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やっぱ、油みたいなもんなんだろうか。だとしたらこの、どろっとした感じはわかる。こんなに綺麗な青をしている意味はわからんが。
壜を見ていた俺は、顔を上げた。首を傾げる。「中身はわかった。でも、どうしてそれを、俺に?」
「お前は、火打ち石は持っているのだろう」
頷いた。リッターくんは軽く肩をすくめる。「だが、熱の魔法をつかえない。魔法で火を出さずに沢山のものを燃やすのには、苦労する。燃やしたいものにふりかけるといい」
「えーと。そんなに燃やしたいものもないけど、ありがとう」
「ああ。少しだけでも、効果はある」
リッターくんは頷いて、俺を見ている。「……危険のないようにするのが一番だが、そうはいかない場合も多いだろう。備えは、しておいて、損はないのでは?」
ちょっと辿々しい云いかただったが、リッターくんの云いたいことはわかったつもりだ。俺は姿勢を正して、頷いた。
彼なりに、俺のことを心配してくれているのだと思う。俺が悪しき魂である以上、また封印されることだって、あるかもしれない。
ほーじくんだけが封印をつかえる訳じゃない。なにかのきっかけで悪しき魂が露見して、荒れ地おくりになることだって考えられる。攻撃されることも、ありえた。そういう時、火をつかえるかつかえないかは、大きな差になる。俺の場合、相手が熱魔法をつかうのに慌ててこれをつかって、自滅、なんてことになりそうだけれど。火だるまにはなりたくないから、つかうとしても気を付けよう。
しかし、これをくれるのだから、そういうへまをするやつではないと、少なくともリッターくんは俺をそう評価しているらしい。なんだか嬉しい。
「ありがとう」
もう一度、ゆっくり云って、俺は手を伸ばし、リッターくんの頭をぽんぽん撫でた。「リッターくん、心配しなくていいよ。俺、逃げ足ははやいんだ。これ、つかわなくてもいいように、逃げるね」
「だといいが」
手をおろした。リッターくんは顎へ手を遣り、彼にしてはめずらしいくらいに心配そうに、俺を見ている。「例の件も、まだ終わっていない。不届き者が、その辺りに居るかもしれない」
「あ……そうだね」
下山試験が襲撃された、あの事件のことだ。あれから捜査に進展はない、みたい。まだ犯人は捕まっていない。
俺は警邏隊ではないし、先生でもないので、実は捜査がうまくいっているのかもしれないが……望み薄、という感じだ。




