85 拷問という名の憂さ晴らし
ちょっと拷問の描写あります。
私たちが連れていかれたのは、大きなモニターが取り付けられた部屋。椅子が4つ並んでいた。
「なに? ここ」
「すぐ分かる。……おい、そこの水色の髪のガキ」
ナタリーが部下に腕を取られて、連れていかれる。私たちは全員、座るように指示された。
微かなモーター音とともに、モニターに映像が映る。そこには、ナタリーがいた。
……そういう、こと。拷問を見続けろと……。さすがにこれは、きつい。ナタリー……!
「趣味のいいもんじゃねぇな」
「文句言うなよ、リーダー。お前らに苦痛を与える、最高の手段だぞ」
「性格ねじ曲がってんじゃないの」
私の言葉に、一瞬でブロートは噛みついてきた。
「お前が言うな!」
平和な会話でも、これから起こることは、まさしく生き地獄。
パーシーの顔は真っ青だった。これ、発狂するんじゃ……。いや、発狂した方が幸せかもね。
「始めろ」
冷酷な一言で、ナタリーは生きながら地獄へ突き落される。
悲鳴が迸る。爪を剥がれて指先から血を流すナタリーは、まだ人間に見える顔をしていた。
歯を抜かれ殴られ蹴られ耳を切り落とされ指を切り落とされナイフで刺され目をくり貫かれ銃で撃たれ鼻を削がれ、挙げ句に火で炙られた。
ラーフが嘔吐する音と、パーシーの慟哭が聞こえる中、私はいつまでナタリーが生きていたか思い返した。
――あの子、どうしてそんなに生命力が高いんだろう。どうして息絶えたのが、炎の中なんだろう。
次に連れていかれたのは、呆然としているパーシーだった。パーシーの最期は、水の中だった。
ラーフが次に連れていかれて、彼は私たちに向けて切れ切れに言葉を発した。悲鳴の代わりに、言葉を。
『リサにごめんって伝えて。でもずっと側にいるって。……それと、ごめんね、ちゃんと家族でいられなくて……ごめん』
ラーフには、ばれていたんだ。そっか。私も、まだまだだね……。
次は悟らせない演技を……次? 誰に見せる? もうみんな、いない……。
「イア」
リィの声に我に返る。
「2人にしてくれ。頼む、中尉」
「……少しだけな」
どうせ逃げられないと思っているんだろう。……逃げられるよ。
左手は犠牲にするか……。脱臼させて手錠から手を抜く。痛い……これホント痛い……。ヘアピンを取れる位置にいるのは私だけだから、私がやるしかない。
髪からヘアピンを抜く。なんの飾り気もない、黒色のヘアピン。役立つことだって、たくさんあるんだよね。
3秒で手錠を外して、リィの手に押し込む。リィもすぐに外して、立ち上がる。窓には鉄格子がはまっていて、到底逃げることはできなさそうだ。
「騒ぎになるな」
「そうだね」
さっきの部屋には窓がなくて使えなかった指輪を、窓際に置く。威力は最大。
きっかり3秒後、爆弾は鉄格子ごと窓を吹き飛ばした。こっちの軍はテントなんかじゃなくて、普通に建物。たぶん、前から建てていたんだろう。
「5階か……いけるな」
「もちろん」
膝を曲げて衝撃を和らげる。久々にこんな高さから飛び降りたなぁ。
走り出すと、すぐにアラートが鳴った。止まるわけには、いかない……!




