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お餅はおいしかった。ちょっとやわらかめで、ほんのり甘くて、お芋の風味がする。不思議なことに、バナナっぽさはなかった。
食事中、それとなく話を誘導した。結果、ドールさんが御山のことを話してくれたが、なんだか普通の学校らしかった。制服もあるそうで、説明してくれたのを想像するに、男子はブレザータイプ。
学生は、大体三百人前後。全寮制で、出身地ごとに寮が分かれている。「神聖公国寮」「連邦共和国寮」「帝国寮」「一般寮」だ。一般寮と云うのは、三国以外の出身者の寮。まさか、「その他寮」にはできないもんな。
普通っぽい、と云っても、御山にしかない資料、御山でしか研究できていないことは沢山あり、この世界での最高学府らしい。
あと、許可がないとはいれない区域・読めない本や資料、がある。そちらは学生には詳しく伝えられていないが、おそらく本だけでも膨大な量だろうとのこと。
「秘密の書庫があるんですって。冒涜魔法の本や、神話で描かれていないことが書かれている本もあるって……先輩から聴いただけだけど、本を持ちだしたらおそろしい目にあうそうよ」
ドールさんは、怪談でも話すみたいに、雰囲気たっぷりにそう云った。
ドールさんは「中くらい」の成績で、学生用図書館は利用制限がなかった。同村出身の同期が幾らか居て、あまり淋しくはなかったから、勉強にも身がはいったのだと云う。ダストくんは、二年目で同村出身者と科が別れてしまい、いまいち振るわない成績で「下山」した。
科はふたつ。「魔導士科」、「戦士科」だ。一年目はみんな一緒に学ぶが、一年目の終わりに職業を選択したら、ふたつのうちどちらかに振り分けられる。主に魔力を必要とする職業は魔導士科、体力を必要とする職業は戦士科へ進む。優秀な成績を修めると、教師にならないかとスカウトされることもある。
「入山」しただけでも名誉なことで、箔がつくから、仕事探しに有利になる。ドールさんは、染め粉づくりが得意なのと、生まれ故郷に戻りたくて今の暮らしだが、なかにはディファーズやシアイルで位を得た同期もいる。
勿論、この世界に御山しか学校がない訳ではない。
どの村にもある、塾のようなところで、読み書きと四則計算だけは習う。そこで満足できなければ、都会の村や町へ行けば、所謂学校はある。学費は掛かるが、御山への足掛かりになるから、と子どもを通わせる親は少なくない。
入山は、もとの世界で云ったら、有名大学へはいったうえに医師免許を取る、みたいなかんじだろうか。誰しもが「凄い!」と感じることなのだ。




