が起こった!?」
俄かに騒然となる別邸前。
それも無理からぬことだろう。一切の予兆もなく人間が耳から血を流して気絶するなど、ただのホラーだ。これが王都のドロドロとした貴族間の争いを経験してきた兵士なら、暗殺の可能性も疑っただろうが、ここは国の最西端の田舎で、被害者はいなくなっても構わないようなボンクラ貴族子息だ。その可能性に思い至ることは難しかった。
それでも任務に忠実な彼らは、おっかなびっくり仕える領主の息子を助け起こし、命があることを確認すると、馬車へと担ぎ込んだ。
「と、とりあえず聖天教の教会に行って治療してもらおう! 御者さん、教会まで急いでくれ!」
指示を受けた御者は慌てて馬車を急発進させた。
領兵のふたりは、不安げな表情で気絶した坊っちゃんを眺める。
正直に白状する。ざまあみろ、と。
しかし、さすがに死なれるのは拙い。一応は護衛役として自分たちはいるのだ。その任務にあたっている状態で死なれでもしたら、ほぼ確実に首が飛ぶことになる。
彼らは切実に願った。命だけでもいいから助かってくれ、と。命だけでも。
領主の長男を乗せた馬車が探知の範囲から抜けたのを確認した後、リースは息をひとつ吐いた。
「久しぶりに使いましたが、うまくいきましたね」
自らの腕が鈍っていないことに、満足げにうなずく。
彼女が使用した魔術は、かつてエルシャード王国の魔法省によって〈見えざる彼方からの魔手〉と名付けられた、狙撃及び暗殺魔術としてカテゴライズされた高難易度魔術だ。
音を増幅して対象に叩き付け破壊する、ということ自体は難しいものではない。この魔術の本領は視認が不可能な遠距離からの攻撃という点だ。
領域探知を応用した、範囲を一本のラインにまで絞ることで距離を数キロ単位にまで伸ばす、特定の相手に対する追跡魔術とでも言うべき探知と組み合わせ、そのラインに乗せて空気の振動波を送り込む。
初めてシェルファリースがエルシャード王国の魔法省にこの魔術を披露した時、そのあまりの魔力制御の精緻さに魔法省の面々は白目を剥いていた。
魔力の制御とは、自分から距離が離れれば離れるほど困難になっていく。ましてや目で確認することができないほどの遠距離で、攻撃対象の被害の度合いを調節するなど、神が実在する世界で言うのもなんではあるが、神懸かっている技量だ。
リースの魔術師としての真価は、この極限まで洗練された魔力制御と言えた。
事前に来るとわかっていなければ対処が極めて困難な〈見えざる彼方からの魔手〉ではあるが、欠点も多くある。大気を伝う音で攻撃するという性質上、雨が降っていると使えないし、たくさんの音が入り混じる雑踏などでも困難になる。物理的に空気を遮断された環境、つまり屋内の相手などにも使用不能になる。
また相手も領域探知のように、大気に魔力を発散されてしまえば、その魔力にこちらの魔力が阻害されてそれだけで防がれてしまう。
制限が多い魔術ではあるが、その有用性は言うまでもないだろう。なにしろ相手からはこちらを察知することができない。条件さえ満たせば、好きな時に一方的に仕掛けることができるのだ。自分の安全を確保した上で。
この魔術の詳細を聞かされたエルシャード王国の国王以下上層部は、軒並み顔をひきつらせたという。当然だろう。こんなものを敵が使えると知ったら、怖くて外出できない。
リースとしてもあまり好ましくはない魔術ではあるが、必要ならば躊躇なく使うのが彼女の心構えだ。戦場ではモラルやヒューマニズムなど不要であることを、リースはよく理解していた。
今回の場合は、流石に殺すのはやりすぎではあるので慎重に加減したが、使用することそのものには躊躇いはない。
あのボンクラには、これまで散々好き勝手してきた報いを受けてもらう。自分が奴の罪を裁く、などと傲慢なことを考えているわけではないが、少しは理不尽というものを思い知るべきだ。
というわけで、これからもレッツ制裁である。
☆
この俺、バルモ伯爵嫡男であるドストール・バルモの朝は優雅に始まる。
下々の愚民どもがあくせく働くために早起きするなか、俺は好きなだけ睡眠をとり、好きな時間に起き、贅を凝らした朝食を摂り、食後の紅茶をゆったりと愉しむ。
それもこれも俺が貴族だから許されること。そこらの平民どもとは身分が違うのだよ、身分が!
