表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第四章
44/262

42 報酬は弾んでよ

「このリスト全部?」

 何十人もの名前が書かれたリストをリィと一緒に覗き込んで、思わず声を上げる。

 非難する響きになったのも仕方ない。だって35人殺せって言われたんだから。


「全員がスラムにいるわけ?」

「私の調査ではな。生死は不明だが……。こいつらはみな、凶悪犯罪を起こした者たちだ」

 ニュースになった人間に関しては、知ってる。でも見たところ、揉み消されたっぽいやつもいるけど。だって知らないし、『本』にないから。

「分かってるなら逮捕しちゃえば?」

「できん。証拠不十分により、釈放されている。貴族の息がかかっておるのだろう」

 予想通りの答え。大変だね、王さまって。


 ナタリーが能天気に声を上げる。

「王様が命令すればいいのに」

 ああナタリー、そこまで頭が悪かったなんて!

「ナタリー。王さまは、あまり政治に関われないの。君臨すれども統治せず。それが決まりだから」

「ある程度の意思ならば、尊重もされるがな」

「えっと」

 ダメだ理解できてない!


「だからな、ナタリー。王様は偉いけど、この国を動かせるわけじゃないんだ。王様が公園を作ってほしいとして、『作ってくれ』と言うことはできる。でもな、作るかどうかを決めるのは王様じゃないんだ」

 ナイス、パーシー! 分かりやすいね!

「分かったー!」

 ……分かってることを祈るよ、ナタリー。


「それで、だいぶ時間はかかるけど、いい?」

 これだけの人数の所在や安否を確認するのは、相当時間がいる。

「構わん。野放しにしておくわけにはいかんが、失敗はもっと悪い。どうも貴族と結託して国家転覆すら狙っている節がある。それは食い止めねば」

「データに残るけど、いいの?」

「お前たちをぞんざいに扱わねば、大丈夫なのだろう?」

「ま、一応ね」


 にっこりと微笑んで、王さまを見上げる。

「あとは報酬。もちろん普段の15倍以上にはしてくれるよねぇ?」

「じゅっ……!? お前、私は王といえど簡単に金を出せる立場では! 5倍だ、5倍!」

「じゃあ断ろっかな。ついでにデータもばらまいて」

「7!」

「データ」

「……9!」

「そこまでいったらキリよく」

「……。ああっ、分かった10倍だな!?」

 よし、交渉成功。なにかあっても安心だね。孤児院のみんなが、1年以上は暮らせるし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