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エイジャさんは気分が悪いそうで、俺は別の先輩に送られて寮へ戻った。
エイジャさんが亡命してきたのは、先輩達は知っているみたいで、その話にはならない。俺は、エイジャさんはラスターラ卿を嫌っている訳ではないのだろう、と思っている。ラスターラ卿になにかおいしいものをという話になった時、エイジャさんの表情はやわらかかった。嫌いなひとの話題でする顔ではないことはたしかだ。
それでも顔を合わせにくいのだろうな。
寮へ戻ると、お風呂にはいってすぐに寝た。
七月七日。こちらには七夕はない。
エイジャさんは急遽、お休みをとった。俺と一緒にサレテットちゃん達を指導するのは、ラウトさんだ。俺とサレテットちゃん達は寮で食事をとり、隠し通路をつかって一般寮の傍へ出た。ラウトさんがそこで待っていて、一緒に一般寮へ向かう。
「上の子達は、ほとんど下山してるから、お部屋の片付けとお掃除をしよう」
ラウトさんはエイジャさんから予定を聴いていたみたいで、そう云ってにこっとする。サレテットちゃん達は急にエイジャさんが休んだことで不安そうだったが、ラウトさんが屈託なくにこにこしているので、緊張が解れたようだ。よかった。
一般寮に辿りつく。ラウトさんの言葉どおり、御山へつとめることが決まっているひとりと、紹介状をいろんな先生から書いてもらう約束で駈けずりまわっているひとりを除き、二年生は全員、無事に下山した。一般寮生は目端が利く子が多く、五月くらいから紹介状を集めたり、手紙で地元と連絡をとって就職先を見付けていたりしていて、御山に長居する理由があんまりないのだ。
ついでに、御山への就職が決まっている子は、八月までに教員寮へお引っ越しするのだが、貴重な資料などがあって手のあいた先生がそれを手伝っている。奉公人はノータッチ。
一般寮へ這入ると、社交室のほうから楽しそうな声が聴こえてきた。学生さんの人数は少ないが、一般寮は基本的に学生さん達の結束がかたく、楽しいところである。
扉の開閉音に気付いたようで、マイファレット嬢とチヒロさまが廊下へ出てきた。「あらマオさん。あ、今日はお掃除でしたわね」
「はい。なにか、催しものですか?」
「ヴェリンさんがとうきび粉をくださったので、グルブワースさんがこんなにうすく焼いてくださいましたの」
マイファレット嬢は親指と人差し指を近付けてうすさを表現している。「皆で、好きなものをまいて食べているのですわ。朝食です」