昨日は訳の分からん怪現象に見舞われて鼓膜が破れるという事態に陥ったが、なに、すでに治っている。聖天教の司祭に金を積めば、最優先で治させることも可能。つまり金と権力を持っている貴族である俺だからこそ、というわけだ。
部屋の窓を開ければ、このシバラの町並みが見渡せる。領都に比べれば格段に劣るしょぼい町だ。この俺が住むには全くふさわしくないな!
だが父上の命令である以上は仕方がない。貴族たるもの多少は我慢も必要だからな。代わりにこの町の愚民どもに、今日もこの俺の高貴さを見せつけてやらねばなるまい。
そう、普段のこの俺の振る舞いは、愚民どもに上下関係というものをしっかりと教え込むために必要なことなのだ! フハハハハ!
そういえばゴーツキとチヴィラはどうしているか。昨日、あのリースとかいう小娘を連れてくるよう命じたが、股間をつぶされて返り討ちにあった、と泣きながら報告してきたな。全く使えん奴らめ! いや、まあ、流石に男の証を使い物にならなくされたのには、すこしは同情してやってもいいが。
それよりもあの小娘だ。男の証を砕くなど、女の風上にも置けん奴! ここは何としてでも俺が直々に躾けてやらねばなるまい。あの小娘も貴族であるこの俺に抱かれれば、心を入れ替え感涙にむせび泣くことだろう。
フッ、待っていろ、必ずお前にこの俺の偉大さを分からせてあびゃあ!
☆
なんだかもの凄く不愉快な独白を聞いた気がして、ついうっかり衝動のままに〈見えざる彼方からの魔手〉を使ってしまった。
「いけませんね。国を出て以来、感情を押さえつけていた反動か、感情が行動に出やすくなっている気がします」
今朝もストーカーよろしく別邸を見張っていたリースは、今しがたの自分の行いを反省した。いや、やることは変わらないのだが、もう少し冷静になるべきという意味で。
都合よく領主のバカ長男が窓を開けてくれたので、これ幸いと狙撃してしまった。
現在、耳血を噴き出して気絶した彼は、二階の窓枠にもたれかかっている状態のようだ。下手したら、そのまま外に落下して死んでいたかもしれない。危ないところだった。
奇声を聞きつけた邸宅の使用人らしき者が数名、彼を救出して運び出していくのが分かる。この後、昨日と同じく聖天教の司祭に治してもらいに行くのだろう。
とりあえず、今日はもうボンクラ貴族に張り付かなくても良いだろう。普段よりかは遅くなったが、まだ朝方と言っていい時間帯だ。このまま薬草採取に向かおう。
念のためにマタルとユミスとは別の場所で採取することにする。あの子たちを巻き込むことだけは避けなければならない。
リースは引き続きボンクラ貴族に制裁を加えていく決意を固めながら、その場を去った。
以降、シバラの町では謎の怪現象が頻繁に発生するようになる。領主の長男限定で。
権威を振りかざして無銭飲食しようとしたところで、
「あびゃっ!」
女性を無理矢理路地裏に連れ込んで、事に及ぼうとしたところで、
「あびゃあ!」
何もしてないけど思い出したように、
「あびゃあああ!」
当初こそ意味不明な超常現象にビビっていた住民たちだったが、その被害が貴族のロクデナシに集中していることから、またほとんどの場合が悪事を働く寸前に起こることから、むしろこの現象を有り難がるようになっていった。
そして今日も――
「坊っちゃん、もう外出は控えたほうがいいんじゃないですか」
「ふざけるな! このバルモ伯爵家嫡男ドストール・バルモが、こんな訳の分からん怪奇現象に屈してたまるか!」
