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足の皮がふやけて来た頃、麻や綿などが終わった。先輩達の四人は、乾いた服を持って出ていく。ゆすぎと乾燥はあっという間で、あらためて魔法って凄い。
お次は絹のドレスと下着で、型崩れしないよう、生地が傷まないよう、慎重に洗った。そちらも先輩達がゆすぎ、乾かして、運んでいく。
メイリィさん達の組がはやかった。やっぱり家政魔法にはかなわない。メイリィさん達はすぐにこちらを手伝ってくれて、俺達も仕事を終えた。
幾ら魔法があっても、お洗濯にはそれなりの時間がかかっている。洗濯場の軽いお掃除もこなし、恢復魔法で足のふやけをどうにかしてもらってから外へ出ると、太陽の位置がだいぶ動いていた。
「新入りさんが仕事ができて、時間が余ったし、草むしりもしておこうか。あとは、地面や木の状態が危なくないかの点検も。折れた木の枝が上のほうにひっかかってて、それが落ちてきた所為で怪我をする学生がたまに居るんだ」
アロさんがへの字口になる。「そう云うのは可哀相だからね」
「凄いね、奉公人って」
「うん?」
俺とサフェくんは、ふたりで枯れ枝を拾っていた。時期が時期だから、長めの鉛筆みたいなのが多く転がっている。ふたりとも収納空間持ちなので、一旦そちらへいれておいて、後で先輩に、薪としてつかえるかどうか判断してもらう。
サフェくんは疲れたのか、はーっと息を吐いた。
「凄いって?」
「だって。あんなに刺々しい態度のひと達を、気遣えるんだもの。僕にはできない」
はあ。
子どもなんてあんなもんだけどなあ。それにやっぱり、ぬかるみをなんとかしてくれていたセティさまは、それなりにいい子だと思うんだが。
「マオー、これ、運んでもらえるかなー?」
「あ、はい」
離れたところで、エイジャさんが大きく手を振っていた。俺達はそちらへ走っていく。単独行動は厳禁なので、サフェくんも一緒なのだ。
エイジャさんは、枯れ葉と、ひっこぬかれた草なんかが積み上がった山を、示していた。「これ。肥料にできるから、植栽担当の子達に渡すんだ。家まで持って帰れる?」
「できます」
屈み込んで、収納をはじめた。奉公人の寮のことは、家と云うらしい。西の娼妓と一緒だな。
枯れ葉や草は続々と運ばれてきて、俺はすべてを収納した。枯れ枝は薪に適しているそうなので、それは帰ってから厨房へ引き渡すように云われる。
「よし、綺麗になったね。この辺にしとこう。そろそろ子ども達が帰ってきちゃうから」
アロさんが云うと、先輩の何人かはくすくす笑った。サフェくんが、信じがたい、とでもいいたげにしている。




