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いや、あるけどさ。荷運びだよって呼ばれて行ったら別のお仕事ってのは。でもそれは、例の、表に出せないお仕事の部署のひと達が来て、そのひと達が来てなんか含みがある段階でもうそういうお仕事だってわかるから、また話が別だ。
班長はまあ、班長という立場だし、先生がたの覚えもめでたいらしいから、表に出せないお仕事があることはわかっているだろう。だが、あのひとがそのお仕事に携わっているとは思えない。班長って、自称でもまわりが勝手に云ってるのでもなく、そういう役職がちゃんとあるんだろう。そういうふうに権力のあるひとを、あの手のお仕事に関わらせない。俺が知らないだけで関わってるとしても、それならそれでやっぱりあの態度はなんだか……。
荷運びっていうのは、名目ではないか。
俺になにか用事があって、みんなの前から移動させるのに、とっさに出た言葉では。或いは、そういう名目で呼び出すように先生から命ぜられたとか。
だったら、あの素っ気ない、不機嫌なような態度もわかる。彼は俺に対して敵意を持っているというか、信用してくれていないらしい(それ自体はあのひとの自由なので俺はとやかくいわん。お仕事やるうえで非常に面倒だからきらいだけど)。
そういう「信用に足らん」やつが先生に名指しで呼ばれるとなったら、腹立つのじゃないかな。班長は面倒なひとだけど、警護班としての働きは素晴らしいから、どうしてこんなやつが、と思っていそう。裏方無視とか、危険じゃない業務の奉公人の給料がこんなにあるの気に喰わんとかいってくるのは、まじできらいだけどね。でもお仕事はできるひとだから。
先生が俺に、なんの用だろう。あの、事件のことで、なにかわかったのかな。それとも、俺が暴れたことが露見した? 冒瀆魔法のこと、こんなに時間が経ってからわかるってのも変だけど、俺が名指しで呼ばれるとしたらそれか、ああ、そっか、目撃証言のことでなにか訊きたいとか。
不安に襲われたが、寮舎の裏手に行って、少しだけほっとした。サフェくんが居たのだ。サフェくんは俺に気付き、かすかに表情を和らげた。「マオ」
「サフェくん、おはよ」
近付いていく。サフェくんは、小豆色のマントを羽織っていた。首のところで紐で結んでいる。奉公人のローブは羽織っていない。しっかりしたブーツをはいており、全体的に、整備されていない道を歩くことを想定しているような格好だった。外に行くって聴いたのかな。