従者代わりの領兵の青年に、むきになって怒鳴る領主の長男。
妙なところでプライドと根性を発揮するが、だからといってここ最近の被害を防げるわけではない。
「それから坊っちゃんはよせ! わかったら行くぞ! あびゃあ!」
「……期待を裏切らないなー、このひと」
例によって耳血を噴いて倒れる伯爵家の長男さまに、領兵の青年は呆れたようにつぶやいた。
もうすっかり馴染みの光景だ。
「おーい、誰か来て運ぶの手伝ってくれー」
「なんだ、また坊っちゃんがあびゃったのかよ」
「もうすっかりあびゃリストだな」
「あびゃリストってなんだよ(笑)」
「あびゃリスト、か。俺はてっきりあびゃラーかと思ったんだが」
領主の長男を馬車へと運びながら、そんな呑気な会話を繰り広げる領兵たち。心配する様子は皆無である。まったくもって人望の無さがうかがえるというものだ。
「ていうか今更だけどこの怪現象ってなんなんだろうな」
「さあな、でもまあ別にいいだろ。俺達に被害はないし。むしろいいことずくめだろ」
「だよな。おかげで住民の方々が坊っちゃんの横暴に悩まされることもなくなったし」
「にしても、いっつも鼓膜が破けてるんだから、耳栓でもしてみりゃいいのにな。もしかしたらそれで防げるかもしれないんだし」
「あ、それ俺も思った」
「バカだよなー、この坊っちゃんも」
「おい、聞こえたらどうすんだよ」
「聞こえないだろ、鼓膜破れて失神してんだから」
「それもそうか」
こんな会話も、最近では日常茶飯事となってしまった、のどかなシバラの町だった。
☆
フハハハハハハハハハ!
ついに見つけたぞ、あの怪現象を防ぐ手段を!
耳栓だ、耳栓をすればよかったのだ。毎度のごとくこの俺の高貴な鼓膜を傷つけおって、だが耳ばかりが被害を受けるということは、つまりそこしか付け入ることしかできんということだ。したがって耳栓で防御しさえすれば、例の怪現象も手が出せん!
フッ、このことに気づくとは、やはり俺という男は智将の器か!?
そうとも、俺はこんな田舎町でくすぶっていい男ではない。それを周りにも知らしめねばなるまい。
そうと決まれば外出だ。対処法も手に入れたことだし、もはやあんな怪現象など恐れるにたわば!
☆
例によって不愉快な独白が聞こえた気がして、衝動のままに〈見えざる彼方からの魔手〉を使ってしまった。
ただし今回はちょっとだけ勝手が違った。
どうやらようやく耳の穴を防御するという発想が出てきたらしく、耳栓をしていたようだが、その程度でどうにかできるほど甘くはない。
そもそも〈見えざる彼方からの魔手〉は相手の鼓膜を破るものではないのだ。あれはただ単に相手を失神させるのに、耳から振動波を送り込むのが一番効率がいいだけだ。
その気になれば相手の全身に振動波を叩き込むことも可能、というか難易度的には耳の穴限定にしたほうが遥かに難しい。
というわけで、今回は頭部全体に振動波を叩き込んでやったわけで、今頃はあのボンクラは耳血の代わりに、目と鼻から血を流していることだろう。
ここまで情け容赦なくあびゃらせてきたリースだが、実はひとつだけ感心していた。正直言って、ここまで粘るとは思わなかった。予想ではもっと早く引きこもりと化すと思っていたのだ。その根性だけは、評価に値する。
だからといってやめて上げるつもりなど毛頭ないのだけれど。
その後もあびゃり続けた領主の長男は、数日後にとうとう心が折れたらしく、屋敷から出なくなった。
それに伴い、謎の怪現象も終息していった――かに見えた。
