プロローグ
連載2つ目です。
白く輝く石の床に、彼女は立っていた。赤い髪に、サファイアの瞳。足と胸元と背中を大きく出したドレスも、高い踵のピンヒールも、口紅も、真紅に染まっていた。胸元でふわりとカールした髪には、アメジストの髪飾り。端的に言うなら、絶世の美女。それも、老若男女すべてを骨抜きにするほどの。
「僕の鏡を使うのはいいけれど、僕の存在意義を汚さないでおくれよ。イナ」
そんな彼女に、1人の青年が話しかけた。白いシャツ、白いズボン、白い髪、白い肌。唯一瞳だけが、禍々しい紅。闇夜に夕暮れを混ぜ合わせたような、見る者に畏怖を与える瞳。
「分かってるよ、フォグ。あんたの司るもの……運命を変えはしないさ」
青年は、美女の言葉に満足げにうなずいた。
「あ、イナがなんか見てる。なに見てるの?」
ウェーブした腰まである紫色の髪を背中に流している少女は、見た目に不釣り合いな大人のような浴衣を着ていた。黒地に、紫の紫陽花。ただなぜか、アンバランスさすらも少女の魅力になっている。
「あら、『悪魔の瞳』? これを見てるのね?」
「リンナ、リンカ。落ち着きな」
もう1人の少女は、まっすぐな金髪をアップして、綺麗なうなじを見せている。淡い水色のドレスはふわふわ。
「では、全員で見るか。私も『悪魔の瞳』の人生は好きだ。どう思う、シーク」
「フィアの案に賛成。俺も見てぇな」
男勝りな口調の女は、目と同じ色の落ち着いた緑の軍服を着ている。青い髪は肩で切り揃えており、佇まいは正に凛とした女戦士。
一方で男は、適当という言葉がよく似合う風貌だった。寝癖のようにはねた蜜柑色の髪、眠たげな蜜柑色の瞳。くすんだ赤色のパーカーに紺色のジーンズ。どこにでもいそうな男だ。
「裁きを下すべき者はいるか」
「トヤハ、まだ誰も死んでねぇぞ」
シークが呆れたように話しかけた男は、裁判官そっくりだった。髪と同じ色の、真っ黒なローブ。瞳も濡れたように真っ黒だが、長めの髪に時折隠れている。
「我は裁きを下す者。いつなんどきも、罪には敏感でなくてはならぬ」
「ねぇトヤハ、あの子はどこにいるの? あの子も呼ぼうよ」
「『悪魔の瞳』の親類のか」
「そうそう。はい、最高神命令。呼んで」
「最高神が望むなら。まぁ、大した手間でもない」
その言葉を言い終わる前に、1人の少女が現れた。7人の神に囲まれるという突然のシチュエーションに戸惑う少女に、リンナが微笑みかける。
それと同時に、人数分の椅子が現れる。どれも真っ黒に輝いている。まるで、月のない夜の色だ。
「さぁ、みんな座って。『悪魔の瞳』の人生、ちゃんと見ようよ。楽しい鑑賞会の、始まりだよ」
トヤハ、中二病です。
見捨てないでくださいねっ! お願いします……(´;ω;`)




