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新発見 小銭の重要性

緊急連絡が入る。


「何? あの探偵さんが地下牢にぶち込まれただと? 訳が分からねえ」


「詳細はまだ確認中です。どういたしましょう? 」


「放っておけ。こちらにはこちらの仕事がある」


「それから西の館で…… 」


この際探偵さんは安全な地下牢に置いといてやるのが優しさだ。


あの婆さんだってそれを望んでいる。


「A班とB班は引き続き任に当たってくれ。C班は戻って来い。


俺はここを離れる。何かあったら知らせろ。もちろん定時連絡も怠るなよ」


さあ行動開始。



あらかた住民は調べた。


怪しい者は今のところ見つからない。


両失踪事件でアリバイが不明確な者も居たには居たが動機が見つからない。


まさか衝動的に起こした訳でもないし。


あの探偵さんが言っていたように第一村人が全てを操っているとしたら厄介だ。


今度の連続失踪事件が殺しなら明らかに殺意を持った者に辿り着くはず。


しかし実際には何の手掛かりも見つけられない。


村人の中には特に怪しい者はいない。なぜこのような複雑な事態となりうるのか。


本当に面倒くさい。殺人なら殺人。失踪なら失踪。自殺なら自殺。


もっと分かりやすくあってもらいたいものだ。


ただ少なからず突破口が見つかった。


西の館。通称湖の館で新たな発見があったのだ。


さすがは我が部隊。迅速で優秀だ。



北の館へ。


現在三女の三貴が籠っている。


今夜遅くに儀式を終え姿を現すはず。


もちろん何もなければだが。


よしここだ。まだ動きはないな。


「お疲れ様です」


「おおどうだ様子は? 」


「今のところ問題ありません。静かなものです」


三女の周りを固める。今はこれくらいしかやることがない。


無事儀式を終え出てくることを願う。



「おい。小銭あるか? 」


「はい? 」


「いやいい。何でもない忘れてくれ」


さすがに願い事をするのに人の金を借りるのは間違っている。


この小さな村も探せば一つや二つ寺か神社があるはず。


お参りする時間ぐらいあるだろう。


もはや神頼み。


『お願いです。どうぞお助け下さい』



これ以上の事件もこれ以上の複雑化も困る。


下手すればこっちの首だって飛びかねない。


女房子供の生活がかかってるんだ。


警察を首になったらたぶん他の働き口など……


天下りなど俺の地位では不可能だし。


と来れば意地でも定年まで勤めあげねばならない。


あーあ。やってられない。


もしこれ以上犠牲者が増えるようなことがあれば責任は誰かが取らねばならない。


それはもちろんこの事件の責任者の俺しかいない。


厄介な事件を押し付けられたものだ。


第一村人は俺を破滅させる気か? 


一体何の恨みがあるってんだよ。



おっと余計なことを考えるな。


俺が捕まえればいい。ただそれだけじゃねいか。


そして手柄を立てて昇進する。


あの婆さんの戯言が本当ならまだ俺にもツキがあるはずだ。


「どうしました? 」


「引き続き監視を頼む。分かっていると思うが第三の消失を起こしてはならない。


警察の威信がかかっている。総員引き締めて任に当たるように」


指示を出す。


しかし今館内はどうなっているのか。それが見通せない。


もう本当に儀式など中止して三女の保護に動くべきではないのか。


判断を誤れば取り返しのつかない事態に。



ふう汗が止らない。


まったく三月だと言うのに暑くて敵わない。


もうワイシャツもじっとり。ああ気持ち悪い。


あーあ。今すぐ安否を確認してえよ。


だがこの村での一族の力は絶大で命令など出来やしねえし。


従いもしねえだろうな。本当に情けねえ。



「なあ婆さんを見なかったか」


「婆さんですか。それでしたら見かけましたよ」


「何? どこだ答えろ」


「村の至る所です」


「はあ舐めてるのかお前は? 」


「いえこの村も高齢化が進み人口もそれに伴い減少の一途を辿っています。


と言っても隣村と合わせての話ですけどね」


「いやいやそうではなくて。俺の探してるのは東京から探偵を追いかけてきたほら吹き婆さんのことだ」


「いえ…… 今のところ…… ああ婆さんだ」


目の前を通り抜けたのは間違いなくあの婆さんだ。



「そこのお婆さん。止まって」


「婆さん。婆さん」


いくら呼びかけても立ち止らない。


耳が遠いのかただ無視しているだけなのか。


仕方なく後を追い駆ける。


                  続く


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