ある日の人通りの少ない脇道で、三人のガラの悪い男たちに囲まれる青年の姿があった。
「オラ、さっさと持ってるカネを出しな」
「口で言ってやってる間に渡しちまったほうがお利口だぜぇ?」
典型的なカツアゲである。
「だ、誰が渡すか! これは母さんの薬を買うためのお金だ。お前らみたいな社会のゴミクズで、居なくなったほうが喜ばれるような奴らにやっていい物じゃない!」
「こ、こいつフきやがるぜ!」
「マジでいい度胸してやがんな、おい!」
「てめえのくたばりぞこないのババアなんぞにやるよりも、俺らが有効に使ってやるよ!」
青年はお金の入っているカバンを守るように胸に抱きしめ、
「ひとの母さんを馬鹿にするな! バカで不潔でブサイクで暴力しか取り柄がなくて、女性を無理矢理強姦しなければ一生童貞が確定してそうなお前らみたいな奴らが!」
「……お、俺はここまで流れるようにひとを罵倒する奴は初めて見たぜ」
「ちょっと本気で傷ついたぞ、俺……」
「むしろ今のところ俺らのほうが被害者だろ、これ」
何倍もの破壊力で返された悪罵に、悪漢たちの顔が引きつった。
男たちは気を取り直すように頭を振ると、改めてすごんで見せる。
「そんなにほざくんなら俺たちの取り柄を見せてやるよ!」
「金を渡してから殴られんのと、殴られてから金を渡すの、どっちか選びなあ!」
「く、くそお! 近寄るな、薄汚いゴミクズどもぉ!」
「――むしろ金よりもてめえを殴るほうが重要になったぞ、おらぁ!」
青年の口の悪さに、いい加減キレた男のひとりが腕を振り上げた、その瞬間――
「あびゃあ!」
奇声を上げて耳血を噴き出し、ぶっ倒れた。
『…………え?』
その場の三人が、呆気に取られて失神した男を見つめた。
一番最初に我に返った男が、
「そ、そんな、『あびゃあ』!? あびゃるのは領主のバカ息子だけじゃないのかよ!? あびゃあ!」
第二の犠牲者になった。
「ひいぃぃぃぃ!? い、い、いやだ、あびゃリストにはなりたくねぇぇ! あびゃ!」
そして生まれる第三の犠牲者。
ひとり無事に残された青年は、自分が助かったことを知り、誰にともなく感謝した。
「ああ、ありがとう。やっぱり世の中はこんな救いようのないウジ虫じゃなく、真面目に生きてるひとが報われるんだね」
そうして、青年は地面に倒れた悪漢たちを放置して、去って行った。
――というようなことが町のいたるところで起こり、何人ものあびゃリストが爆誕していくこととなった。
あびゃることを恐れたようで、破落戸や不良たちの悪行は鳴りを潜め、町の治安は劇的に改善されていった。
リースの知られざる功績のひとつである。
シバラの町のローカル言語
あびゃあ:ある日を境にして突如発生するようになった、謎の怪現象。これに襲われると、鼓膜が破れ耳血を噴き出して失神する。名前の由来は、襲われる際に「あびゃあ!」と悲鳴を上げてしまうことからきている。その発生原因を知る者は、一人しかいない。レアケースで「たわば!」もある。
あびゃる:謎の怪現象『あびゃあ』に襲われること。この怪現象の発生原因は不明だが、条件のほうは悪事を働くことがきっかけだと推測がなされている。つまりあびゃることは悪行を成そうとすることと同義とみなされている。
あびゃリスト:あびゃる人のこと。彼らは総じて悪党と見なされる人間たちである。大抵は一度経験しただけで普段の行いを改めるので、二回以上あびゃるひとは稀。シバラの町のトップあびゃリストは、満場一致で領主の息子!