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ただ純粋な、  作者: 横山裕奈
チェス編 第二章
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13 初仕事 4 8年来の仲間からの手紙

 2人が潜入を始めてから1週間。ようやく、約束の酒場に操り人形が現れた。

「8年来の仲間から、手紙です」

 服の仕立てなんかも庶民にしてはいい、明らかに裕福な商人。……どんなネタで脅されてんだか。

 豊かな頬から血の気が引いている。これ以上ここにいると、倒れかねないな。……おいイア、どんなネタで脅してんだ……? 本格的に気になってきたんだが。


「おかえり、リィ。どうだった?」

「男子部屋にみんなを集めてくれ」

 リサは俺の返事に満面の笑みでうなずいた。


「8年来の仲間? 上手いこと言うな、イアは」

 感心したようにうなずくパーシーに、ナタリーは無邪気に聞いた。

「らいってなに?」

「8年間ずっと、ってことだ。ほら、イアとリィは8年間一緒にいるだろ? 俺たちは4年だけどな」

「あっ、本当だ! イアって頭いいね!」

 たぶんお前が考えてるのとはまったく違う次元で、頭がいい。それは認める。……バカだけどな、イアは。


「それで? 手紙にはなんて書いてあるのよ」

「『決行、明後日深夜零時。明日と明後日の間の時間。護衛七人、二人は始末する。寝室は三階。屋敷の端から書斎、応接間、寝室。書斎の窓は通り抜け可能。二階辺りに駐車場の屋根あり。約束の時間に二階風呂場前にて』だそうだ」

「そんなにハッキリ書いて大丈夫なのかよ?」


 大丈夫だろう、と俺はうなずく。手紙を見せながら、ナタリーに分かるよう・・・・・・・・・・説明する。

「ほとんど漢字だろ? 庶民で漢字を読めるやつは少ないから、万が一見られても安心だ。操り人形はたぶん、裏切ったらどんなことが待ってるか言い含められているだろうから裏切らない」

 言い含める、なんて優しい方法ならいいんだが。

「イアってよく覚えてるわね。私、零なんて書けないわよ」

「なに書いてるのか分かんない!」

「ノーラの苦労が無駄になってるじゃねぇかよ! ちゃんと覚えろ、ナタリー!」

「パーシー……無駄よ」


「リサ、お前はオペレーターだ。通信機器の準備と、ハッキングの準備も頼む。ナタリー、このあとパーシーに詳しく説明してもらえ、そして完璧に覚えろ。パーシー、爆弾の準備を頼む」

「分かったわ」

「は~い!」

「仕事多いな、俺」

 明後日か。明後日には、調子が元に戻るな。6人いないと、調子が狂う。

 ……というか、イアがいないと変な感じがする。

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