第二章 二人は冒険を始める 第一話 異世界と言う名の遥か未来(ロキ)
二つのドアが、開かれました。
二人は鉢合わせの様な感じです。互いを見つめ合い、驚きで目を丸くしています。南さんが先に動き出しました。
「東!!」
飛び付くように抱きしめ、それを受け止める東くん。その胸の中で、南さんは泣き出してしまいました。
「おい!泣くなよ。」
戸惑う東くん。何せ、後ろから親友の海音くんに見られているのが、少し恥ずかしい模様です。
「だって!だってぇ!!うわぁん」
困ったように頭を撫でています。リア充爆ぜろとでも思っておきます。
そんな二人とは対象的に、両人の親友の双子はお互いに驚いている模様です。
「何で海音が!」
「何で空音が!」
二人の声が重なります。さすが双子ですね。あはははははは。
互いに何やら話している。私の存在など気づいてもいません。本当に失敬なガキ供ですね。あぁ、いけない。こんなこと思ってはいけませんね。あはははははは。本心じゃありませんよ。冗談です括弧(笑)括弧閉じ。
さて、この白一色の部屋に、真っ黒の椅子と円卓。なんとも芸術的モノクロだと思いませんか?
そこに座る真っ黒の私。絵になりますね。あなた方の世界ではどうですかねぇ、この感性は理解できますかね?ん?話を進めろ?あぁ、すいません。いつもの癖で脱線してしまいました。
「再会or驚愕して、喜びたい気持ちは分かりますが、そろそろ私に気づいてください。」
四人は私の方を向き、さっきとは違う驚きの顔を見せます。
それは直ぐに、殺気とでも言うのでしょうか?牙を剥き出しにした虎や龍の様な表情です。
あっという間に、各々が持つ獲物を私に向けてきました。
「何でお前がいる!!」
東くんが、一歩前に出てきます。それに会わせて、南さんも棒を振り下段に構えます。
「東もロキに会ったの?」
横目で見ながら聞くと、東くんは頷きました。
「あぁ。こいつにはやな思いをさせられた!!」
矢を引く空音さんが海音くんと東くんに尋ねる。
「なら、こいつの変な力は分かっているわね。」
それに二人は小首を傾げます。海音くんが横目で空音さんを見ながら訪ねます。
「なんだそれ?」
二人は知るわけありませんね。女子の方がアクティブに動くと言いますが、やはりそのようです。
「こいつに矢が当たった時、こいつの体が歪んで矢が消えたんだ。」
恨めしそうに、私を睨み付けて来ます。海音くんと東くんも私に一瞥します。
「なら、何か、俺の槍は当たらないのか?」
南さんが首を振り、
「分からない。でも、普通にやっては通用しないのは確かかもね。」
海音くんが苛立ち気に言います。
「俺じゃ勝てないのか?」
私としましては、あまり暴力に訴えるのは好きではありません。
「いえいえ。戦う気はありませんよ。ただ、契約をと思いまして-、沙良さんから聞いてませんか?」
そう言うと、空音さん以外、頭の上に?マークを三人が咲かせました。
「何の事だ?」
「聞いてねぇよ?」
口々に言いました。私は頭を掻きながら聞きました。
「あぁ、沙良さんと、私は説明し忘れていますね。全く。沙良さんと私はおっちょこちょいなんだから。」
片目を閉じ、舌を出して見せます。
空音さんが考え込むような、仕草をします。
「そういえば、沙良ちゃんが契約云々と言ってたわね。南が我を忘れてて、聞く暇はなかったけど。」
そう言うと、南さんを横目で、ジトっと、見ます。
南さんは明後日の方向に視線を逸らして、視線から逃げます。
空音さんは溜め息を吐き、矢を引く弦を弛めました。
「色々と、こいつにはあるけど、取り敢えず話は聞きましょう。」
弓も下ろします。三人は納得したように見習って、それぞれの獲物を下ろしました。
最近の若者はキレやすいみたいですが、話は聞けるようです。
「ありがとうございます。立ち話もなんですし、さぁさぁ、お掛けください。」
四人は席につき、胡散臭そうな熱い視線を私に送ります。
「まぁ、契約の話からですね。まず、あなた方はもう、契約書にサインをした状態であることを説明しますね」
この部屋に入った時点で、そういう状態なのです。他にもこれからやってもらうことや、特殊能力の話等をしていきます。まぁ、テンプレ通り、疑視の眼差しを私に向けてきます。
東くんが渋い顔をして言います。
「つまり、遠くの未来に行って、ゲートと言う奴を閉じればいいと?」
空音さんも、同様の顔つきで言います。
「ゲートは冥界に通じていて、それが開き始めている。って、何処のファンタジー?」
それに合わせるように、海音くんも続けます。
「それが事実だとして、俺達一般人に、どうしろと言うんだ?」
私はごもっともと、頷きます。
「それは安心してください。あなたたちには訓練をしてもらいますので。」
そこで一旦区切り、続けます。
「特殊能力に着いてですね。」
