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センチュアライニ嬢には、問答無用で全力平手打ちは酷いし、セティさまが可哀相だからちゃんと謝れよな、とは思っている。セティさま、すっごく痛そうにしてたからさ。
でも、俺のことでセンチュアライニ嬢に処罰でもあったら、リッターくんが反省しないかな、と心配なのだ。あの子は斜め上で、未だによく解らない。あれは完全に、俺の間と対応がまずくて事態がおかしな方向へ転がってしまっただけで、リッターくんに全責任を負わせるつもりはない。俺がひとこと、リッターくん強いね、とでも云っておけば、逃げられただろうし。まあ、奉公人が失礼な、と云われただろうけどさ、それはへらへら笑って謝ればすむ。
それに、また、公衆の面前で謝罪されたりしたら、大変だしね。
後は、リッターくんとサキくんが事の発端だって、処分があったりしないかな……というのも、不安。決闘はよくないと俺は思うけれど、まあ、武器を失ったら負け、っていう、安全には一応配慮したルールだったし、ただ単に喧嘩するよりはましだし。
要するに俺は、あのふたりにはちょっと肩いれしてしまうのだ。だって、どっちも弟みたいで、可愛いんだもん。えこひいきしたっていいじゃない。
ディロさんにそういう気持ちを説明するには、サキくん達と友達だと云うことも説明しないといけない。だから俺は言葉を濁す。
「その場に居たみんなが悪い訳じゃないでしょ? だから、ほかの子にまで累が及んでないかなって、ちょっと心配で」
「マオちゃんって凄く優しいか、凄くひとが悪いかだよね」
ディロさんの声には棘があった。「ううん、どっちもだよ。マオちゃんがそうやって、あいつらに酷い目にあわされても平気で居るの見ると、我慢できないわたしがだめみたい。怺え性のない、わがままで、欠陥のある、間違ってる人間みたい。凄くだめなやつだって気分になる」
「そんなことないですよ」
それは考えすぎだ。俺は単に、サキくんやリッターくんが可愛くて、ひいきしてしまうだけ。俺の行動とディロさんにはなんの関係もないし、ディロさんが引け目を感じる必要もない。
第一、ディロさんは家政婦として一級だし、はっきり云って俺よりも仕事はできる。俺は、お掃除の時に沢山、雑巾や洗浄剤を運べたり、軽食を持っていってお昼に戻る手間を省いたり、お掃除の時に家具を一旦全部預かったり、そういう収納空間絡みの活躍しかしていない。それは俺の能力の一部かもしれないが、ディロさんに同じくらいの収納空間があったら、今以上に活躍しているだろう。




