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あたたかいお茶から湯気がたちのぼっている。はちみつの容器も出した。リッターくんがそれをとって、マグのなかにはちみつを垂らす。
「訊きたいことは、幾つもあるけど、答えられなかったら答えられないでいいから、そう云ってね」
ふたりは頷いてくれた。この子達は優しい。天罰をくらったまぬけなやつの疑問に答えてくれるのだから。
「まず……ネクゼタリーさんと、ニニくんが、あの……」
言葉を選ぶのが難しかった。俺は質問すらまともにできないらしい。
だが、ふたりは察してくれた。目をかわし、ほーじくんが云う。「あにさま達が、レティアニナに云ってたこと?」
「ああ、まあ、うん」
達、ではなくて、ネクゼタリーさんなのだが、サーダくんもニニくんになにか喋っていたし、まあいいか。
ほーじくんは困ったような眉になる。
「サーダあにさまは、冒瀆魔法をつかう魔物を駆使したり、レティアニナ達を助けたから、マオが天罰を戴いたんだって怒ってた」
あ……ああ、ああ、そうか。
忘れてた。ニニくん達は、「癒し手拒否」が遠因で荒れ地に送られたんだ。ディファーズ的にはアウトもアウトの行動である。
そんな「ばちあたり」な人間を助け、おまけに冒瀆魔法をつかう凶悪な魔物をつれている。だから、神さまが怒った。サーダくん、そんなふうに捉えたんだ。
それでか! 再会直後に、ニニくんとタスにくってかかっていたのは。
俺は数回、頷いた。「わかった。うん。それで、サーダくんは、ニニくんとタスにいろいろ云ってたんだね」
「ん。……サーダあにさまは、ファズダあにさまのことがあって、あの……しばらく、療養してた。それで、入山しないって、なって。一年くらい廟に居た。ファズダあにさまと、会うと、動揺してしまって。ぼく達を見ても、そうで。でもそのあと、ファズダあにさまのとこに、ネクゼタリーあにさまと一緒に居て、お世話……」
ほーじくんは項垂れる。
「ぼくが、マオのことで、ファズダあにさまみたいになるかもって思ってるから、すごくいらいらしてる。それで、関係あるかどうかわからなくても、とにかくなにか、理由がほしかったんだと思う。マオが天罰を戴いた理由。ぼくがマオと、ちゃんと喋れなくなった、理由」
サーダくんが御山にはいったかどうかの答えも、図らずも得てしまった。
そうか。そうだよな。宗教的に問題があるって云うのはそうだけど、当然、自殺未遂は家族に大きな心の傷を負わせるんだ。凄くショックをうけるに決まってる。




