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プロルにのらないとしても、「人間が騎乗可能なサイズ」の魔物のことならある程度、知識があるだろう。彼女は動くものに騎乗していれば体力も魔力も上がるという職業なのだ。駆使魔法のことだって、知っているかもしれない。傭兵をしていたというから、駆使魔法をつかうひとと協力して、魔物にのることだってあったかもしれない。
サフェくんは空き間勤務ではないし、荷運びくらいしか、ここに来ることはない。お休みの日に降りてきて、寮舎へ来ることがない訳ではないけれど、彼は警護班に随分つめたい態度をとられるし、じゃけんにされることもあるので、あえて寮舎に近寄ることは少ない。お仕事で、というのは別。そこはそれ、さっきの警護班の態度でもそうだけど、まあ必要最低限の会話ならするから不便はないし、別に攻撃されるとかでもないからサフェくんくらい気が優しいと我慢できてしまうし。
なので、ランスさんに訊くのは俺が試みることになったのだが、無理だった。「よそ」から来た、という話をして以来、ランスさんには、避けられているからだ。
はっきり拒絶されるとか、無視されるとか、そういうことではない。これまでどおり、たまに厨房の手伝いをしてくれることはあるし、荷運びで負ぶってもらうこともある。同じお仕事になって、喋るとか、そういうのは。
でも、以前のようにざっかけない、世間話というか、別に特に意味のあるやりとりではない会話、というのが、なくなってしまった。業務上必要な会話をするのと、挨拶をするのと、厨房のお手伝いの時にこれはどうするのとかどこに置けばいいのとか、向こうから訊いてくれるくらい。
俺から話しかけても、話をさっと切り上げられるか、実際こっちが話しかける前にふいっとどこかへ行ってしまう。ランスさんはそういう空気に敏感で、こちらが業務に関わりない話をするかどうかを感じとる。なので、俺はランスさんに、プロルのことを訊けていなかった。
ワウラさんは俺達経由ではなく、警邏隊からそれについては聴いたそうだから、ランスさんは傭兵協会のやりようについては知っているのだろう。彼女ももともと、傭兵をしていたらしいから。それに警護班をやっている以上、警邏隊と関わる場面は多いし、口もきく。
ランスさんには訊いておくと云った手前、約束を履行できていないのが申し訳なくて、俺は籐かごをもうひとつ滑らせながら云う。
「ごめん」
「ううん。僕も、一昨日一緒だったから、訊こうと思ったんだけど、駄目だった」




