46 楽しみにしてたんだよ?
「みんなー、準備して。仕事だよ」
語尾にハートマークが付きそうな声で、イアは言う。……に、似合わねぇ。
「ちょっとリィ、そんな全力で引かないでよ。表情がほぼ変化しないリィにハッキリ顔に出されると、傷つくんだけど?」
1つ空咳をして、誤魔化す。まだ睨まれてるけどな。……お前も睨んだら怖ぇけどな。人のこと言えねぇだろ。
「じゃ、いってらっしゃい。ちゃんと帰ってきなさいよ?」
リサに見送られて、標的のところへ向かう。弾薬もある、ナイフも仕入れた。ついでに、新しい武器も。
「こんにちはーお邪魔しまーす」
イアがフラッと建物に入っていく。打ち合わせはしていない。でも、イアに合わせるとは言った。
まぁ分かりやすいな。余裕で合わせられる。
「だ、誰だ!」
「……さぁな」
ナイフで切るというより、突き刺して引き抜く。案外頸動脈ってのは深いところにあって、浅く切っただけじゃ死なねぇんだよ。
「あれ? よそ見してていいの?」
今度はイアの番だ。狙いをつけづらいはずの二丁拳銃で、ごく普通に急所に当てていく。慣れたら照準を合わせなくても分かるらしい。まぁ、自分の銃でしかできないとも言ってたが。
静かに、後ろから敵が倒れていく。かと思えば、前で大爆発。ナタリーは殴ったり蹴ったり足で首を挟んで骨を逝かせたり、格闘術で殺していく。対してパーシーは爆弾を使いまくっている。威力は抑えてるから、吹き飛ぶのは近くの人間だけだ。
「向こうの部屋のやつ、全員殺ったよ」
ラーフはいつの間にか裏から殺しに行っていたらしい。近くにいた2人の首を掻き切って、人数を数える。
「あと3人。どっかにいるはずだぞ」
「いた! ……はい、殺したよ」
「ああ」
イアが数秒で全員殺ったようだ。早いな、相変わらず。
「……早かったわね。まだ15分よ? しかも往復で10分かかる。5分で終わらせたの?」
「たかが31人だからね。しかも弱いし?」
にこやかなイアの顔とは対照的に、リサの顔は呆れている。
「たかがじゃないわよ、たかがじゃ」
……たかがじゃ、ないのか?




