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「図書館、どんな本があるんですか?」
「マオは本が好き?」
頷く。本は好きだ。
それだけでなく、もとの世界へ戻る方法が載っていないか、という期待もある。
ドールさんは目を宙へさまよわせる。
「そうね……魔法のこつや、魔力を高める方法、薬草や毒草の図鑑、魔物を戦う時の心得……薬のつくりかたの本もあったわ。わたしは読まなかったけれど、いい武器の見分けかたや、商売の仕方の本もあったわね。それに、小説や画集が沢山」
普通の図書館っぽい。魔法とか魔物の本は、多分この世界では当たり前に存在しているのだろうし。
「南の宗教の本もあったかしらね。あと、魔王についての本とか。読み書きのできない子もいるから、絵本なんかもあったわ」
「よみかきができない? のに、入山したんですか」
「先生がたが入山に足る子を見付けてくるの。そういう子は、共通語も喋れなかったりするわ」
共通語。
共通語は、大昔の王国時代からつかわれていた言語。かつては、世界にはその言語しかなかったとも伝わる。
今は、三国それぞれに、共通語から崩れたような言葉があって、御山ではそれは「訛り」と云われるので、みんな共通語で喋る。
小国にも、独自の「訛り」はあるそう。裾野は共通語だが、この辺は少しだけ、御山の共通語とは違う。聴くひとが聴けば、出身地は解るらしい。
「……おれの言葉、変じゃないですか?」
「綺麗な共通語よ。……たまに可愛いけど」
くすくすされた。滑舌の問題っすね。自覚してます。
特殊能力のおかげで言葉が解っているのだろう。それは助かる。ありがたい。
って、そもそも異世界に飛ばされたから大変なことになっているのだ。危うく神さまに感謝するところだった。
お皿が空になり、ごちそうさまをして、片付けをはじめる。
そこへ、バドさんがやってきた。ルルさん、リーリさんも一緒だ。
「ドールぅ、お願い、なんか食べさせてえ」
三人ともじゅうたんの上へへたり込んでしまった。ドールさんがかごを手にさっと外へ出てゆき、ドライフルーツを山盛りにして戻ってくる。外にいっぱい干してあるのだ。
それを三人の前へ置き、ドールさんはこちらを振り返った。「マオ、悪いけど、手伝ってもらえる?」
「はい」
ドールさんは雑穀を炊き始める。こちらは煮込みをつくった。トマト・お肉・適当な野菜・お塩を煮込むだけだ。三人は辛いのが好きらしいので、唐辛子もいくらかいれた。
出来上がったものをお皿へ盛って、三人へ渡す。三人とも息もつかずに半分程食べた。ドールさんがお茶を配る。




