第8話:瓦礫の都市(1/4)――「ポスト・オラクルの混沌」
1. 崩壊した序列
中央演算核『デウス・エクス』の破壊から一週間。学園都市を支えていたナノマシン・インフラは断続的に停止し、空を覆っていたホログラムの空は消え、剥き出しの鉄骨と灰色の雲が街を支配していた。
「正解」を失った生徒たちは、自ら思考することを強要され、パニックと暴動が頻発。かつての優等生たちは、演算支援なしでは歩くことさえままならず、スラムと化しつつある校舎で震えていた。
2. レイジの右腕:沈黙の「遺物」
レイジはFクラスの地下拠点にいた。白鷺との決戦で全出力を放出した右腕は、指先まで真っ白に色が抜け、感覚を失っている。
「ナノマシンの反応がない。完全に『空』だ。……だが、これでお前はただの人間に戻れたのかもしれねえな」
神代が、酒ではなく泥水のようなコーヒーを啜りながら呟く。
3. 新たな脅威:『掃除屋』
静寂を切り裂いたのは、突如飛来した無機質な機械音だった。
学園の治安維持システムが、オラクル・ゼロの消失に伴い**「強制初期化モード」**へと移行。生き残った生徒たちを「未定義の不純物」として処理し始めたのだ。
現れたのは、感情も演算服も持たない、純粋な殺戮機械――自動執行官『掃除屋』。
それらは、かつての十傑を凌駕する物理破壊力を備え、組織的な殲滅を開始する。
4. 招かれざる再会
「……相変わらず、無様ね。Fランク」
拠点の入り口に現れたのは、ボロボロの制服を纏った黒瀬リアだった。彼女の自慢の紅蓮は燻り、かつての威圧感はない。だが、その瞳にはシステムに依存しない、鋭い「意志」が宿っていた。
「外は地獄よ。システムが、この学園ごとすべてを『無かったこと』にしようとしているわ」




