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《305..消えた剣聖》

チラカートレースが開催される少し前。


とある辺境の地に、人知れず口を開けた迷宮(ダンジョン)と呼ばれる古代遺跡の奥深くに1人の男の姿があった。


(やっと見つけた……我が親友の仇…ッッ!!!!)


闇を見据え両手に希少武器を構える青年。

その視線の先には闇に浮かぶ複数の真っ赤な瞳が光る。


「ガァァァァァ―――――ッッ!!!!!!」


ガキィィィン!!!!!


闇の中の真っ赤な瞳がゆらりと揺らぐと、雄叫びと共に青年の剣と交錯し、間合いが一瞬で詰まる。


(くっ、あの時よりも遥かに凌ぐ速さだ……だけど、僕だって負けないよ!その為に僕は死に物狂いで力を付けてきたんだ)


眼前に迫る異形の怪物を前に、ゆっくりと呼吸を調える。

呼吸に合わせ上下するその背中には複数の剣を携えており、特徴的な()()()()()()を靡びかせる優男の青年――――ポトフ・プリテンド。


剣聖と呼ばれるその青年は深く強く地面を蹴ると、時を飛ばし空間を繋ぐように一瞬で異形の怪物へと突っ込んでいく―――――





トントン、ガチャ。


「失礼致します。御主人様の方々、お客様がいらっしゃってますが御通ししても宜しいでしょうか?」


執事のハムチが一礼して入室すると丁寧な所作で来客を告げる。


わざわざ『拠点(アジト)』まで訪ねてくるお客様って誰だろう?まさか俺が昨晩、密かに捕まえていたデッカいカブトムシ…誰かが逃がしてしまったカブトムシだったのかな?


「緊急事態です、勇者パーティ『夕凪戯団』の方々へ指名依頼が出ています、早急にギルドへお越しください!!!!」


ハムチに案内されて慌てて現れたのは、ギルドの受付嬢のミクさんだった。予感は外れた。


「ちょ、ちょっと一端落ち着いてぇな。何でギルドの受付嬢であるミクさんがわざわざ来てくれたん?」


余程の急用なのか。


今『拠点(アジト)』にいるメンバーは俺とオカメ、モッチャン、ヨウ、そしてモスケの5人だ。

コアラとダパンダ、オタマはソファでぐっすり夢の中。

―――自由か!!!!


サドマルはチラカートレースの件でかなり無理をしてしまったらしく、王城にて養生中。

ラピちゃんも同じくチラカートレースの件で魔力欠乏を発症してしまい、ヒゲブクロ図書館にてチラ学園長の魔力回路施術による治療中だ。


「わかりました、すぐに向かいます」


俺達はすぐさま装備に身を包むと、コアラ達を叩き起こし足早にギルドへと歩を進めた。



ギルドに付くと直ぐにギルドマスター室へと通され、コテツマスターともう1人、意外な人物の姿が俺達を出迎えてくれた。


「おお!お前達、待ちかねたぞ!」


応接セットのソファに深々と腰掛ける超巨漢の男、ラビ族の豪傑、ゴエモンさんだ。

よく見たら何故かコテツマスターもゴエモンさんも傷だらけなんだが、いったい何が?


「いやぁ~~、急にゴメンねぇ☆ゴエモンさんがどうしても1人ででも出発するんだって聞かないもんだからさ、おじさん引き留めるのにやっとだったよ~☆ははは、振り回す豪腕で殴られちゃってこの有り様さ☆」


「喧しい!だからといって突き刺すやつがあるか!」


どうやら2人の傷は俺達が来るまでの衝突で出来たものらしい。しかし、それ程にゴエモンさんを駆り立てるものっていったい……?


「で、結局のとこアタシらが呼ばれた要件って何なん?」


オカメが率直に問いかけると、不意に真顔になったコテツマスターがとんでもない事を口にする。


「あぁ、そうだった☆

実はね、ポトフくんが生存不明な状況に陥ってるんだよね……」


「「「えぇ―――――――!!!!!??」」」


あの最高峰の剣士と呼ばれるポトフさんの身に何が!!!??







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