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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第一章
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1 誰このおじさん?

 王宮にお越し願いたい。


 思わずポカーンとしたのは私の責任じゃない。みんなが状況を理解できてないのも、私の責任じゃない。

「……誰だてめぇら」

 こんなときでも動じない辺りは、やっぱりリィだ。


「リークス・ソール、イアータ・クローバー、パーシー・フェリア、ナタリー・ノアーラ、ラーフ・コストン、リサ・オーテス。ついてこい」

 私たちの名前も完璧。で、仕立てのいいスーツ。

 ……まさかこんなに早く来るなんてね。


 通された部屋は、薄暗かった。この程度の暗さじゃ、大して困りもしないけど。夜ってホント、暗いからねぇ。

「よく来たな」

「連れてこられたの間違いだよ」

 これみよがしに肩をすくめる。まだ白髪はないけど、今年で43歳でしょ? やっぱ染めてんのかな?

 国民に苦労が見えたら、ちょっと示しつかないし。


「ねぇ、誰このおじさん?」

 ナタリーの能天気な言葉に、つい吹き出した。この人に向かって……おじさん!? ああやっぱナタリー面白い。

「ナタリー、今の最高。……このおじさんは、この国で一番偉い人。つまり国王陛下」

「えっ」

 ナタリーだけが驚いた。ナタリー以外はみんな頭いいしね。あはは。


 会話が一段落したのを見計らって、王さまが口を開く。

「おい、お前。なぜフードを被っている」

 フードを被っているのは私だけだから、まぁ私を咎めているんだろう。


「えー? 私素顔だけど、大丈夫?」

「子供に興味はない」

 まぁいいか。どのくらい通用するのか、興味あるし。

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