私は淡々と話していきます。
「特殊能力。それは、術であり、魔法であり、魔術であり、召喚術であり、法術であり、錬金術であり、陰陽道であり、呪術であり、と、まぁ、あなた方の世界で言うところの、ものではこんな感じでしょうか?」
東くんが手を上げました。私は教育者のように指します。
「超能力は入らないのか?」
いい質問です。
「入りません。今あげたものは全て、何らかの呪文や道具に頼らないと発動しないものです。超能力はそういうものは不要です。だから、強力な技等を出すのに早いのは超能力です。両方にはちゃんと長所と短所があります。」
私が説明すると、頭の後ろに手を回した海音くんが言います。
「本当にファンタジーだな」
私はあはははははは、と、困ったような笑い声を上げます。
「まぁ、そうですよね。じゃぁ、説明の続きです。」
まず、術とは何か。
術は北の玄武、東の青龍、南の朱雀、西の白狐、そして、中央の麒麟の力を使うものです。
玄武なら水や大地を司り、青龍なら水や風、朱雀なら風と炎、白狐なら炎と大地、と、各二つの属性を持っております。
そして、彼らと契約をしますが、最大で2つまでしかけいやくできません。なぜなら、相反する属性を持つものとは契約ができません。
関係性としては、炎は水、大地は風の組み合わせは出来ません。なら、どれとも無理じゃないかと、なりますが、ここで置いてきぼりの、麒麟が登場します。麒麟は月と太陽を司ります。麒麟との契約のとき、どちらかを選びます。
これで二つです。
次に魔術です。
魔術は前準備が面倒な能力です。魔法陳を書いたり、護符を作ったりと、かなり面倒です。その代わり、威力は絶大で、禁じ手を使えば山一つぶっ飛びます。これは冒険者や旅人の戦闘よりも戦争などの様な広くて、時間もある程度余裕がないと使えません。
次は魔法です。
魔法は、魔術と違い、下準備がありません。ただ、威力が弱いです。でも、詠唱も短く、術と違って属性の相反等考慮せず、全ての属性が使えます。
次は召喚術です。
召喚術は、術よりは詠唱長めです。それに召喚する獣やら悪魔やら天使やらを探すのが大変です。
あと、契約もしなければなりません。契約には何でもいいので相手が気に入った物で行います。
厄介なことに、術者の力量におおじて、言うことを聞いたり、聞かなかったりと、けっこう面倒くさいですね。
次は法術です。
法術は神や天使の力を借りて、主に治癒と補助の能力です。攻撃系統はないのですが、その代わり、信仰度によっては、神や天使が助けてくれるかもしれません。
次に錬金術ですね。
錬金術は自分の魔力と薬物を融合させて行う能力です。
下準備が必要で、素材集めや、できた物を保存しておく試験管やビーカー等、荷物がとにかくかさばります。でも、錬金術の薬は万能薬と言われています。そういうのを売ってお金にするといいかもしれませんね。
「まぁ、特殊能力の説明はこんなものかと。まだまだありますが、一般人的なものを紹介しただけなので。」
私はそれで説明を終えると、相変わらず、胡散臭そうな視線を私に向けます。
「ねぇ。」
南さんが私に呼び掛けるように、言葉を発します。私はそちらの方を向き、尋ねました。
「はい?」
「その中から選べるって事なの?」
私は首を横に振ります。
「人によりますね。」
私は肘をつき、手を組んで説明します。
「その人の才能に左右されますね。例えば、術と錬金術を使うものがいれば、魔法と召喚術の人もいます。」
そこに、南さんが口を挟みます。
「じゃぁ、能力なしの人もいると言うこと?」
私は少し考えるように唸ります。
「能力なしは・・・、いないと思います。ただし、能力不明の人は確かにいますね。」
私は手を組み直して、続けます。
「さっきも言った通り、説明したのは一般的なものです。中には呪術や、陰陽道、神通力に例外と言った超能力等、多くあります。法術でも、僧侶法術や司祭法術等、細分化されるものもございますので、例えば、術で玄武は水と大地ですが、大地より水に特化していますと、言う人もいるので、能力不明だと言うことは、前例がない能力、またはまだ試していない能力のどちらかと言うことです。」
難しい話だったのでしょう。空音さんは欠伸をし、男子二人は寝かけています。
「まぁ、特殊能力の説明はこのくらいにして、四人にはこれから遥か未来へ行ってもらいますね。」
その言葉で目を覚ました東くんが抗議します。
「待て待て!訓練的なのはどうした!?」
「大丈夫ですよ。行けば分かります。」
私は呪文を唱えます。
何か抗議の声が耳に入りますが、まぁ、いいでしょう。
「暁に誘い、黄昏に進み、儚き幻想、儚き人の夢、次元は我が意思。跳べ。リープ・スリップ」
彼らは消える。
彼方へと消え、想像もつかない未来へと、去り行く。




