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悪夢からの解放 ビリビリに引き裂かれた想い

コウは三貴を裏切っていなかった。強要も否定した。


「コウ君。信じてもいいかい? 」


「当たり前じゃないですか」


「だとすれば謝らなくてはいけないな」


「いいんですよ。自分が悪いんですから。自分には責任がある」



「計画ってのはどうしてこうも上手く行かないんでしょうね探偵さん。


消えて欲しい物(者)は残り、残って欲しいと願う物(者)は手から零れ落ちる。


まさにルーズコントロール。理不尽だ」


言わんとしてることは分かるが計画は計画。都合のいい妄想でしかない。


実際には半分上手く行けばいい方だ。


コウ君には残念だろうがこれが現実。計画段階で止めておくべきだったな。



第一村人コウの告白に静まり返る館内。ついに大家さん動く。


「ではここらでこの私玉子が遺書を発表しようじゃないか。


警察に止められてたけどコウ君の味方に回ったことだしね。どうだいあんた? 」


「婆さん、はしゃぎ過ぎだ。自分のじゃあるまいし」


「何抜かすこのゴリラ。ちょっとくらいいいだろ」


口汚い罵り合いの応酬。


「おいおいふざけんな。これは大事な証拠品だぞ。


持って帰って精査しなくてはならない。こっちの身にもなって考えろ」


「それくらい分かってるさ。やっぱりダメかい? 」


「それはちょっと…… 」


「ケチケチしない」


「そんな…… だから…… 」


「どっちだい? 」


「済まん。緊急連絡だ」


追い込まれた刑事はタイミングよく無線を取り出す。


「いいらしいね。さあ読み上げるよ」


勝手にOKにした大家さんによる代読。



『お許しください。


儀式を穢し申し訳ありません。


すべては私・三貴の不徳の致すところです。


責任をとる所存です。


お許しください』


            三貴



走り書きされた遺書らしきメモ。


メモはところどころ濡れていた。


ここからも三貴の苦悩が伝わる。


病院到着後に発見されついさっき刑事の元へ。



「まったく証拠品だって言うのによ。


しょうがねいな。これだから婆さんは…… 」


ゴリラのような刑事は笑みを見せる。


不気味で仕方がないが嬉しそうだ。


「何だいこの若造が」


言い争いに発展する前に止めるべき? もう遅いか。


「困った婆さんだ。よし婆さんは放っておくとして。


皆聞いてくれ。特にそこの小僧。お前に報せといてやる。


良い報せだ。心して聞くように」


随分偉そうな刑事。


「今更自分に何を? もう本当にどうでも良いんですよ。放っておいてください」


コウ君は耳を塞ぎ目を閉じる。


これ以上聴くことも話すこともないと頑な態度。


「そう言うなって。お前にとって重要なことなんだからな」



刑事が大げさに咳払い。ゆっくり容疑者たちの顔を見回す。


「ええ…… 何だと思う? 」


「ほらつまんないことしてないで教えてやんな。最新情報なんだろ? 」


大家さんによるカウンター。


「仕方ねいな。実はな助かったんだこれが」


「助かった? 誰が? 」


コウの表情が一転する。


「読解力ねえな。分かるだろ? 」


「早くお願いします刑事さん」


「誰って…… 三貴しかいねえよな普通」


「どど…… どうして? 」


「いや嬉しいよね普通? そういやお前、普通じゃなかったけか? 」


「し…… し…… 」


「どう言うことでしょう刑事さん? 」


混乱気味のコウ君の代わりに質問する。



「探偵さん。そりゃあそのままの意味よ。こんなメモは破けってことさ」


ビリビリに裂く。


「あーあ。馬鹿だねえ減俸処分だよ。大事な証拠品をあんたはさ…… 」


「いいんだ。もうこんなメモなんか必要ねえ」


「あーもう本当に知らないよ。調子に乗ってまあ」


「婆さん。さっきからうるさいぞ。いいんだよどうせコピーなんだから」


皆唖然とする。


「格好悪いよ。そんなせこい真似しなくてもいいのに。愚かだね。本当に」


罵り続ける大家さんだがその表情は柔らかい。


へへへっと笑うゴリラ。



事件はこうして幕を閉じた。


かに思われた……



コウを連れ添い翌朝、警察署へ。


「ありがとう探偵さん。それに刑事さんに…… 皆さんもお元気で」


いまいち信用できないがあのゴリラのような刑事にコウの身柄を引き渡す。


これにて任務完了。



「よし我々も帰るとしようか」


「ええっ? まだ観光してませんよ」


「あのね君。観光に来たんじゃないんだが」


「ゆっくりしていきましょうよ。ねえ玉子さん。温泉もまだでしょう? 」


人懐っこい助手にコロッと行くかと思いきや大家さんの方が一枚上手。


いつの間にか姿を消す。


「あれ玉子さん。 どこですか? 」


「いいから行くぞ。お前は私の助手なんだから言うことを聞け」


「もう先生。真面目なんだから」


助手もコウの件から徐々に立ち直りつつある。



「ちょっと待って…… 先生」


「置いて行くぞ」


「先生待って」


「急がないと今日中に帰れないぞ」


「ちょっと待って。何でこんなに荷物があるの? 持ちきれませーん」


弱音を吐く助手。


荷物はこの村のブランド鶏。


お土産に買ったはいいがかさばるので困ってしまう。



探偵と助手は山湖村を後にする。


こうして悪夢の連続失踪事件は一応の解決を見る。



             なぜかまだ続く


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