【小話】帰国後の二人
ちょっぴりイチャラブ書いてみました。
「いやあ、無事に戻ってこれて良かった良かった」
ニコニコと娘の頭を安心したように撫でるのはイグニース国のデフェール王だ。
「はい。
あの質実剛健を地でいく無骨なお城をイグのおかげで無事全て破壊することができたし、今度はもっと可愛いお城を建てるように帝王には進言しておきました」
ニコニコと爆弾発言をかます愛娘。
笑顔が引きつるが黙秘を貫く。
(グレイシア王よ、申し訳ない。)
海の向こうの帝王に心の中でそっと謝罪するのだった。
「ではデフェールよ、フレアは今宵は我のところに連れ帰るぞ。
明日の夕方にはこちらに戻すので心配せずとも良い」
そう言って返事を待たずにそそくさとフレアを連れて飛び立った。
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「フレア」
カリエンテ山にあるイグニートの屋敷に着くとフレアの名前だけを呟いてフレアの首筋に顔を埋めギュウッと抱きしめる。
その腕は微かに震えていた。
「イグ、心配かけてごめんなさい。
でも、迎えに来てくれて嬉しかったわ。ありがとう」
そう告げてそっと身体を離しイグニートの頬を両手で挟んで見つめ合えば、フレアと同じ瞳には不安が色濃く残っていた。
宥めるように何度も唇をそっと重ねればいつの間に震えは止まり、替わりにその瞳は明らかな熱を孕んでいた。
口づけは段々と深くなりフレアの足から力が抜けた。座り込む寸前でさっと掬い上げると軽々と寝室まで抱き上げて歩いていく。
「ねぇイグ?
どこに向かっているのかしら?」
若干引きつる頬で微笑めば、同じくニッコリ微笑んで
「寝室」
と一言返ってくる。
(ああ、これは明日は1日ベットの住民ね。
でもまあ仕方ないか。今回は随分不安にさせてしまったから。それなのにお城1つで収めてくれたのはやっぱりイグの優しさよね)
そう考えて反論するのを諦めた。
翌日、予想通り1日ベットの住民ではあったが、イグが幸せそうだったので良しとすることにした。
海と山と竜に守られし小さな国は今日も平和でありました。
無事書き終わりました。読んでいただきありがとうございました(^^)