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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第四章
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84 証明

 2時間後、再びあの将校たち5人がやって来る。死刑宣告か? ……どうせ、8年前に死にかけてんだ。一緒に死ねるなら、それでも構わないさ。


「今から、お前たちに拷問をする」

 拷問……? 意味ねぇだろ。

「私たち相手に拷問しても、意味ないでしょ? こんな下っ端相手に」

「ああ、そうだな。だから実質は、憂さ晴らしだ」

 そういうことか。そりゃまぁ、拷問はいい手段だろうよ。後々トラウマになるとしても、今は戦争で精神状態が少しおかしいだろうしな。


「ごう……もん……?」

「だ、だったらここで殺せよ!」

「そんなことになるなら、今ここで……!」

「落ち着け、お前ら」

 3人に向かって鋭く言葉を投げる。

「本気なら、そう言う前に舌を噛み切って死ねばいい」


 しばらくの沈黙を破ったのは、イアの笑い声だった。暗く冷たい嘲笑。

「できないでしょ? 人間って意地汚いから、案外死ねないんだよね」

 ブロート中尉はその様子を見て、目を見張る。

「お前たち2人は……本当に人間なのか?」

 イアがさらに嘲笑して、口を開く。


「人間の定義ってなに? 常識的かどうか? ねぇ、あんたは自分が人間だって証明できる?」

「人間の親から生まれたんだぞ」

「その親は人間? そして、突然変異が起きてないって言い切れる?」

 お前も、俺も、イアも、他の誰だって……自分が人間だとは証明できない。もしかしたら、ここに存在していることすら嘘かもしれない。ただの夢かもな。


「もう……いい……。お前らと話すと、頭がおかしくなりそうだ」

「そうやって拒絶する。価値観が違うものを、すぐに……」

 イアは、嘲笑した。でも、その笑顔が少し寂しそうに見えた。『価値観が違う異物』に対して、世界はあまりに厳しい。

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