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救出失敗

「おーい」


どこからともなく聞こえる男の叫び声。


「何か言った? 」


「あれ。先生じゃないんですか? 」


「ルーシー? 」


「おー濡れ衣ね」


まあ彼女ではないのは確かだろう。男の野太い声だった。


コウ君が隣の牢を指す。



「おーい。お前らふざけるな。俺をここから出せ」


「そろそろ帰ろうか」


「そうっすね。関わり合いにはなりたくないですよね。あんなのと」


「おーい。出してくれ。俺たち友達じゃないか」


いつの間にか友達にされてしまった。


このまま行くと親友に格上げされる日は近い。



懸命に呼びかける男を無視してコウ君からこれまでのことを聞く。


彼が迎えに行った時には特に変わったところはなかったと言う。


明かりが乏しいため暗く分かりづらかったが二姫の姿が忽然と消えていたとか。


その後屋敷を探し回るも着物一枚残されていた以外異常は見られなかったそうだ。



一葉に続き二姫までも消えた。


第一村人の予告通り事件が起きてしまう。


ついに二人目。


これで残ってるのは三女の三貴のみ。


三姉妹の中で評判のいい彼女まで失踪するような事があれば村は再びパニックだ。


警察の力ではどうにもならない。


だから今回の失踪事件もなるべく公にしないようにしていた。


だがなぜかすぐに噂は広まってしまう。


まあ狭い田舎であるため致し方ない部分もある。



「おーい。おーい。さっきから俺を無視するんじゃねー。


お願いだからここから出してくれ。頼むよ」


忘れていた。隣の牢の存在。


誰かと思えば東の館の門番。


「頼むよ。俺は知らねい。関係ねえ。早く出してくれよ探偵さん」


「先生お知合いですか? 」


「うーん。見覚えがあるような…… 」


「おいお前らしらじらしいぞ。まさか本気じゃないよな? 」


第一の事件の最重要人物の男。もはや犯人と言っていい。


コウ君と共に捕まったと見える。


かわいそうなので何とかしてやりたい。


しかしうるさいのとコウ君の方が大事なのでどうしても後回しになってしまう。



叫び続ける男。なおも喚くので仕方なく助手が対応。


「まったく仕方ないなあ。お前本当に犯人じゃないんだろうな? 」


助手の追及に大声で返す。


「何を抜かす。俺は知らねえ。無実だ」


大人しいコウとは対照的。余裕が無いのが見て取れる。


ふざけていた助手がいきなり態度を翻す。


「先生…… 何だかかわいそうですよ。出してやりましょうよ」


助手のコントロールを誤る。情が移ったらしい。これだから甘いと言うんだ。


「何を言ってるんだ。そんなことしてみろ。皆ぶち込まれるぞ。良く考えるんだ」


状況判断を誤り続ける助手。仕方なく声を荒げ制止する。



「早くしてくれ。そこに鍵があるだろう。それを鍵穴に入れて回せば外れる。


俺は何度かここに来たことがある。だから詳しいんだ」


助手を味方に付ける。まさか開けさせる気か? これは本当にまずい展開。


「ダメだ。そんなことをすれば我々も捕まってしまう。良く考えるんだ」


助手の顔をじっと見るが効果は薄い。


「だってかわいそうじゃないですか? こいつは悪い奴じゃありませんよ」


勝手に善人認定をする暴走っぷり。


「ダメだ。止めろ。止めるんだ」


必死に止めるが聞く耳を持たない。


どうしてしまったと言うんだろう?


考えれば分かりそうなものだが。



「大丈夫ですって。今は誰もいません。チャンスです。コウもそう思うよな? 」


コウ君に同意を求めるが沈黙で返される。


「止めろ。馬鹿な真似はよすんだ。破滅するぞ」


いくら説得しても聞く耳を持たない。


助手の暴走が物語を複雑にしてしまう。


「オープンザドア」


沈黙を貫いていたルーシーが変な呪文を唱えたかと思ったら開けてしまう。


仕方なくコウ君もと流れになった。


その時階段を降りてくる男たちの姿が。


ついには囲まれてしまう。万事休す。


                 続く


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