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カストラート 〜傾国の歌劇(オペラ)〜  作者: nhhtn
プロローグ

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序曲


ーー夢をみた


血飛沫のように紅い、おびただしい数の流れ星が次々と墜ちてくる。


だがどの星も地に墜ちる前に燃え尽き、消えていく。


燃え尽きるその瞬間、銀瑠璃の輝きを放った。


だが、次の瞬間には僅かに残る蒼白い光を別の緋が流し去る。


無限に続くかのように思えた流星群は、しかし突如現れた巨大な赫に呑み込まれ、溶けあい、さらに大きく膨らみ、僕に向かって墜ちてくる。


嗚呼、ここに居てはいけない。

押し潰される。

灼熱の焔に灼かれ、僕もあの星の一部になってしまう。


逃げなくては、と思った。

だが危険な光に魅せられ、メドゥーサに呪われたように動けない。


気付けば僕は手を伸ばしていた。

あまりに眩く、身を滅ぼす程に美しく輝くあの星に。


熱風が髪を巻き上げる。

もう少し、あとほんの僅かで摑める。


(墜ちてこい)

僕はそっと呼び掛けた。



(此処に)


(この手の中に……!)



指先が触れた瞬間、焔が全身を包み込んだ。

少し息苦しいが恐ろしくはない。

火だるまの僕は何故だか愉快な気分になって、歌い踊り狂った。

わけのわからない歌詞を大声で叫ぶと、口から炎が噴き出た。

イカれたリズムでステップを踏むと、髪が炎の蛇のようにのたうち回る。



楽しい!苦しい!楽しい!


苦しい!楽しい!苦しい!


楽しい!苦しい!楽しい!



何時間、いや、何日だろうか?

燃え続ける僕の身体以外は真っ暗闇で、どれくらい時間が経ったかわからない。

炎の勢いは落ち着き、今や穏やかな火になっている。

肌は炭のように黒くなり、残りの火も直に消えるだろう。



……流石に少し疲れた。

火が消えたら眠ろう。


この闇に溶け込んで……


目覚めたら、また……


……歌おう。

何時まで、も…………。




夢をみていたーー


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