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俺はサーダくんに、丁寧な説明のお礼を云い、またきょろきょろする。サーダくんは頷いて、すーっと奥へ歩いていった。
無人だけれど綺麗なのは、あれかな。裾野では、傭兵協会が井の保全を担当しているって聴いたことがあるから、傭兵協会のひと達がお掃除に来てるのか。それとも、委託された業者が居るか、だな。
無人のお寺や神社に近いのかな、と思うが、俺は残念なことにそういった場所に縁がない。
ぱっと連想したのは、無人駅だ。無人だけれどつかえるし、ひとの手がはいっている雰囲気がある、というのが、似通っている。設備も勝手につかっていいらしいし。
ランタンにあぶらがはいっていなかったのは、火事防止だろう。ここは町や村から離れているっぽいから、ひとが居なければ火事に気付けない。初期消火が遅れれば、甚大な被害をもたらす。神さまに直接つながるとされる場所で、火事だのなんだのは、ばちあたりだ。
ああ、そうだった。
ネクゼタリーさんが云っていた、ばちあたりって、なんだろう。
観察しても、常識に乏しい俺は理解が浅いか理解できない。
そう気付いたので、俺はきょろきょろするのをやめて、テーブルを拭いた。幾ら綺麗に見えても、昨日今日拭き掃除した感じではない。
ミエラさんとカルナさんに頼んで、窓を幾らか開けてもらうと、かすかに埃っぽかったのもよくなった。ほんとに少しだけ埃っぽかったから、あんまり気付いても居なかったけど、お掃除するなら換気しなくちゃと思って窓を開けてもらってよかった。喘息を起こしそうだ。
ネクゼタリーさんが魔物を井の敷地にいれることに難色を示したから、ここに居る人間で恢復魔法をつかえるのはニニくんだけだ。そして彼は、意識がない。なにか変な症状が出ても、すぐに助けてもらえない、ということだ。
食堂はひろくて、テーブルは幾つもあった。ランタンを置いて照らしているのはひとつなのだが、ついでだしと、ほかのテーブルも拭いた。それが終わると椅子をふき、窓や窓枠を拭く。布巾も雑巾も沢山あるので困らない。
その作業中に、アーチに隠れるような場所に厨房があると気付いた。かまどや作業台、流しがある。勝手口もあって、戸が開いているので、外を見ると、サーダくんが立っていた。
戸が動いた音で気付いたか、星を見ていたサーダくんが振り返った。「あ、マオさん。お手洗い、あっちにありました」
ひょいと左方向を示す。サーダくんは勝手口から這入ってきて、リッターくん達にもそのことを説明していた。
誤字報告ありがとうございます。助かります。




