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疑惑 三貴との本当の関係

コウを見る。


目が泳いでいる。これは間違いなさそうだ。


「違いますかコウ君? 」


「ええ、正直に白状します。一葉と二姫の二人を恨んでいました。


それどころかどう殺そうかと考えるのが楽しくて。


いろいろな殺害方法があるものですね。


理由はさっき言った通りです。しかし岩男様はさほど恨んでなど……


ついでに殺害したとでも思ってください。


これで告白はお終い。もう何もありません」


ついに観念する。


「さあ後はこの自分を逮捕すれば一件落着。


そろそろ幕を閉じてくれませんか探偵さん。ほら刑事さんも早く」


もうコウ君には逃げる気力も無いらしい。


正当な裁きを待つのみ。


コウ君が勝手に話をまとめようとする。



まだだ。コウ君には聞くことがまだある。


「ダメです。まだ第四の事件が残っています。


何か言うことはありませんか? 」


コウは押し黙った。


沈黙が辺りを支配する。



「もういいじゃないですか先生。コウはすべて話した。


これ以上追及するのは止めましょう先生」


助手がコウの代わりに懇願する。


「君の気持ちも分かる。でも第四の事件を解決しなくては後に必ず遺恨が残る。


答えてくれコウ君。三貴さんと君はどんな関係なんだい? 」


「それは…… 」


「それは? 」


逃しはしない。追及せねばならないこともある。


「もちろん無関係です。確かに恋心を抱いたこともあります。


でもこんな自分とではつり合いが取れない。だから何もありません。無関係だ」


あれほど三貴、三貴と騒いでいたと言うのに。


「本当にそれでいいんですかコウ君?


亡くなられた彼女に申し訳が立たない。そうは思いませんか? 」



「おい探偵さんそれは違うぜ。いくらなんでもかわいそうじゃねいか」


刑事がなぜかコウ君の味方をする。


「いいんですよ刑事さん。皆すべて分かってるんでしょう? そう三貴は…… 」


コウは後悔してるのだろう。涙を拭う仕種が切ない。


「いいんです。もう十分です皆さん。これ以上は耐えられない」


「違うぞコウ。お前のそれは勘違いだ」


刑事はついムキになり否定する。


助手でもなく大家さんでも私でもない。


あのゴリラのような刑事がコウ君の擁護に回る。



婆さんがどうにか宥めようとするがエキサイトするばかり。


「馬鹿言うな」


刑事の様子がおかしい。


今まで散々罵声を浴びせていたのは演技だったのか? 


それともエキサイトしている今こそが演技なのか?


観衆は刑事を無視して探偵さんに集中する。



「コウ君と三貴さんは共犯? 」


「そうです。ただ共犯と言っても二姫の代わりに電話をかけるだけの簡単なもの。


多少失敗しようとこちらで何とでもなりますからね。


三貴は本当に優しい人だった。


それは姉二人と比べてと言う意味ではなく頼まれたら断れないそんな女性。


自分は彼女を巻き込んだだけでなく追い込んでしまった。


もはや自分でも自分が許せない。


彼女は何も悪くない。頼み込まれたから仕方なく協力したんです。


それも未遂です。


自分が…… 自分が助けに行っていたらこんな悲劇に見舞われなかった」



「三貴さんに失踪するように依頼した……


どうやって彼女を引き込んだんだい?


お得意の奉仕でたらし込んだのかなコウ君。ククク…… 」


「探偵さんそんな言い方…… 酷いですよ」


「そうだよ先生。コウはそんな奴じゃない」


助手はコウをまだ信じている。


そう。それでいいんだ。でも果たして彼が本当に信用に足る人物と言えるのか?



「黙りなさい二人とも」


ついつい大声を張り上げてしまう。


「探偵さん? 」


「先生…… 」


「違うんだ。違う。信じてくれよ探偵さん」


コウ君に余裕がなくなってきた。


「違う? どこが違うと言うんだ? 」


「本当だ。そんなことしてない。言ってもいない。信じて…… 」


「信じろ? それは無理だ。結果が全てさ」


追い詰める。これでコウ君も気づくだろう。自分が犯してしまった罪と罰に。


それから逃げずに立ち向かう。コウ君にならできるはずだ。



「三貴に自殺の強要などしていない。


ただ一緒に逃げようと言ったんだ。呼ぶまでどこかで隠れていろと。


村長や警察の動きが想定より早く…… あえなく御用。


地下牢に閉じ決められた自分ではどうすることもできなかった。


まさかあそこまで警備が厳重だなんて……


三貴は追い詰められ、持っていた薬で自殺を図った」



「自分は何て愚かなんだ? 情けなくてどうしようもない。


自分がもう少ししっかりしていればこんな風になりはしなかった。


彼女を助けてやれなかった。


探偵さんそれから刑事さん。心残りは彼女の動きを読み切れなかったこと。


どうしてこんなことに…… 」


「では強要してない? 」


「当たり前じゃないですか。誰がそんなことするんです?

 

もう事件はすべて完了しているんだ。最後の消失が起きずとも何の問題もない。


乗り込んだ警察に保護された後で機会を見て逃げ出せばいい。


それまでの時間稼ぎぐらいどって事ない」



まるで他人事。三貴が勝手に追い込まれ自殺を図ったとでも?


身勝手さが透けて見える。


足手まといでしかない三貴を始末する絶好の機会と捉えたとしてもおかしくない。


コウ君の三貴に対する思いが本物なのか見分けるのは容易ではない。


                続く

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