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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第四章
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80 マーチヘア=3月ウサギ

 2日前にも集まった屋上で、今日は俺とイアだけで話していた。

「アーリアがなんで私のこと目の敵にするのか分かった!」

「は? 見た目じゃねぇのか」

「違う違う、リィのことが好きだから」


 ……。………………。

「あぁ?」

ヘアマーチじゃなくてマーチヘア(発情期のウサギ)だったか。もうマーチヘア(狂ったウサギ)でいいじゃねぇか、改名しろ。

「ちょ、怖いから。私を睨むな私を。……なんか一目惚れしたんだって。それで、あの中で一番綺麗な私を目の敵に、と。あとここ2日で一番仲いいのが私って分かったから、ってのもあるね」

 仲がいいとか、そういう次元じゃねぇんだが……。まぁそこを説明しても理解されなさそうだし、あんなのには関わらないのが一番だ。


「今まで自分が一番だったアーリアにとったら、私って邪魔なんだよね。ああいうのって自分より優れた人間は排除しようとするし」

「結局見た目も関係あるじゃねぇか」

「あるね~。でもそこはさ、いつものことだし? 面倒なのは、戦場で後ろから撃たれても分かんないよねってこと」

「大丈夫だろ。お前なら気づくし、トーナストもあるし」

「まぁね。だから気にしない。いざとなればセナもいるし」


 まぁそうだな……。いや、ちょっと待て。

「やっぱ中将と話したのか?」

「そうそう、そうなんだよ! ねぇ、『蟷螂』のこと覚えてるよね? その中の1人……捕まったって言ってたじゃん? それがセナだった。あの大剣、元々はノーラのもの」

「……ああ、もしかして国王に捕まったのか」

「正解。で、私らが殺し屋ってのも知ってる。だって、国王と2人で計画してるから」

「ああ、あいつの仕業か」


 まぁ、あいつは頭もよさそうだし誰に対しても平等だ。イアに対しても。イアに対して他と違う態度を取らない人間は、ものすごく稀だ。そして、そういうやつは能力がある。

 もし上官になっても、あいつなら上手くやれそうだ。

「で、セナって呼んでも怒らなかったよ」

「そういえば、コラット中佐もセナさんって言ってたな」

「堅苦しいのが嫌いなんだって。ま、いいんじゃない?」

「ああ、そうだな。少なくとも、今すぐ殺そうとは思わねぇし俺たちじゃ敵わねぇな」

 たぶん、負ける。それは分かる。だから、今はあいつの下にいた方がいいかもな。

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