12 初仕事 3 潜入開始
「ああ、あなたたちですね。えっと……キリアさんとメイさん?」
「はい。よろしくお願いいたします」
イアのお辞儀に合わせて、私もお辞儀する。
「よろしくお願いいたします」
鳶色の髪に金茶色の瞳の少女は、にこやかに笑った。
「こちらこそ、よろしくお願いします。じゃあ、説明をするからついてきてください。あと……一度で覚えてくださいね」
敬語だけど古株なのかな……? でも、そんなに歳は変わらないよね?
「ああ、私は家女中長のシェーラです。あなたたちと長い付き合いになれたらいいんですが」
ほんの少しだけ寂しそうに、彼女は笑った。
「あの、少しいいですか」
一通り説明を終え、会話が途切れた瞬間、キリアが口を開いた。
「はい、質問ですか?」
「失礼ですけど……シェーラさん、ご年齢は?」
「14です」
「えっ」
私も思わず声を上げる。……1つ下だし!
「まぁ! すごいです、シェーラさん! そんなに若いのに」
「敬語じゃなくて結構ですよ。キリアさん、メイさん」
「そんなわけにはいかないですよ。自分より立場が上の相手に敬意を払うのは、当然でしょう? まして、そんなにお若いのにここまで上り詰めた方ですもの」
キリアは天才だ。改めて、そう思う。シェーラはたぶん、若さのせいで多少なりともバカにされてきたんだろう。それを、屈託なく(表面上は)尊敬してくれる人がいる。かなりの確率で、心を開くだろう。
「……ありがとうございます。キリアさん。でもやっぱり、年齢って大きいですよ」
「じゃあ、こうしませんか?」
私もなにか言わなきゃなぁ、とある提案をする。
「名前だけ、呼び捨てにしません? 私たちはシェーラと呼びます。あなたは、わたしたちをキリア、メイと呼んでください」
「いいわね、それ。どうですか?」
ふわりと花が綻ぶように、彼女は笑った。
「いいですね。そうさせてもらいます。キリア、メイ」
……よし、1人落ちた。これで仕事が楽になる。
もはや違和感がないラーフ。あれ、女子だっけ?




