28 ミモザ
「……それがいい。将来、失敗しないから」
そう言うと、イアに怪訝そうな顔をされた。まぁ、言わなくていいか。
ルシアンが女を酔わせるために飲ませる酒とか……。俺も若干引いたしな。そういうの考えるやつ、いるんだな。
……イアは絶対に、酒の勉強をした方がいい。ルシアンを知ったときに、そう思った。
「ギアルギン・セリゾ・チェンバレンだよ!」
ようやく、来たか。遅かったじゃねぇか? えぇ?
「じゃ、俺は先に行ってるぞ! 早く来いよ、チップもらい逃すぜ!」
いい先輩だったな。今日までだが。
「まったく、遅かったね。僕ら待ちくたびれたよ」
「まぁいいさ。行こう。ジョシュ、準備はいいな?」
「もちろん」
ギアルギンは特に、ルーレットを好むそうだ。そして、酒はミモザを好む。2杯目に毒を入れる。どんなことが起こるか分からないから、1杯目には入れない。毒は遅効性で、大体3時間後に効く。王宮の門が閉まる都合上、2時間半後には、王宮に戻り始める。王宮で死んだら、一番処理がしやすいからな。
「いらっしゃいませ、ミスター」
この店では、客のことは一律ミスターとレディだった。上客でも変わりはなく、か。
「ルーレットは開いてるか?」
「はい、こちらへ」
テキパキと案内されて、ルーレットテーブルにつく。このテーブルの最低掛け金は10万ポッド。……バカか。
「久しぶりだね、ローレン」
ローレンというディーラーが営業スマイルで応える。
「はい、お久しぶりです、ミスター・チェンバレン」
「お手柔らかにね」
「できる限りは」
ルーレットが幕を開けた。そんな中、ビレドがミモザを渡す。思った通り、ギアルギンは1杯目をディーラーに渡した。
「まだ喉は乾いていないんだ」
いけるか? イア。視線を向けると、
――当たり前でしょ?
というような不敵な笑みが返ってきた。ああ、大丈夫だな。
ルシアンはちょっとマイナーでしょうか。スクリュードライバーとかのほうが有名ですね。




