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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第三章
33/262

32 大丈夫

 どうして、こんなことになった!? リィもイアも死にかけてて、俺たちは国王が来るまでなにもできなくて……!

 やっぱり俺が……。


「俺が行けばよかった。あの辺りで働いてたのに」

 あのカジノのはす向かいで働いてたのに。

「パーシー。あたしね、思うんだ。もしパーシーが行ってても、結果は変わらなかったって」

 不意に声がした。しゃがみこむ俺を、ナタリーが見下ろしていた。

「だから、落ち込まなくていいよ!」


「落ち込むさ。2人は死にかけてんだからな。みんなそれぞれ、自分のせいって責めちまうんだよ!」

 真剣な顔のナタリーに、つい八つ当たりをしてしまう。

「あたしは、そう思わない。だってこうなったのは、チェンバレンのせいじゃん!」

 目に涙を溜めて言うナタリーを見て、申し訳なくなる。それに、確かにそうだ。チェンバレンのせいだ。


「それにさ、2人はなんて言うと思う? 自分のせいにしそうじゃない?」

「ああ……。お互いに押しつけ合うか、お互いを庇うかだな」

『リィのせいだって!』『なに言ってんだお前だろ!』

『リィのせいじゃないよ』『いや、俺のせいだ』『違うって』『だから俺だ』

 その光景を想像して、ニヤッと笑う。どちらのパターンも、簡単に浮かぶ。


「今回は庇う方かしらね。リィは悪くないよ私が悪いんだよ、いや俺が悪いんだ……って感じね」

 リサがパサッと髪を掻き上げながら来た。近くまで来て、声からおどけた響きが消え失せる。代わりにどこか、懇願するような縋るような響きが含まれる。

「あと5分で来るわ。そうしたらきっと……大丈夫」

 ああ……きっと、そうだ。


 ……そうあってほしい……!

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