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「あーめんどい! なんでこんなにいるの!?」
「怒っても仕方がないだろう、イア。顔写真も一応はあることだし」
リィに取りなされて、渋々書類に視線を落とす。
「でもさー、髪染めてたりカラコン入れてたりするんじゃない? 整形とか」
「禁止されてるとはいえ、スラムじゃ一般的だしな……」
目視で探すのにとても不利だ。やっぱり髪の色や目の色に引きずられる。特に髪。
「ねぇ、なんで禁止なの?」
またしてもナタリー。まぁ、これはそんなに……いや有名だよこれも! 常識、小学生でも知ってる!
髪を染めること、瞳の色を変えること、整形をすること。これらはすべて、禁止されている。
「髪を染めたり、目の色を変えたり……そういうのって、違う人みたいになれるよね? じゃあもし、リィが警察に追われてるとして、」
「おい!」
「追われてるとして。青色の髪に青色の目に変えたとするでしょ? じゃあナタリー、元の黒髪の写真だけで、このスラムからリィを見つけられる?」
「人混みから見つけるのは、難しいよ」
「そう。もちろん、監視カメラとかで見つけることはできる。でもね、スラムの監視カメラってどういう状態?」
「壊されて、部品を売ってる!」
「だから監視カメラを置いても意味がない。警察は目で見て探すことしかできない。でも見た目が変わってると、難しいよね? だからこそ、禁止して、探しやすくするの」
「そっか。……あれ、イアは?」
その質問は笑顔ではぐらかしておいて、口を開く。
「とりあえず、操り人形にも協力させるよ」
「操り人形って……この辺りに使えるのがいるの? 商人や貴族の使用人だけって言ってたわよね?」
「リサ、その情報は古い! もう既に、花街関連にも手は出してるよ? どれだけ暇だったと思ってるの。暇つぶしもしたくなるでしょ?」
暇つぶし……とラーフとリサが同時に呟く。わー息ピッタリ。
「あーそうそう、スラムの麻薬密売人にも回しとく」
「イアお前、安全なのか?」
「大丈夫、下っ端。上の方はさすがにちょっと怖いかな」
消されるのは勘弁。それに、裏社会を牛耳る気もないし。
「まぁでも、安心して? 裏社会に生きる人間なら、私の手のひらの上だから」
プッシャーとは、ネット上での麻薬密売人の隠語です。麻薬ダメ、ゼッタイ。




