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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第四章
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43 情報網

「あーめんどい! なんでこんなにいるの!?」

「怒っても仕方がないだろう、イア。顔写真も一応はあることだし」

 リィに取りなされて、渋々書類に視線を落とす。

「でもさー、髪染めてたりカラコン入れてたりするんじゃない? 整形とか」

「禁止されてるとはいえ、スラムじゃ一般的だしな……」

 目視で探すのにとても不利だ。やっぱり髪の色や目の色に引きずられる。特に髪。


「ねぇ、なんで禁止なの?」

 またしてもナタリー。まぁ、これはそんなに……いや有名だよこれも! 常識、小学生でも知ってる!

 髪を染めること、瞳の色を変えること、整形をすること。これらはすべて、禁止されている。


「髪を染めたり、目の色を変えたり……そういうのって、違う人みたいになれるよね? じゃあもし、リィが警察に追われてるとして、」

「おい!」

「追われてるとして。青色の髪に青色の目に変えたとするでしょ? じゃあナタリー、元の黒髪の写真だけで、このスラムからリィを見つけられる?」

「人混みから見つけるのは、難しいよ」

「そう。もちろん、監視カメラとかで見つけることはできる。でもね、スラムの監視カメラってどういう状態?」

「壊されて、部品を売ってる!」

「だから監視カメラを置いても意味がない。警察は目で見て探すことしかできない。でも見た目が変わってると、難しいよね? だからこそ、禁止して、探しやすくするの」

「そっか。……あれ、イアは?」


 その質問は笑顔ではぐらかしておいて、口を開く。

「とりあえず、操り人形にも協力させるよ」

「操り人形って……この辺りに使えるのがいるの? 商人や貴族の使用人だけって言ってたわよね?」

「リサ、その情報は古い! もう既に、花街関連にも手は出してるよ? どれだけ暇だったと思ってるの。暇つぶしもしたくなるでしょ?」

 暇つぶし……とラーフとリサが同時に呟く。わー息ピッタリ。


「あーそうそう、スラムの麻薬密売人プッシャーにも回しとく」

「イアお前、安全なのか?」

「大丈夫、下っ端。上の方はさすがにちょっと怖いかな」

 消されるのは勘弁。それに、裏社会を牛耳る気もないし。

「まぁでも、安心して? 裏社会スラムに生きる人間なら、私の手のひらの上だから」

プッシャーとは、ネット上での麻薬密売人の隠語です。麻薬ダメ、ゼッタイ。

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