3879
カルナさんとミエラさんが顔を見合わせ、それを見て、ダストくんが安心させるように云った。
「お嬢さんがたは、奥のふたり部屋がいいのじゃないかな。錠がかかるから安心ですよ」
「あ……お気遣い、ありがとうございます」
「いいえ」ダストくんは、カルナさんからこちらへ目を戻した。「で、俺とサーダがお前らの隣の四人部屋。いいか?」
ほーじくんが承諾したので、俺が反対する理由はない。頷いた。
サーダくんがふらふらっと戻ってきて、ダストくんがその腕を掴み、椅子に腰掛けさせた。「サーダ?」
サーダくんは答えない。気分が悪いみたいだし、顔が白っぽくなっていた。こんな時、ヤラが居てくれたら、燕息をつかってくれるのに。
とりあえず、魔力薬を服ませた。サーダくんは背凭れに体を預け、喘ぐような呼吸をしている。ダストくんが彼を背負った。「もう横にさせる。寝たほうがいいみたいだ」
「あにさま」
「だいじょうぶ」サーダくんはふーっと息を吐く。「少し……疲れただけだから。ほーじ、マオさんをきちんとまもりなさい」
そこまで云って、サーダくんは気分が悪そうに呻いた。
ダストくんがサーダくんを負ぶって、はげますように声をかけながら、奥へと歩いていった。ダストくんとサーダくん、いい友達だな。
カルナさんとミエラさんも、井戸端で顔を洗ってから、もう横になるそうだ。勝手口から出ていって、すぐに戻ってきた。タオルを一本ずつ渡すと、彼女達は丁寧にお礼を云って、奥へと移動した。リッターくんを信用しているのだろう。ニニくんを心配している様子はない。
かまどでお湯をわかしていると、リッターくんがニニくんを背負って戻った。ほーじくんと俺で、部屋割りについて説明する。リッターくんも不満はないみたいだった。
「マオ」
「うん。なに?」
俺はお鍋にお水を足す。これは、飲んだり、調理につかったりする為にわかしているのではない。空気が乾燥気味なので、湿度を補うつもりでやっている。加湿器がわりだ。
リッターくんは、椅子に座らせたニニくんのよだれを、手巾で拭っている。ニニくんはそれだけのことをされても、起きる気配がない。状態異常を奪ってもどうにもならなかったから、身体的な問題じゃなくて、精神の問題かもしれない。
白い湯気がふわっと漂った。肌寒くなってきたな。寒くないと、こんなにくっきり湯気は出ない。
ほーじくんがすーっと歩いていって、窓を閉める。リッターくんはこちらを見ない。「俺になにかしたか。レットゥーフェルと、戦っていた時に」
「あ」
まのぬけた声が出る。完全に、忘れてた。




