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トイレは各階にあるので、それぞれ散らばってお掃除した。俺とメイリィさんは一階だ。ひとり、病欠の学生が居て、新入りはまだ慣れていないだろうから、と、俺とメイリィさんは上の階へは近寄れない。俺達だけ気遣われる理由が、なんとなく解ってきた。髪の短さだ。俺はしっかりと短いし、メイリィさんも長くない。
早々にお掃除を終え、外でばけつやデッキブラシ、雑巾を洗った。メイリィさんは家政魔法があるので、ものを洗うのがとてもはやい上に、洗い上がりも綺麗だ。乾かすこともできるしね。
掃除道具は収納しておいた。最後に、よーく手を洗う。メイリィさんも。
「お昼、なにかなあ。今朝のご飯おいしかったですよね」
頷きが返ってくる。俺は溜め息を吐く。「おなかすいたなあ。そういえば学生さん達、どこで食べるんだろう。お勉強で頭つかうだろうから、凄くおなかすくでしょうね」
メイリィさんが東を指さす。「学舎、の広間」
「あ、そっか、そっちにもあるかあ」
「そう」
頷かれた。俺はまぬけなことを云ったらしい。
そうだ、購買もあるみたいだし、サンドウィッチとかパンケーキとか売ってたりして。俺ならお昼までおなかが保たない気がする。
メイリィさんと並んで、寮内へ戻ろうとすると、皆さん出てきた。「マオ達、仕事が丁寧だね」
「あ、どうもありがとうございます」
「こちらこそ、ありがたいよ」アロさんはにっこり笑う。「それじゃあ、戻って、ご飯にしよう」
俺とサフェくんのおなかが、ぐううう、と音をたてた。
俺達は植栽の間を歩いていた。アロさんとトルさんが、あれこれと注意をくれる。
まず、隠し扉の開けかた。奉公人になってひと月経たないと、教えてもらえない。だから、それまでは基本的に、ひとりだけ、もしくは新入りだけで行動しないこと。
どうしてもひとりになってしまった場合は、教員に助けを求めること。ただし、教員でも一部しか、隠し扉の位置も開けかたもしらない。だから、ジアー先生に助けを求めるか、ジアー先生にとりついでもらうようお願いすること。
「ストリイ先生でもいいけど、あのひとはちょっと……子どもっぽいところがあるから。僕達のこと、妖精みたいに思ってるし……」
「シシース先生やダーニェア先生なら安心だよ」
「ああ、ストリイ先生でも、安心できない訳じゃないよ」
ふむふむ。なにかあったら、教員。理解した。
ひょいと、先頭のエイジャさんが木立に分け入った。俺達も続く。すぐに隠し扉のところまで辿りついて、俺達はそこから、奉公人の隠れ家へと這入りこんだ。




