81 ようやく動く戦況
いつもの場所に集まった。今日は6人全員で。
「で、どうするよ? リィ、イア」
パーシーの言葉に、私とリィは顔を見合わせる。……はいはい、私が説明しろってことね?
「たぶん一両日中に……3日以内には、衝突する。そのとき、セナにはもう話を回してるから、戦線からこっそり離脱する。で、敵のアジトに入る。言葉は話さない。毒で喉が、とか身振り手振りでどうにかなるでしょ? 最悪、その分だけ覚えて字を書く。そして後は報告がある、どうしても……って押し切って将校のマシュー・ブロートのところへ行く」
「……ってことは、敵軍に入っていくってこと?」
「その通りだよ、ラーフ。……リィ」
ここから先はリーダーが言って。その思いをすぐ汲んで、リィが話し始める。
「もし、失敗しそうなら逃げる。グダグダするのはなしだ。誰かが殺されたら、敵討ちなんてこと考えずに逃げろ。生きてなきゃ人生に意味はない」
言わないけど……。きっと、私とリィは生き残る。片方だけってことはたぶんないから、0か2か、だね。他の3人は、分からない。もしかしたらチェスは、リサだけになるかもしれない。
*
ああまた、僕らは信頼されない。僕は、ノーラが死んだあの日から、ずっとそう思っている。昔と同じ態度なのは分かる。まったく変わらない。
――でも、そんなわけがないんだ。イアの過去は、スラムでは珍しいそれなりに幸せだ。両親に捨てられたという実感も薄いし、すぐノーラに拾われて不自由はなかった。
そんな中で『家族』を大切にするのは当然だ。
だけど、『家族』は、イアを裏切った。
信頼されるわけがないか。リィはイアにとって特別すぎて、太刀打ちできないのは知ってる。でも、せめて『家族』ではいたかった。
そう願う資格も、ないんだろう。信頼が回復することも、絶対にない。零れたミルクを見て泣いてもダメだ。そして、王様の馬と家来の全部がかかっても、ハンプティ・ダンプティを元に戻せなかった。
もしこの任務で死んだら、リサは悲しむだろうか。ごめんね、リサ。死んだら、幽霊になって君のこと守るよ。……勝手に、ね。




