83 鳶色の髪の将校
ここからが正念場だ。俺は案内された部屋の扉を睨む。キィ、と扉が開いて、鳶色の髪の将校と部下が4人。あいつがブロートか。
「よう、来たぞ」
……ティタン語? どうして、その言葉で。
「ああ、お前らが服を借りた兵士だがな……。最後に通信を残してくれた。『今から5人の偽物がそちらへ向かう』と」
あのとき、あんなことを言っていたのか……!
「で、リーダーはお前だな」
ブロート中尉は俺を見据えてそう言う。無表情に見返すと、ケタケタと笑われた。
「分かるさ、その程度。そこの銀髪の美人以外、お前のことチラチラ見てたしな」
チッと舌打ちをする。まぁ仕方ねぇか。イア並みに高度なことを求めたのが間違いだったんだ。
「そこでだ。いい提案がある。リーダーのお前の命で、他は助けてやるよ。まぁ、多少は痛い目を見てもらうがな」
生きては帰れるってことだな。俺が死ねば。
「ただ、」
「でも、」
俺とイアの声が重なった。まぁどうせ、同じこと言おうとしたんだろ? だったら俺が言うぞ。
「イアは、連れていく。無事に生きるのは3人でいい」
この言葉に、敵味方問わずその場にいた全員が息を飲む。唯一イアだけが、くすくすと笑っている。
「やっぱり同じこと考えてたね、リィ」
「ま、そうだろうな。……どうせ、こいつだけを生かそうとしても自殺するのが関の山だぞ」
ナイフや銃なんてなくても、人間は死ぬ。イアなら、素手で自殺くらい簡単にできる。
心なしか顔を青くした将校たちは、部屋を出ていく。殺さねぇのか? 俺もいい提案だと思ったが。
「ヒーナ アンク クルーラ」
部下の1人が言った言葉の意味は分からない。好意的な言葉じゃねぇのは確かだな。




