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焦らして焦らして

元村長から貴重な話を伺った。


アリサ伝説について当時村長だった者の証言は真に迫っており大変興味深い。


パチパチ

パチパチ


時々相槌を打ち話を盛り上げる。終盤は眠気が勝ってしまったが。


「以上でアリサ伝説の真相は仕舞じゃ」


元村長だけあり説得力はある。



「どうじゃ? 当時の貴重な目撃者の儂の話はどうであったかな? 」


「ええ。存分に楽しませてもらいました。でもこの話は本当ですか? 


あなたに都合の良いように脚色してませんか? 」


念のために確認。嘘をついていれば大抵は激高する。


なぜ信じられんと迫るのが人の常。


「馬鹿な。村長だった者としての務め。嘘偽りなどあるものか。全く不愉快だ」


うーん。この反応は? 焦っているようにもただ怒っているようにも見える。


まあ敢えてアリサさんの顛末を話したのだし信頼してもいいかもしれない。


ただまだ疑いは残る。今回の連続失踪事件の犯人または黒幕と目されている人物。


容疑者の一人に違いはない。慎重にも慎重に。


それだけではなくすべてを語ったように見えて一部を隠してるかもしれない。


それに知り得なかった事実もあったかもしれないのだ。



「分かりました。信じましょう。話は以上ですか? 」


「良かろう。当時それは大騒ぎでな。村ではアリサは物の怪の類だと恐れられた。


だから伝説にもなった訳じゃ」


アリサが物の怪の類であるならその娘のルーシーは物の怪の姫と言ったところか。


「それで当主と二人で逃走経路を探ったんじゃがまさかあのサライちゃんに守られているとはな夢にも思わんかったな…… 」


「アリサさんにサライちゃんですか。もう何が何だか混乱して頭が痛い」


「いやいや二つの伝説は密接に関わっており片方を紐解けばもう片方も自然と」


「あなたはどこまで知っているんですか? 」


「大雑把にはすべて。もし儂が今もこの村の村長で老いぼれていなければ……


自分の手で村を守るために事件を解明していただろう。


でもな今はこの山湖村の村長でも住人でもない。ただの隣村のやかましい爺じゃ」


分かってるじゃない。まあそこまで自分を卑下する必要もないけどね。



「では捜査協力は? 」


「頼まれたら断らん。まあこの場合儂が犯人でないと言う前提条件があるがな。


良く考えろ。儂が犯人ならある事ない事吹き込み迷宮入りさせると思わんか? 」


元村長は山湖村のすべてを知っていた。


「お教えください。犯人は一体? 」


「儂を信用する気になったか。じゃが犯人までは儂の力を持ってしても不可能。


一連の失踪事件は今起きていること。


過去が深く関わっているとしても一族が関係していたとして儂には分からん。


儂はただの爺さん。あんたらは探偵だろ。自分たちの力で導くがよい」


まだ何か隠している? まあいいでしょう次。



気分を変えてサライちゃん人形について聞いてみる。


「ああサライちゃん人形か。あの人形を動かすとなんと穴が出現するのじゃ。


まあ一見しても分からないようにカモフラージュしてあるがな。


アリサ伝説を話した今隠しようもない。


穴はある場所へと。今は隣村となっているが当時は境界がずれていて…… 


そこからアリサや少女たちが逃げ追手がかかる前に隣村を脱出。


その後の消息は掴めていない」



「では穴がありそこから逃れたという訳ですね? 」


「うむ。そこがどこか分かるかな? 」


こちらの実力を測っているのか笑っている。


「もったいぶらないでさ。今この村で起きてる事件を素早く解決しないと第三の消失は止められないよ。早く早く。今夜がそのリミットだって分かってるだろ? 」


もはや冷静ではいられない。


爺は言いたくて言いたくて仕方がないといった顔。


それでもなお隠す気満々。焦らしている?


自分だけが知っていると言う優越感に浸かりたいのだろう。


しかしそんなことの為に救われるものを救わずして何が元村長であろうか。


「調子に乗りおって。じゃがまあ良かろう。あんたの希望に添おうではないか。


これ以上隠しも庇いようもない。儂とて人間。元村長のプライドも責任もある」


ついに折れる元村長。粘り勝ちだ。


「急いで早く。もう時間が無いんです」


「そう焦るではない。今ちゃんと説明してやるから」


さあすべての真実を白日のもとへ。



「実はなあ…… 」


衝撃の事実と共に意外な犯人の影がちらつく。


元村長の告白が事実なら私は誰を追い詰めることになるのか?


                    続く

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