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ダストくんが半笑いになっている。「父へ伝えますよ」
「宜しくね」
なにこの会話?
食欲が失せた。フォークを置く。
傭兵三人の気持ちは解らなくはない。村に雇われれば、短期で護衛の仕事をするより安定しているのだろう。それにエイマベルさんがのりのりなところを見るに、目当てはドールさんのお薬か。誤解だけど、とんでもなく効力が高いものと思っているようだし。
だとしてもこれは気持ち悪い。あんなに悪く云ってたくせに。
三人はにこにこして、まだなにやら喋っている。ダストくんの悪口も云ったし、村の悪口も云ったよねこのひと達?
ダストくんは強く出られないらしい。ハーバラムさんが雇っているし、帰り道もあるからかな。ぎくしゃくしたらいやだもの。ダストくん困るかな。
結局、あれだけ失礼なこと云っておいてなんだよ、とは云えなかった。
傭兵三人の顔は見ないようにした。いやな気分になるから。
食事が終わって席を立つ。ハーバラムさんが話し掛けてきた。「マオ、大丈夫かい? 気分が悪そうだよ」
「あー……食べすぎたみたいです」
「マオはいつでも食べすぎだって」
ダストくんに頭を撫でられた。
部屋へ向かう。
「明日から、三日くらい、わたしはレントに居るから。マオ、その間に仕事か、せめて住むところくらい見付かるといいね」
「はい」
「マオ、大きな通りだけ歩くんだぞ。裏路地には這入っちゃだめだからな」
頷く。ダストくんはちょっと身を屈める。「変な仕事見付けてくるなよ」
「へん?」
「あれだよ、ほら……とにかく、ちゃんとしたとこな」
うん、と頷いた。ダストくんどうして狼狽えてるんだろ?
ハーバラムさんが手をぱちんと鳴らした。ダストくんが飛び上がる。「はーおじさん」
「忘れてた。マオ、明日の朝一番であの草売りに行こう。ほんとは今すぐでも行きたいんだけど、生憎高く買い取ってくれそうな店は閉まってる時間でさ。あれはとれたてのほうがいい値で売れるんだけどねー」
ハーバラムさんは悔しそうに口をへの字にする。
「もうちょいはやくついてたら……それにあんなに行列してなきゃ……うー、惜しいなあ」
部屋の前についた。ふたりへおやすみを云って、這入る。
調度も豪華だ。ベッドは今までのよりもひとまわり大きいし、洗面台には鏡がついている。窓にカーテンがかかっていてちょっと感動した。書きもの机は当たり前のようにあるし、衣装戸棚も据え付けてある。
歯磨きを済ませて眠った。ベッドはやわらかすぎて、いまいちだった。




