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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第四章
53/262

51 最悪の状況

リィに言われたことが本当でなければいい。そう思いつつ、私は玄関に飛び込んだ。

『もしかしたら、リサもノーラも殺されているかもしれない。時間がかかりすぎだ。もし死んでいたら……生きている人間だけ、連れてこい』

ノーラとリサが……ね。そうじゃなきゃいいけど。


「イア! 無事だったのね」

「こっちのセリフだよ、リサ。ノーラも無事だね。よかった」

1階の玄関ホールから吹き抜けを見上げると、2人がいた。

「今から行く」

「待って! そこから動いたら殺されるわ!」


……ん? 状況が分からない。

「イア。今あたしらの目の前には、敵がいるんだ。動けば火をつけるらしい」

「何人いるの?」

「5人だ」

あー、裏口壊れてる。ってことは、10人より多かったわけか。爆弾で吹っ飛ばなかった生き残りが、脅迫を。

でも、私は動いても安全だ。だって、狙われてる気配がない。私が2階に上がるのに5秒、敵を倒すのに7秒。どうだろう、間に合うかな。


3、と指を立てる。2、1。

「……おい、上がって来てるぞ!」

「火を、早く!」

ここから7秒で倒す。……あ、火をつけられた。まずいな、奥の部屋にはチビ(0歳~5歳)がいるのに。

「ぎゃあっ!」

さてあと2秒、あと1人。軽く銃で額を撃ち抜いて、2人に向かって叫ぶ。

「チビたち助けに行くよ!」


どうやらチビたちは無事みたいだ。ケヴィンが駆け寄ってくる。

「イア姉ちゃん!」

「大丈夫、助かるから」

ケヴィンをぎゅっと抱きしめて、チビたちに向き直る。全部で9人か。

「ケヴィン、ミーナ、歩けない子を抱えて広場に!」

「うん!」

2人が同時にそう言って、まだ歩けない3人を連れていく。あと4人。抱きかかえて逃げられる!


「ぐッ」

「ノーラ!?」

リサの声に振り向くと、ノーラの肩から血が出ていた。窓から撃たれたのか! 一番窓に近い私を外れて、弾はノーラを捉えたらしい。

「リサ! リィを呼んで、あとみんなを連れて行って!」

「分かった! ……イアは!?」

逃げることもできる。でも、広場での戦闘は避けたい。どれだけ敵がいるかも分からないし、こっちは戦力が低い。

「戦う」

目を見据えてそう言うと、リサはぐっと唇を噛みしめて出て行った。さて……下か。撃ち殺せる。


いや、ダメだ!

「……ノーラ、逃げるよ! 早く!」

「どうしたんだい」

「下のやつらがいなくなった! たぶん、こっちに向かってる」

上に逃げるのは論外、下は戦わないと……私だけ行く? 窓からの侵入が防げない。

……リィ、早く……! また、頼るのか。リィに……。でも、お願い、早く!

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