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パニックを起こした時も、ニニくんはネクゼタリーさんをこわがっていた。ニニくんとカルナさんの話を聴くに、ニニくん達を「護送」してきたディファーズの兵達は、ああ……ニニくんに、暴力を振るっていたらしい、性的なものだけじゃなく。
だから、サーダくんに平手打ちされてそれがよみがえり、ネクゼタリーさんをこわがっていた。それで、怪我をしてもの凄く怯えたニニくんとそれを抱きしめるネクゼタリーさん、という、俺に誤解される情況ができてしまったのだ。
だとしても誤解するほうに問題があるか。いや、言葉わからんのだって。だから、紛らわしい行動はほんとに、控えてほしい。俺が悪いのは理解してるけど、あれは誤解したって仕方ないよね? ねえ?
自分のはやとちりにダメージをうけた。ネクゼタリーさんにちゃんと謝ろう。絶対。
頭を抱える俺のせなかを、ほーじくんが優しく撫でてくれる。「マオ? ……気分、わるい?」
「だいじょうぶ」
顔を上げた。本当は、自分のばかさ加減に吐き気がしていたのだが。
ああ、そうか、ってことは、あのあれ。ナジさんが、サーダくんにやってたやつ。両膝をついて相手の右手を握る、あれ。
ネクゼタリーさんがニニくんにやってたあれはやっぱり、謝罪だったんだ。弟が叩いてごめんなさい、だと思う。ナジさんが、ダストくんのやったことを謝罪してたっぽい場面であれを見たから、自分の家族のかわりに謝る時の格好なのかもしれない。
うん?
でもだとしたら、その後ふたりが抱き合っているのを、ほーじくんが停めたのはどうして?
「あの……」
「うん」
「……ネクゼタリーさんとニニくんが、馬車のかげで、話してたの。あれ、なんだったの?」
ストレートに訊くしかないので、そうした。
ふたりともきょとんとしたが、同時に頷いた。「ああ、そうだな。お前が言葉を理解していなかったことを、忘れてしまう」
「ごめんね、マオ。あの時ぼく、突然、あにさまにかかっていって、マオ吃驚したから、逃げちゃったんだよね」
「え、いや、そうじゃなくて……」
俺は苦い気持ちで、軽く息を吐く。「あの。俺がもめごとの原因になってるみたいだったから、それであの。なんか、いやになって、放り出しちゃっただけ。ごめん、勝手な行動して」
頭を下げると、ふたりは苦笑する。
「お前は天罰をもらって、戸惑っていたんだろう」
「大変だったんだから、衝動的になにかしても、マオは悪くないよ」
そんな優しいことをいってくれた。泣きそうなんだけど。




