80 マーチヘア=3月ウサギ
2日前にも集まった屋上で、今日は俺とイアだけで話していた。
「アーリアがなんで私のこと目の敵にするのか分かった!」
「は? 見た目じゃねぇのか」
「違う違う、リィのことが好きだから」
……。………………。
「あぁ?」
ヘアマーチじゃなくてマーチヘアだったか。もうマーチヘアでいいじゃねぇか、改名しろ。
「ちょ、怖いから。私を睨むな私を。……なんか一目惚れしたんだって。それで、あの中で一番綺麗な私を目の敵に、と。あとここ2日で一番仲いいのが私って分かったから、ってのもあるね」
仲がいいとか、そういう次元じゃねぇんだが……。まぁそこを説明しても理解されなさそうだし、あんなのには関わらないのが一番だ。
「今まで自分が一番だったアーリアにとったら、私って邪魔なんだよね。ああいうのって自分より優れた人間は排除しようとするし」
「結局見た目も関係あるじゃねぇか」
「あるね~。でもそこはさ、いつものことだし? 面倒なのは、戦場で後ろから撃たれても分かんないよねってこと」
「大丈夫だろ。お前なら気づくし、トーナストもあるし」
「まぁね。だから気にしない。いざとなればセナもいるし」
まぁそうだな……。いや、ちょっと待て。
「やっぱ中将と話したのか?」
「そうそう、そうなんだよ! ねぇ、『蟷螂』のこと覚えてるよね? その中の1人……捕まったって言ってたじゃん? それがセナだった。あの大剣、元々はノーラのもの」
「……ああ、もしかして国王に捕まったのか」
「正解。で、私らが殺し屋ってのも知ってる。だって、国王と2人で計画してるから」
「ああ、あいつの仕業か」
まぁ、あいつは頭もよさそうだし誰に対しても平等だ。イアに対しても。イアに対して他と違う態度を取らない人間は、ものすごく稀だ。そして、そういうやつは能力がある。
もし上官になっても、あいつなら上手くやれそうだ。
「で、セナって呼んでも怒らなかったよ」
「そういえば、コラット中佐もセナさんって言ってたな」
「堅苦しいのが嫌いなんだって。ま、いいんじゃない?」
「ああ、そうだな。少なくとも、今すぐ殺そうとは思わねぇし俺たちじゃ敵わねぇな」
たぶん、負ける。それは分かる。だから、今はあいつの下にいた方がいいかもな。




