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おせったいはうけているけれど、ダストくん達ははちみつ漬けのケーキをひと切れずつ食べただけだ。丁稚さんのなかには、あの場に居なくてそれさえ食べていない子も居る。
なので、丁稚さんやサイン一家はこれから夕食だ。相変わらず丁稚さん達が食べるものは丁稚さん達で用意するみたいで、みんなかまどのまわりで大騒ぎしている。ドールさんはナジさんになにか云い、俺達にお辞儀してから奥へ行った。ドールさんも前と同じで、丁稚さん達とご飯を食べるのははずかしいらしい。あとからナジさんがご飯を持っていくんだろう。ナジさんとドールさんは仲好しなのだ。
俺とサーダくんは、ダストくんに案内されて、はなれへ向かった。ダストくんとサーダくんはまた、楽しそうに喋っている。ダストくんが居ると、サーダくんの不機嫌さや不安そうな様子はどこかへとんでいってしまう。そもそもどうしてサーダくんがあそこまで不機嫌なのかもはっきりしないが、ダストくんはそれをわかっているのかもしれなかった。
ほーじくん達だってわかっている筈だけれど、サーダくんの表情をやわらげさせることはなかなかできないみたいだから、やっぱりダストくんは凄い。
それとも、サーダくんの感情の理由をわかっていても、ほーじくんはそれをなんとかしようと思わないんだろうか。
俺は、以前と同じはなれに泊まっていいらしい。ダストくんはにこにこしている。俺がここに居た時と同じようにお花のういた水鉢が飾ってある棚や、きっちり閉められた窓があるし、本が数冊ベッドに置いてある。
ダストくんが俺に気を遣ってくれたのかな。俺がその心配りが嬉しくて、ダストくんに頷き、ダストくんはやけに仰々しくお辞儀した。
ダストくんとサーダくんが手をつないで歩いていく。俺は戸口で、しばらくそれを見ている。サーダくんの長くてまっすぐな髪が、ゆらゆら、さらさら、している。ダストくんの髪はすっかり伸びた。宝石をあみこんでひとつにまとめ、金の小さい円盤を紐でつないで頭にまきつけている。それが月明かりできらきらしている。
サーダくんの飾りけのなさはなんとなく祇畏士らしいと感じる。
そういうのがこの世界に毒されていると感じられて、なんとなくいやだ。
そういうことを考える自分が嫌いだし、実際そこまで着飾った祇畏士を見たことがないから、やっぱり祇畏士というのは派手な格好をしないものなのだろう。
きよらかで、正しくて、俗ではない。
なんだか腹がたつ。




