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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
兵士編 第一章
98/262

96 敵はマーチヘア

「あと52人……ってもう行っちゃったか」

 どうやらもう、旗を取りに行ったらしい。残念、もうちょっと暴れられると思ったのに。

「向こうが上手く捌いてくれたらいいんだが」

「まぁ後ろから撃つくらいならできるよ」

 私は銃を構える。後ろで気配が動いたのは、その直後だった。


「ええそうよ。後ろから、ね」

「……アーリア、それ本物だよね」

 アーリアが私に向けているのは、本物の銃だ。これは絶対に正当防衛になる。私は躊躇わずナイフを掴む。


「あんたのせいで……あんたのせいで……」

 やっぱり狂ったか。だから嫌だったんだよね。

「ウィル、後は任せるよ。後ろからあいつらを撃って。なるべく、死なないように」

 気絶したり動けなくなれば、失格で死亡になる。なるべく損害は出したくないし。

「え、でも……」

「大丈夫だよ。気にしないで」


 行って。もう一度言うと、ようやくウィルは全員に指示を出して動く。それでいい。

 狂った人間は、誰を巻き込むか分からないから。

「それで、アーリア。一体どうしたの」

「あんたのせい、で。頭の中で声が鳴りやまない……。お前は醜い、彼女は美しい……って。お前……なにを……したのよ」


 本当に強いんだね。私がかけた洗脳の内容まで、しっかり把握できてる。もったいないなぁ、もうちょっと勉強したらいいマインドコントローラーになれるのに。

「さぁ? なにをしたかな」

「イアータ・クローバー……死ね」

 あ、ヤバイ。私を殺したら治る的な思考回路になってる。狂った人間は面白いけど、こういう狂い方は嫌いなんだよね。汚いから。


「死ね死ね死ね死ね」

 暗い瞳でアーリアは呟き続ける。……どう出るのか読めないんだけど!

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